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転換と責任: BMWグループは持続可能な未来に向けて技術的変化を加速
Wed Mar 16 07:30:00 CET 2022 プレスリリース
BMWグループは、好業績の2021年を終えた後、持続可能なモビリティに向けて技術的変化を加速し、転換を推進している。Neue Klasse(ノイエ・クラッセ=新たなクラス)においてテクノロジーの包括的な飛躍の準備を整え、eモビリティの強化を続けながらペースを再び大幅に上げている。
展望:大胆な技術的転換と事業の成功は2022年も引き続き密接に連携
eモビリティの強化:15種類のBEVモデルを生産
エレクトロモビリティ:Neue Klasseが市場浸透を加速 – BEVシェア50%の達成がさらに容易に
Neue Klasseは次世代バッテリー・セル、自動運転、循環型経済化およびデジタル化の技術的進歩をもたらす
リーン、グリーン、デジタル:Neue Klasseは未来の生産の先駆けとなる
2022年の自動車部門の力強いフリー・キャッシュ・フロー
自社株買戻しの承認を提案
ツィプセ:「2021年は転換が成功している証拠を提供」
ミュンヘン発:BMWグループは、好業績の2021年を終えた後、持続可能なモビリティに向けて技術的変化を加速し、転換を推進している。Neue Klasse(ノイエ・クラッセ=新たなクラス)においてテクノロジーの包括的な飛躍の準備を整え、eモビリティの強化を続けながらペースを再び大幅に上げている。同時に、BMWグループは、一貫して実施され成功を収めている転換戦略に従業員から資本市場、社会に至るまでのステークホルダーを関与させている。
BMW AG取締役会長オリバー・ツィプセは次のように語った。「2021年は、転換が成果を上げていることの明確な証拠となりました。私たちが2021年度に達成した力強い業績は、オープンな技術的アプローチおよび適切な製品を適切な時期に投入するという一貫した戦略の結果です。私たちは、今後数年間にわたってこの成功に立脚するための基礎を築き上げ、Neue Klasseによって、持続可能なモビリティを新たな技術的次元に導こうとしています。さらにBMWグループは、合弁会社BBAとの契約を2040年まで延長することで成長を次のレベルに引き上げます」。
BMWグループは、東欧における現在の情勢の展開を大きな懸念と落胆を感じながら見守っている。グローバル企業であるBMWグループは、世界中で異なる文化がいつでもどこでも平和的に共存することを支持している。BMWグループの従業員の思いは、戦争で苦しみと喪失を経験している人々とともにある。
「現在の状況では、次の3つのことがBMWグループにとって最も重要です。犠牲者と被災者をできる限り支援すること、世界中で日常業務を確実に遂行すること、そして私たちの長期的戦略を体系的に実施し続けることです」とツィプセは述べた。「私たちがすでに直面している気候変動との闘いや持続可能なモビリティに向けた転換といった大きな課題にも、やはり同じ熱意で向き合わなくてはなりません。危機の時代においてとりわけ重要なのは、正しい行動をやめないことです」。
従業員は転換を成功させる鍵となる要素
社内のすべてのステークホルダーは、BMWグループによる転換の進め方から恩恵を受ける。BMWグループは、進行中の技術的変化と持続的な成長の見通しに対応して、今年、世界中で新規雇用の追加を計画しており、それによって従業員数を最大5%増加させる。当社は、このように世界各地の拠点で社会の繁栄に貢献している。BMW AGの現在の従業員に支給される2021年度の利益分配ボーナスは、グループの純利益に応じて顕著に増加するであろう。
「BMWの成功の主な秘訣は従業員です。彼らの2021年の成果は、感謝と尊敬と評価に値します。BMWグループの全員が、人々を動かし、感動させ、インスピレーションを与えるという同じ中核的信念を共有しています。私たちは、この成功を将来も継続させるために力を合わせています」とツィプセは語った。
BMW AG取締役で財務担当のニコラス・ぺーターは、次のように付け加えている。「私たちの従業員も会社の成功の恩恵を受けます。たとえば、1989年に導入された優先株式プログラムを昨年の秋に再び拡大したことで、従業員は有利な条件で自社株を購入することができます」。
環境にも恩恵:CO2フリート排出量が再び大幅に減少
環境もBMWグループにとって重要なステークホルダーであるため、当社の方針から恩恵を受ける。BMWグループは、試算に基づき欧州のフリートのCO2排出量を115.9g/kmと報告した。すなわち、CO2フリート目標値の126g/kmをまたもや大きく上回った。2021年は、BMWグループの生産全体および世界中の全拠点がネットゼロカーボンフットプリントを達成した初めての年でもあった。
2021年、当社は、Science-Based Targets Initiativeによって開始されたBusiness Ambition for 1.5℃キャンペーンに参加した初めてのドイツ自動車メーカーとなり、それによって遅くとも2050年までにバリューチェーン全体を通じた完全なクライメートニュートラル化という目標の達成を約束した。BMWグループは、総体的なサステイナビリティのあらゆる面を考慮に入れるために、車両に使用される二次材料の割合を大幅に高めることを目指す。この「二次材料優先」アプローチでは、リサイクルおよび再使用された材料の割合を現在の平均約30%からNeue Klasseにおける50%へと段階的に拡大する努力が求められる。BMW i Vision Circular(ビジョン・サーキュラー)は、市街地での持続可能でラグジュアリーな個人モビリティの2040年における姿をすでに垣間見せてくれた。これは100%二次材料および再生可能な原材料から作られ、しかもそれ自体が100%リサイクル可能である。
転換の中で当社の成功に関与する機会は、BMW AGのすべての株主に与えられる。取締役会および監査役会は、2021年度の配当として普通株式1株あたり5.80ユーロ(優先株式:5.82ユーロ)を年次株主総会において提案する。これは、30.7%の配当性向に相当する。
「配当が増えることで、株主は当社の昨年度の力強い業績の恩恵を受けることができます。会社の成功への適切な関与は、私たちにとって重要です。これからも的確な判断を適用し、会社の持続可能な発展の成功と株主の期待を等しく重視し続けます。非常に不安定な時期に、大規模な転換という課題に取り組みながら、それでも私たちは会社の収益性を最適化しており、株主がその恩恵を適切な範囲で受けられるようにしています」とペーターは語った。
合弁会社BBAの株式の過半数を取得して中国での電動モデルを強化
当社の将来の方向を決めるもうひとつの重要な要素が、中国での合弁会社BMW Brilliance Automotive(BBA)との契約の延長であり、それには株式の過半数の取得が伴う。2月以降、BMWグループは同社株式の75%を保有しており、それをBMW AGのグループ年次報告書に完全に連結させている。
「グローバル企業が成功を収めるには、世界の3主要地域のすべてにおいて、顧客のニーズと希望を徹底的に理解して満たすことができなくてはなりません。中国に新たな拠点ができたことで、私たちは、この要件をすべての地域で同じように満たせるようになります」とツィプセは述べた。これを達成する方法のひとつとして、BMWグループは、世界最大のeモビリティ市場でのピュアEVモデルのラインアップを拡大し、中国市場専用にカスタマイズされたBMW 3シリーズのロング・ホイールベース・バージョンのピュアEVモデルの生産を今年開始する。さらにBMW X5のラインアップも拡大され、中国で現地生産されるモデルが加わることは、すでに発表済みである。
力強いフリー・キャッシュ・フローを予想 – 自社株買戻しの承認を株式年次株主総会で提案
BMWグループは、転換の中での力強い業績と会社の継続的な成功の確信に基づき、フリー・キャッシュ・フローの野心的目標を定めている。2022年、BMWグループは、自動車部門のフリー・キャッシュ・フローが少なくとも70億ユーロに達すると予想している。加えて、約50億ユーロにのぼるBBAの流動資産を初めてバランスシートに計上することは、プラスの単発効果を生む。約37億ユーロの取得価格を2月に支払ったことは、すでに考慮されている。
BMWグループは、その業績が好調に推移したおかげで、健全なバランスシートと非常に堅実な財務構造を持ち、高いフリー・キャッシュ・フローを持続的に生み出す能力を備える。その理由のひとつは、最近、BBAをBMWグループの年次報告書に完全連結させたことである。取締役会および監査役会は、とりわけ自社株を取得および消却する権限を取締役会に付与することを年次株主総会に提案する。取締役会は、法的枠組みに準拠して、株式資本全体の10%までの自社株を取得し、それらを消却および使用する権限を5年間付与されることになる。
革新が需要を促す:BMWグループは技術的変化とEモビリティ強化を大幅に加速
BMWグループは、これまでピュアEVモデルの成功によって立証されたeモビリティ強化の目標もさらに引き上げる。今年は、試作車を含めて15種類のピュアEVモデルが生産される予定で、その対象範囲は現在のセグメントの約90%に及ぶ。これには、BMW i4、BMW iX、MINI SE*などの既存のモデルに加え、BMW 3シリーズ、BMW 5シリーズ、BMW X1およびBMW X3という高い人気を誇る4つのモデル・シリーズも含まれる。新型BMW 7シリーズも、新型BMW i7の発売によって2022年に特別な役割を果たす。
「BMW iXおよびBMW i4は、おそらく現在の市場で最良の電気自動車でしょう。そのことは、テストの評価や顧客からの強い需要を見れば明白です。今年、BMW i7は次のレベルに進化するでしょう」とツィプセは語った。
BMW iXおよびBMW i4の導入によって、BMWグループは顧客インターフェースのデジタル化を大幅に拡張した。例えば、購入プロセスを簡略化するための直感的な構成に加え、BMWグループのあるドイツ本国市場では、すでにオンラインで全モデル・ラインアップの事前構成済みの新車および比較的新しい中古車を購入することができる。2025年までに、車両全体の約4分の1を完全にオンラインで販売することを計画している。
さらに、サービス要件をデータに基づいて認識することで、予防的顧客ケアが可能になる。これは、できるだけ顧客に直接連絡をとってリモートでサポートを提供したり、あるいはワークショップへの入庫が必要な場合に、予約を簡単で効率的に行えるようになることを意味する。
2025年末までに200万台のBEVが路上に
製品ラインアップの急拡大と、BMW iXやBMW i4などのすでに販売されている新型ピュアEVモデルへの強い需要により、BMWグループは、ピュアEVモデルの販売台数が急速に増加すると予想している。2025年末までに、累計200万台以上のピュアEVモデルが納車されていることを目指す。
BMW 7シリーズに加わるBMW i7は、内燃エンジンとプラグイン・ハイブリッド・ドライブトレインのいずれかを選択可能なラインアップの中で、初の完全電動ラグジュアリー・セダンとなる。同時に新型BMW 7シリーズには、次のレベルの内燃エンジンとプラグイン・ハイブリッド・ドライブ・テクノロジーも用意される。この新世代のディーゼルおよびガソリン・エンジンは、効率をさらに高めている。その開発により、排出量の低減と大気環境の改善に向けてエンジン技術がさらに一歩進化している。同時に、将来の規制要件にも技術的に対応可能である。
Neue Klasseが技術の飛躍をもたらす:新世代のバッテリーとコネクティビティの未来
BMWグループは、Neue Klasseの導入によって2020年代中頃から製品ラインアップを再編成する。 Neue Klasseは、電動ドライブトレインに徹底的に最適化された車両アーキテクチャー(BEVのみ)をベースにしており、次の3つの主要な側面で特徴付けられる。完全に再定義されたITおよびソフトウェア・アーキテクチャー、新たに開発された高性能の電動ドライブトレインおよびバッテリー世代、そして新たなレベルのライフ・サイクル全体を通したサステイナビリティである。
この新次元の製品内容は、BMWならではの特徴が未来に引き継がれるようにするとともに、デジタル化と電気自動車化の基準を打ち立てるようにデザインされている。それによって、BMWグループのフルEモデルへの需要の急増がさらに促進される。
これを実現するために、当社は大きな技術的飛躍を遂げようとしている。たとえばNeue Klasseは、まったく新しい電気駆動システムを使用し、電力消費量の低減と航続距離の延長を実現する。BMWグループは、現在、そのために新世代のバッテリー・セルを開発中であり、最適化された電池化学との組み合わせによって、e-driveのコストも大幅に削減されるはずである。
BMWグループが独自に開発し、すでに第6世代となるこの新しいバッテリー・テクノロジーの詳細については、2022年末までに発表する予定である。さらに12カ月以内に、Neue Klasseの次世代のコネクティビティとユーザー・インタラクションに関する能力の一端も初公開する予定である。
BMWグループ、Qualcomm TechnologiesおよびArriver Softwareの間で3月10日に合意された長期的協力は、自動運転用次世代プラットフォームの重要なマイルストーンを刻む。目的は、拡張可能な自動運転用プラットフォームを作り上げることであり、その開発は、共通の基準アーキテクチャーをベースとして、センサー仕様と安全性アーキテクチャーを共有しながら行われる。世界中の1,400人以上の専門家が、この協力の枠内で一緒に取り組む。
2030年までにBEVシェア50%が実現する可能性
BMWグループは、Neue Klasseにはeモビリティの市場浸透をさらに加速させる能力があると信じている。たとえば、ピュアEVモデルは2030年よりも前に当社の世界販売台数の50%を占める可能性がある。
その時点で、BMWグループのピュアEVモデルの年間販売台数が、すでに150万台を超えている可能性がある。しかし、これは、世界中の充電インフラの拡大が、購入可能なモデルの増加とピュアEVモデルに対する顧客の需要の増加に遅れず対応できるかどうかに左右される。当社は、たとえば高出力充電ネットワーク「Ionity」を通じてこの拡大を自ら推進している。原材料の安定的供給も鍵となる。
こうした条件の下で、BMWグループは、2030年までに累計1,000万台のピュアEVモデルが顧客に納車されていることを目指す。ロールス・ロイスは、そのときまでにピュアEVのみの製品ラインアップを持つブランドとなる。MINIも2030年代の初めから完全電動化の未来に向かう。今年の後半、MINIブランドは、まったく新しいMINIファミリーを垣間見せてくれる。MINIのライフスタイルに合わせるために完全にデジタル化され、電動化されたゴーカート・フィーリングを備え、サステイナビリティと最小限の環境フットプリントを明確に重視する。
BMWグループは、世界中のすべての市場がすべての顧客のために必要な枠組み条件を整え、2030年代の前半に純粋なエレクトロモビリティへ移行するとは予期していない。そのため、人々の個人モビリティ要件を満たすと同時に輸送部門のCO2削減に貢献するには、極めて効率的な従来型の駆動技術を用いたオプションが依然として必要になるであろう。
駆動技術のもうひとつの柱となる水素燃料電池
水素燃料電池技術も、2020年代後半からドライブトレインミックスに占める割合を高めていくと期待されている。BMWグループは、持続可能な個人モビリティのもうひとつの選択肢として、この技術の開発を体系的に推進しており、Neue Klasse用に水素燃料電池をベースにした電動ドライブトレインも考えられることをすでに発表している。
少量生産されるBMW iX5 Hydrogen(ハイドロジェン)は、今年初めてデモンストレーションとテスト目的に使用される。高性能な燃料電池と最適化された動力用バッテリーを備えるBMW iX5 Hydrogenの駆動システムは、世界で唯一無二の存在である。水素が再生可能エネルギーを用いて製造され、必要なインフラが利用可能であると仮定した場合、このテクノロジーは、BMWグループのドライブトレインポートフォリオを補完する。とりわけ充電インフラを利用できず、頻繁に長距離を走行し、高度な柔軟性を求める顧客のニーズを満たすことができる。
BMW iFactory:リーン、グリーン、デジタル – Neue Klasseの未来の生産
Neue Klasseは、路上にとどまらず生産においても基準を打ち立てるためにデザインされている。BMWグループは、数十年にわたり自らを生産技術のベンチマークであり車両製造のオペレーショナル・エクセレンスを備えているとみなしてきた。BMWグループは現在、この基礎に立脚して、自動車生産の未来を再定義することを目指している。BMW iFACTORYは、リーン、グリーン、デジタルというBMWの生産の戦略的ビジョンを体現している。
BMW iFACTORYは、グローバルな統合的アプローチで生産ネットワークをeモビリティに向けて転換するという課題への答えを提供し、世界中のすべての工場で実施される。このデジタル化されたiFactoryアプローチの先駆けとなるのが、2022年6月1日に起工が予定されている新しいデブレツェン工場である。ちょうど26カ月後に、この工場は、Neue Klasseの最初のプロトタイプを生産することになる。今年100週年を祝うミュンヘンのメイン工場をはじめとした既存の拠点も、進行中の転換の一環として同じ観点から近代化され、将来の課題への準備を整える。
リーン、グリーン、デジタルというビジョンに基づき、BMWグループは、そのグローバル生産ネットワークを今後数年間で体系的にさらに発展させ、Neue Klasseのために最先端の効率的な生産を作り出すという野望を実現する。
リーンという言葉は、効率、精度および高度な柔軟性を表し、さまざまな駆動技術と車両アーキテクチャーを生産に統合する能力を意味する。この能力はすでに、転換の成功を存続させるための重要な要因となっている
グリーンは、最小限の資源利用で生産を成り立たせるための最先端技術および循環型経済のビジョンを意味する。BMWグループは、製造段階からの車両1台あたりのCO2排出量を2030年までに2019年比で80%削減することを目指している。
デジタルは、生産におけるデータサイエンスおよび人工知能の活用、ならびに計画および開発における現実世界と仮想世界の融合を意味する。その目的は、世界中の従業員をリアルタイムに仮想的に結び付け、未来の生産を形成できるようにすることである。
「私たちは、会社およびその製品の包括的なデジタル化とラインアップの段階的な電気自動車化を順調に進めています。私たちは、現在そして将来においても、高額な投資を自らの資源でまかなうことができます。私たちは、この大規模な転換のための持久力と財務体質を備えています」とペーターは語った。
オペレーショナル・エクセレンス – 継続的成功のための基礎
BMWグループは、グループの売上高、収益および純利益をいずれも大幅に増加させて、2021年度を成功裏に締めくくった。
納車台数は8.4%増の252万1,514台となり、そのうち13%が電気駆動モデルであった(32万8,314台、前年比+70.4%)。
2021年のグループ売上高は1,112億3,900万ユーロに達した(前年:989億9,000万ユーロ)。高収益モデルの割合が上昇したことで、BMWグループは、新車販売およびリース終了車両の転売の両方について積極的な製品構成効果と改善された価格設定の恩恵を受けた。
通年でのグループ税引前収益は、160億6,000万ユーロを記録した(前年:52億2,200万ユーロ)。欧州委員会の反トラスト法訴訟が第2四半期に終結したことで、そのための引当金の一部戻入が約10億ユーロのプラスの効果をもたらした。研究開発費の増加は、BMWグループの転換が着実に進んでいる様子を示している。IFRSに準じた研究開発の総費用は、前年よりも大幅に増加し、62億9,900万ユーロに達した(前年:56億8,900万ユーロ)。それにもかかわらず、グループの純利益も、新記録となる124億6,300万ユーロに達した(前年:38億5,700万ユーロ)。従業員数は、2021年12月末時点で11万8,909人であった(前年:12万726人)。
2021年の自動車部門のEBIT率は予想範囲の上限
自動車部門では、支払金利前税引前利益(EBIT)が98億7,000万ユーロとなった(前年:21億6,200万ユーロ)。それゆえ10.3%(2020年:2.7%)という同部門のEBIT率は、私たちの予想範囲の上限であった。
ファイナンシャル・サービス部門も、プレミアム・カーの新車・中古車に対する継続的な高い需要の恩恵を受け、税引前収益は37億5,300万ユーロにのぼり(前年:17億2,500万ユーロ)、やはり前年を大きく上回った。信用リスクに関する価値調整の必要性が低いままであったことも、好影響を及ぼした。
BMW Motorradは、2021年に過去最高となる19万4,261台のモーターサイクルとスクーターを顧客に納車した(前年:16万9,272台)。同部門は、27億4,800万ユーロの売上高 (前年:22億8,400万ユーロ)、2億2,700万ユーロのEBIT(前年:1億300万ユーロ)を記録した。EBIT率は8.3%(前年:4.5%)となり、8~10%の目標範囲内に収まっている。
「BMWグループの年次報告書は、その財務体質と柔軟性を再び証明しました。そこに示されているように、私たちは慎重に、焦点を明確にして事業を運営し、極めて不安定な時期でも針路を保っています。私たちの目標は、今年もまた、一貫して力強い業績を維持することです。経営的に、私たちはそれに向けて有利な立場にいます。私たちの従業員が非常に意欲的で、危機を乗り切る能力を備えていることから、私は、困難な状況にもかかわらず2022年を楽観視しています」とペーターは述べた。
2022年の展望:グループ税引前収益の大幅な増加を予想
BMWグループは、困難な状況でも成功を維持するために、2022年も日常業務のオペレーショナル・エクセレンスを引き続き強化していく。BMWグループの製品は、電動ドライブトレインと従来型技術のいずれを用いたモデルでも世界中で高い需要がある。それと同時に、東欧での地政学的状況によって、BMWグループの生産ネットワークに制約が生じている。こうしたマイナスの影響がなければ、自動車部門の納車台数は、前年を若干上回る傾向にあったと予想される。生産の調整が予測されるため、現時点で納車台数は前年並みと見積もられている。
BBAの完全連結化は、2022年度のBMWグループの主要業績指標に影響を与えるであろう。自動車部門の収益とEBITは、完全連結化によって大幅に増加するとみられる。しかし、連結効果が加わっても、2022年度の自動車部門のEBIT率に大きな影響があるとは予想されていない。ウクライナでの戦争の影響がなければ、BMWグループはEBIT率の目標範囲を8~10%に置いたであろう。しかし、生産調整のマイナスの影響を考慮に入れると、現時点でEBIT率は7~9%の範囲になると予想されている。
この展望では、東欧での地政学的状況の影響が、今後数週間にわたりBMWグループの生産ネットワークに制約をもたらすことをすでに見込んでいる。当社は、パートナーおよびサプライヤーと真剣で建設的な議論を行っており、こうした制約を最小限に抑えるために生産ネットワークの高度な柔軟性を活用している。この中には、世界各地のサプライヤーの生産拠点も含まれる。それと並行してBMWグループは、ウクライナ西部からの部品調達を続けることで、現地従業員の長期的な将来性を確保している。しかし、現地従業員の安全性は、こうしたすべての行動を通じて最優先であり続ける。
モーターサイクル部門では、納車台数の若干の増加が見込まれている。EBIT率は、8~10%の目標範囲内にとどまるはずである。BMW Brillianceの完全連結化がモーターサイクル部門の業績指標に及ぼす影響は、ごくわずかであろう。
ファイナンシャル・サービス部門では、資本利益率(RoE)が14~17%の間になると予想されている。2021年度と比べ、リース終了車両の転売による強いプラスの影響は、半導体供給状況の改善に伴って下半期には通常に戻ると予想されている。
BMW Brillianceの完全連結化の結果として、グループ税引前収益は予測期間中に大幅に増加するはずである。ここでの決定的要因は、BMW Brillianceの業績を自動車部門に含めることであり、それまでに保持していた株式が再評価され、決算結果に約70~80億ユーロのプラスの影響が及ぶとみられる。こうした影響は、決算結果におけるBMW Brillianceの持分利益の連結調整と完全連結化の効果によるマイナスの影響を相殺して余りある。生産調整のマイナスの影響を考慮に入れても、グループ税引前収益は依然として大幅に増加が予想される。
BMWグループは、技術的変化を推進し、さらなる成長の見通しを活用できるようにするために、今年、新たな従業員を雇用する。BMWグループは、世界中の従業員数を2022年に最大5%増やすことを計画している(2021年12月31日時点との比較)。
この見通しは次のことを含んでいない:ロシアに対する制裁の大幅な強化および/または現在の制裁の解釈の変更、ウクライナ以外への紛争の拡大、または何よりウクライナでの戦争および/またはそれに関連した制裁によるエネルギーおよび原材料価格のさらなる大幅な上昇。
これに関係なく、状況の変化が非常に激しいため、2022年度の正確な予想範囲を示すのは困難である。現段階では、ウクライナでの戦争をさらなる長期間にわたって予測するのは不可能なので、見通しの要因に含めることはできない。
半導体に対する国際的な需要は高止まりし、それに応じて困難な供給状況が続きそうである。2021年と同様に、自社生産に必要な半導体部品の供給が滞るリスクは依然としてある。今のところ、2022年の下半期になるまで改善は期待できない。
BMWグループ – 概要 | 2021年 | 2020年 | 変動率(%) |
納車台数 |
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自動車 1 台 | 2,521,514 | 2,325,179 | 8.4 |
内訳:BMW2 台 | 2,213,790 | 2,028,841 | 9.1 |
MINl2 台 | 302,138 | 292,582 | 3.3 |
ロールス・ロイス2 台 | 5,586 | 3,756 | 48.7 |
モーターサイクル 台 | 194,261 | 169,272 | 14.8 |
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従業員数 (2020年12月31日時点との比較) | 118,909 | 120,726 | -1.5 |
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自動車部門EBIT率 % | 10.3 | 2.7 | +7.6%ポイント |
モーターサイクル部門EBIT率 % | 8.3 | 4.5 | +3.8%ポイント |
EBTマージン(BMWグループ) 3 % | 14.4 | 5.3 | +9.1%ポイント |
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売上高 百万ユーロ | 111,239 | 98,990 | 12.4 |
内訳:自動車 百万ユーロ | 95,476 | 80,853 | 18.1 |
モーターサイクル 百万ユーロ | 2,748 | 2,284 | 20.3 |
ファイナンシャル・サービス 百万ユーロ | 32,867 | 30,044 | 9.4 |
その他の事業 百万ユーロ | 5 | 3 | 66.7 |
連結調整 百万ユーロ | -19,857 | -14,194 | 39.9 |
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支払金利前税引前利益(EBIT) 百万ユーロ | 13,400 | 4,830 | 177.4 |
内訳:自動車 百万ユーロ | 9,870 | 2,162 | 356.5 |
モーターサイクル 百万ユーロ | 227 | 103 | 120.4 |
ファイナンシャル・サービス 百万ユーロ | 3,701 | 1,721 | 115.0 |
その他の事業 百万ユーロ | -8 | 36 | 一 |
連結調整 百万ユーロ | -390 | 808 | 一 |
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税引前利益(EBT) 百万ユーロ | 16,060 | 5,222 | 207.5 |
内訳:自動車 百万ユーロ | 11,805 | 2,722 | 333.7 |
モーターサイクル 百万ユーロ | 228 | 100 | 128.0 |
ファイナンシャル・サービス 百万ユーロ | 3,753 | 1,725 | 117.6 |
その他の事業 百万ユーロ | 531 | -235 | 一 |
連結調整 百万ユーロ | -257 | 910 | 一 |
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法人税 百万ユーロ | - 3,597 | -1,365 | 一 |
純利益2 百万ユーロ | 12,463 | 3,857 | 223.1 |
1株当たり利益 (普通株/優先株) ユーロ | 18.77/18.79 | 5.73/5.75 | 一 |
1 合弁会社BMW Brilliance Automotive Ltd.(瀋陽)の台数を含む(2021年:65万1,236台、2020年:60万2,247台、2019年:53万8,612台、2018年:45万5,581台、2017年:38万5,705台)。
2 2020年度および2021年度として発表された小売納車データは、それ以前の年度として発表された同種のデータと直接比較できない。小売納車データに関する詳細については、2021年度BMWグループ報告書に記載された「見通しと実際の結果との比較」を参照。
3 グループ売上高に対するグループ税引前利益の比率
BMWグループ – 概要 |
2021年 |
2020年 | 変動率(%) |
納車台数 |
| ||
自動車 1 台 | 589,290 | 687,012 | -14.2 |
内訳:BMW2 台 | 510,722 | 601,449 | -15.1 |
MINl2 台 | 77,300 | 84,458 | -8.5 |
ロールス・ロイス2 台 | 1,268 | 1,105 | 14.8 |
モーターサイクル 台 | 37,652 | 39,673 | -5.1 |
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従業員数 (2020年12月31日時点との比較) | 118,909 | 120,726 | -1.5 |
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自動車部門EBIT率 % | 7.7 | 7.7 | 一 |
モーターサイクル部門EBIT率 % | -19.8 | -1.2 | -18.6%ポイント |
EBTマージン(BMWグループ)3 % | 10.2 | 7.7 | +2.5%ポイント |
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売上高 百万ユーロ | 28,408 | 29,482 | -3.6 |
内訳:自動車 百万ユーロ | 25,103 | 26,024 | -3.5 |
モーターサイクル 百万ユーロ | 486 | 568 | -14.4 |
ファイナンシャル・サービス 百万ユーロ | 8,688 | 7,989 | 8.7 |
その他の事業 百万ユーロ | 2 | 2 | 一 |
連結調整 百万ユーロ | -5,871 | -5,101 | 15.1 |
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支払金利前税引前利益(EBIT) 百万ユーロ | 2,487 | 2,197 | 13.2 |
内訳:自動車 百万ユーロ | 1,925 | 2,010 | -4.2 |
モーターサイクル 百万ユーロ | -96 | -7 | 一 |
ファイナンシャル・サービス 百万ユーロ | 832 | 664 | 25.3 |
その他の事業 百万ユーロ | -5 | -7 | 一 |
連結調整 百万ユーロ | -169 | -463 | 一 |
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税引前利益(EBT) 百万ユーロ | 2,907 | 2,260 | 28.6 |
内訳:自動車 百万ユーロ | 2,149 | 1,955 | 9.9 |
モーターサイクル 百万ユーロ | -96 | -8 | 一 |
ファイナンシャル・サービス 百万ユーロ | 829 | 686 | 20.8 |
その他の事業 百万ユーロ | 153 | 55 | 178.2 |
連結調整 百万ユーロ | -128 | -428 | 一 |
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法人税 百万ユーロ | -651 | -580 | 12.2 |
純利益 百万ユーロ | 2,256 | 1,680 | 34.3 |
1株当たり利益 (普通株/優先株) ユーロ | 3.39/3.40 | 2.53/2.54 | 一 |
1 合弁会社BMW Brilliance Automotive Ltd.(瀋陽)の台数を含む(2021年:65万1,236台、2020年:60万2,247台、2019年:53万8,612台、2018年:45万5,581台、2017年:38万5,705台)。
2 2020年度および2021年度として発表された小売納車データは、それ以前の年度として発表された同種のデータと直接比較できない。小売納車データに関する詳細については、2021年度BMWグループ報告書に記載された「見通しと実際の結果との比較」を参照。
3 グループ売上高に対するグループ税引前利益の比率
*電力消費量/CO2排出量データ:
MINI Cooper SE: 電力消費量(kWh/100km、複合):16.8~14.8(NEDC)、18~15.5(WLTP)