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PressClub Japan · 記事.

#NEXTGen 2020.

BMWグループは、未来のモビリティに新たな一章を書き記す。

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BMWグループは、未来のモビリティに新たな一章を書き記す。#NEXTGen 2020は、そのために完璧な枠組みを提供する。2019年に大成功のうちにスタートしたイベントプログラムが、今年はデジタル形式で体験できる。かつてないほど根底から変化している世界の動きを見据え、BMWグループは、魅力的な製品ポートフォリオと「パワー・オブ・チョイス(power of choice)」によってこれからも技術開発の先鋒に立ち、トレンドを作り、未来のモビリティの主導的役割を果たすという目標を掲げた。

 

#NEXTGen 2020の中で、BMWグループは、これまで閉ざされていた扉を開く。すなわち、新しいテクノロジーと車両を示すことによって、次世代のモビリティがどのように描かれ、どのような姿になるのか、その具体的な例を提供する。研究開発センター(FIZ)のハイライトをプレゼンテーションすることに加え、#NEXTGen 2020では、BMW MotorradとMINIブランドのワールド・プレミアも用意されている。さらに、本イベントでは、BMW iNEXTの量産バージョンのデザインも発表されるが、このバージョンは2021年11月末にBMW iXとして発売予定のものだ。

 

オリバー・ツィプセ:「BMWグループは、新たな発見を追求し続ける」

今年の#NEXTGen 2020は、目前に迫る未来を象徴するアイコンで溢れている。コネクティビティ、電動ドライブ、人工知能、国際協力、新しいBMWドライビング・シミュレーション・センターといったテーマは、この環境においてBMWグループの役割を決定づけるために作られたものだ。なぜなら、これらのテーマはすべて、今日すでにBMWグループの実質的な構成要素であり、現在そして未来の車両の開発においてますます重要な役割を担っているからである。つまり、BMWグループは未来への準備が整っているだけではなく、未来の姿を積極的に作り出そうとしている。

 

「BMWグループは、新たな発見を追求し続けます。これは、当社の企業戦略の中心となる構成要素です」とBMW AG取締役会会長オリバー・ツィプセは言う。「BMW iXは、このアプローチを極めて集中的な形で表現するものです。」

 

BMW iXは、2021年からBMWディンゴルフィン工場で生産予定である。このモデルは、BMWグループが長年にわたりeモビリティ領域において先進的なプレミアム・サプライヤーとして蓄積してきた開発技術、経験、イノベーションのすべてが融合している。これに加え、今日すでに人工知能(AI)が重要な役割を果たしていることもこのモデルの開発で示されている。現在、BMWグループは400以上のアプリケーションと、グループの各関連部門(開発、営業、生産など)においてAIを活用している。さらに、ビッグデータの処理および解釈にも取り入れられている。AIは自動運転のベースであるが、車両自体のできる限り自然なユーザー・エクスペリエンスにはとりわけ重要である。

 

未来のモビリティ、自動運転のさらなる重要な一歩を実現するためには、BMWグループがすでに1990年代から先駆的役割を果たしているテクノロジーが不可欠である。すなわち、コネクティビティに関するテクノロジーだ。今日すでに、BMWグループは多くのモデルのソフトウェア・アップグレードとデジタル・サービスに「over-the-air(オーバー・ジ・エア)」を提供している。BMW iXは、さらにその一歩先を行く。これは、第5世代移動通信システム(5G)を採用した最初のプレミアム・カーなのだ。BMW iXは、カメラ、レーダー、超音波などの多数の超高性能センサーと、それらに組み合わされたBluetoothから5Gまでの多種多様なアンテナを搭載し、さらには人工知能、データ・ドリブン・サービスの提供により、いわば走る高性能コンピュータといえるだろう。

 

その基盤となっているのが、ミュンヘンにあるBMWグループの新しいドライビング・シミュレーション・センターだ。この種の施設としては最先端であり、幅広い用途に使えるこの施設には、総面積1万1,400 m²の敷地内に、高忠実度(High Fidelity)シミュレーターやハイ・ダイナミック・シミュレーターを初めとする全部で14のシミュレーターが装備されている。これらのシミュレーターにより、路上での運転体験をかつてない忠実度で実験室に再現することが可能である。

 

バーチャルな共同作業が新しい可能性を開く

BMWグループが常に新しい道を切り開いている理由は、その協力関係にある。例えば、BMW iXの複雑な要件には、従来のエンジニア・ツールではもはや十分に対応できなくなっていた。そのため、BMWはすでに2015年からEpic Games社と接触を計り、その後間もなく、コンピュータ・ゲーム産業のコンポーネントから一貫して開発されたMixed-Reality(複合現実)システムを初めて車両開発に導入したのである。そのベースになっているのは、Epic Games社のいわゆるUnreal Engine 4だ。

 

MINI Vision Urbanautのワールド・プレミア

「MINI Vision Urbanaut」によって、MINIブランドは、2020年11月17日14:00の#NEXTGenワールド・プレミアにおいて、まったく新しい車内空間のビジョンを提案する。乞うご期待。

 

スクーター・セグメントの定義を一変させるBMW Motorrad Definition CE 04

MINI Vision Urbanautと同様に、#NEXTGen 2020の2つ目のワールド・プレミアも完全に電気走行がテーマである。すなわち、BMW Motorrad Definition CE 04がそれである。ほぼ量産目前にまで改善されたBMW Motorrad Concept Linkは、「プラグド・トゥ・ライフ」をモットーに、顧客のアナログ世界とデジタル世界を結ぶものであり、都市生活者にとっては移動手段のみならず、コミュニケーション手段にもなるのだ。2017年にはまだ急進的で、遠い未来のビジョンといった雰囲気のBMW Motorrad Concept Linkだが、その多くの革新的なエレメントとディテールは、今や、量産化への道を進んでいる。

 

このことは、BMWグループ全体の車両フリートの電動化がすでに大きな進歩を遂げており、近い将来、それがさらに拡大することを明確に示している。すでに2021年、ヨーロッパで販売されるBMWグループ車両の4分の1が電気駆動を装備しており、その数は2025年で3分の1、2030年には半数に増加すると予想される。2023年には、BMWグループの25種類の電動化モデルが顧客に提供され、そのうちの約半分は電気だけで駆動する。

 

多くの分野における現代のリーダーシップ

今日、リーダーシップという言葉が意味するものを、BMWは、#NEXTGen 2020の数々のプロジェクトの中で証明する。世界的に人気の高いニューヨークのストリートウェア・ブランドKith(キス)とのコラボレーションにより、BMW M GmbHは、影響力の大きな若者のファッション・シーンの流行を取り込む。さらに、「The Electrified Wingsuit by BMW i」は、新しい次元への飛躍を可能にする。これにより、オーストリア人のピーター・ザルツマンは、BMW iとBMWグループ・デザインワークスの支援を受けて、電気駆動式ウイングスーツを装着した世界初の飛行に成功した。BMWグループがどのようにトレンドを作り、新しい流行をキャッチし、顧客の要望を先取りしているか、ここに紹介した2例はその一部にすぎない。

 

Eドライブ

BMWグループは、電気走行のプロセス・チェーン全体をカバーする

BMWは、数年前からeモビリティの分野をリードする先進的サプライヤーであり、BMW i3やBMW i8といった革新的な車両コンセプトによって高い評価を得てきた。さらに、最先端の製造方法と製造設備を取り入れることで、最大の「Power of Choice」に基づいて顧客にバランスの取れた製品を提供し、駆動方法に関して顧客の要望とニーズにきめ細かく対応することを目指している。その首位の座をさらに固めるため、BMWグループはeモビリティとモデル・ポートフォリオの拡大を推進している。

 

「現在、第5世代となる駆動技術のパフォーマンスは、BMW iブランドを通じて培われた10年以上の経験が凝縮されたものであり、このことは、高電圧バッテリー、電気モーター、バッテリー・セル、パワー・エレクトロニクス、充電技術といったすべての分野に該当します。あらゆる重要なコンポーネントにおけるこうした包括的な能力により、2年後には電動化モデルの数を25に増やす予定です」と、ドイツBMW本社の開発担当取締役会メンバーであるフランク・ウェーバーは話している。

 

2021年末までに100万台以上のBMWを電動化

2012年に発表され、そのわずか1年後に発売されたBMW i3によって、BMWグループのeモビリティ新時代は幕を開けた。この革新的な電気自動車はまた、BMWグループがこれまで目標に掲げてきた進歩の見本例でもある。すなわち、BMW i3のハイ・ボルテージ・バッテリーの貯蔵容量は、その市場導入以来、取付けスペースを変えずに倍増しているのだ。

 

現在、BMWとMINIブランドでは、ヨーロッパ全体の新規登録車の約13.3パーセントが純粋な電気駆動またはプラグイン・ハイブリッド駆動を搭載したモデルである。BMWグループは、この割合が2021年までに4分の1、2025年までに3分の1、2030年までには半分に増加すると確信している。電気駆動システムを搭載したBMWおよびMINIブランドの車両は、世界74の市場で提供されている。これらの市場では、2019年までに50万台以上の電動車両が販売されているが、2021年末にはその数が100万台以上になると予測される。

 

電気駆動のすべての構成部品をBMWグループで独自開発

この野心的な目標の実現に向けて、BMWグループは、BMW eDriveテクノロジーのすべての構成部品を独自開発している。電気モーター、ハイ・ボルテージ・バッテリー、充電技術、パワー・エレクトロニクスで使用されるコンポーネントの品質は、2011年以来、BMW iブランドで培われた経験に基づいている。

 

ディンゴルフィン工場に開設された電気駆動のコンピテンス・センターでは、今後、電動車両用のバッテリー・モジュール、ハイ・ボルテージ・バッテリー、電気モーターが8つの生産ラインで製造される。BMWグループは、今後数年間でさらに4つのラインを拡張し、この拠点の生産量を大幅に引き上げる予定である。この電気駆動生産のコンピテンス・センターは8万平方メートルの製造面積を有しており、2015年当時の8,000平方メートルから10倍増になっている。2022年にはディンゴルフィン工場だけで年間50万台以上の電動車両用電気駆動装置を製造することが目標として掲げられている。

 

ディンゴルフィン工場には、電気自動車コンポーネント製造における長年にわたる専門知識の蓄積がある。2013年以来、この工場ではBMW i3のハイ・ボルテージ・バッテリーが量産されている。2015年からは、さらに電気モーターも生産されるようになった。現在、ディンゴルフィン工場は、BMWグループの「Power-of-Choice」アプローチのモデル工場である。なぜなら、この工場では革新的な製造システムにより、完全な電動モデル以外にも、プラグイン・ハイブリッド・モデルやエンジン搭載モデルもまとめて生産しているからである。このことが、この工場を現在と未来のモビリティの多様な可能性と期待に応えるモデル・ケースにしているのだ。

 

BMWグループは、電気走行のプロセス・チェーン全体をカバー

バッテリーに関して、ディンゴルフィン工場と並ぶ生産能力を有しているのがミュンヘンだ。2019年に開設されたバッテリー・セルのコンピテンス・センターは、研究開発から、機能設定、デザイン、量産に至るまでのバッテリー技術のバリュー・チェーン全体を形成している。このようにして、BMWグループは、現在すでに、次世代のバッテリー・セルを開発中である。ここでは、エネルギー密度、取得可能なピーク電力、寿命、安全性および充電特性の改善、さまざまな温度での挙動など、顧客にとって重要な機能、さらにはコスト削減が焦点となっている。

 

2022年、リチウム・イオン電池製造に関する知見がBMWグループの新しいパイロット工場で実行に移される。このパイロット工場はミュンヘンのパルスドルフに建設され、eモビリティの先進的サプライヤーとしての地位をさらに強固なものにするための重要な一歩である。これにより、BMWグループは、電気走行のプロセス・チェーン全体を自社で行う初めての自動車メーカーとなる。

 

BMWグループの電動ドライブ・トレイン戦略の核心は、最大の「Power of Choice」である。これは、顧客の個別要求に対して常に最善かつ最適な総合パッケージを提供することを意味している。eモビリティの分野において、このことは、パフォーマンスと航続距離の完璧なバランスを達成することに他ならない。効率性の向上とプロセスのスピード・アップを同時に実現する過程で重要な一歩となったのが、革新的なテスト方式とテストケースの開発である。

 

この目的のために、BMWグループはミュンヘンにeDriveシステム・テスト装置を装備した。この装置は、新しいシステム・コンポーネントの開発を最初からサポートするもので、想定されるあらゆる運転操作のテストを可能にする。そのために、極めて動的なダイナモメータが、晴れ、雪、雨、風であろうと、ニュルブルクリンク北コースや市街地であろうと関係なく、転がり抵抗、空気抵抗、勾配抵抗、加速抵抗、慣性抵抗のシミュレーションを希望に応じて作り出す。これらのことがすべて、毎日24時間可能なのだ。必要に応じて、このシステムは、自宅からのテスト走行も実施することができる。BMWでの電気駆動分野の開発作業は決して立ち止まることはない。それどころか、より速いペースで常に前進を続けている。極めて優れた機能を備えるeDriveシステム・テスト装置もまた、そのことに貢献している。これにより、テスト時点では触れることのできる製品として未完成のコンポーネントでさえもテストすることが可能だ。そうした製品は、バーチャルな構成部品としてテスト装置でシミュレーションされる。このことは、効率性の向上に伴って、イノベーションの開発期間を最大1年半短縮する。

 

eDriveの第5世代:生産とサステイナビリティの両面における大きなメリット

現在、BMWでは、独自のeDriveテクノロジーの第5世代が使用されている。いわゆる高集積電気駆動コンポーネントのハイライトは、主にレア・アースの回避、電気モーターとトランミッション、そしてパワー・エレクトロニクスを1つのハウジングに統合したことによるコンパクト構造、さらにはモジュラー構造による柔軟な拡張可能性である。この駆動システムは、すべての車両コンセプトと互換性があり、異なるモデルのさまざまなアウトプット・ステージで使用可能だ。2021年以降、eDriveテクノロジーはBMW i4およびBMW iXモデルにも使用される。

 

サステイナビリティの先駆者として、BMWグループは、第5世代バッテリー・セルの生産でグリーン電力のみを用いるという契約をサプライヤーと結んでいる。今後、生産量が増加すれば、次の10年で約1,000万トンのCO2削減に貢献できるだろう。比較すると、この量はミュンヘンのような100万都市が1年間に排出するCO2に相当する。

 

「今日すでに、BMWグループはeモビリティの未来を形成する新しい車両コンセプトを開発しています。電気駆動は、技術的イノベーションやサステイナビリティ促進への重要なステップだけに留まらず、駆けぬける歓びを新たなレベルに引き上げる可能性も持っているのです」と、電気駆動開発部長マルティン・シュスターは言う。これを立証するため、現在、いわゆる「Power‑BEV」試作車が非公開で試験中である。この試作車は技術的に実現可能なことを探っている。最新型BMW 5シリーズの量産車には、530 kW/720 PS超の最大出力を有する第5世代のエレクトリカル・マシンが3台搭載されている。この3つの駆動システムは、制限を設けることなくパッセンジャー・キャビンに統合され、究極の前後方向と横方向ダイナミクスを提供する。プロトタイプには、個別に制御可能な2つのエレクトリカル・マシンがリヤ・アクスルに搭載され、これらはEトルク・ベクタリングによって純粋なドライビング・プレジャーを提供し、電気駆動でのBMWらしい駆けぬける歓びをまったく新しい形で、かつ集中的に体験可能にするものである。

 

コネクティビティ

最高レベルのネットワーク化、演算性能、データ処理、インテリジェンス

群知能の原理は、特に蜂によって知られている。ここでは、蜂の巣箱にいる個々のメンバーが交流し、通信しているが、彼らはまた、協働する全体生物として、例えば営巣場所の探索や食料源までの効率的な経路といった知的な決定を行う。群の情報に基づくそのような決定は、一部で個々の知能を明らかに上回るものだ。

 

BMWグループのコネクティビティの重要な考え方もこの原理に基づいている。BMWグループのデジタル・カー上級副社長クリストフ・グローテは、「BMWのユーザーは、今日すでに、当社のネットワーク化されたフリート車両の群知能から恩恵を受けています。センサーを装備したインテリジェントな車両が、交通情報、駐車場情報、危険状況や交通標識などの情報を収集します。これらのデータは、BMWグループのクラウドで匿名化され、集約され、機械学習によって評価されます。重要な情報は、状況に応じて車両にフィードバックされます。これにより、1,400万の他の車両から集められた知識が個々の車両に提供されます。ある意味で、群は人間が知ることができるよりも多くのことを知っているのです」と説明する。

 

デジタル車両プラットフォーム

BMW車両フリートの高度なネットワーク化は、決定的な違いを生む。BMWグループは、20年以上にわたりコネクティビティの経験を積み重ねてきた。すでに1997年には、最初のSIMカードが車両に取り付けられ、その後、BMWコネクテッド・ドライブによってネットワーク化されたことで、カスタマイズされたコネクティビティへの道が切り開かれた。今日に至るまで、開発は急ピッチで進められている。BMW iXに導入される新しいデジタル・プラットフォームは、ネットワーク化、パフォーマンス、インテリジェンスの点で新たなベンチマークを打ち立てるものだ。すべての車両機能がフル・ロードで作動する場合、オンボード・ネットワーク内で処理されるデータ量は、現在の車両世代の10倍から最大20倍となり、最大で30 Gbit/sにも達する。これを可能にするのが、初めてBMWで採用されるギガビット・イーサネット・テクノロジーである。

 

比較すると、BMW iXのオンボード・ネットワークは、1枚のDVD全体のデータ容量を1秒少々で伝送可能だ。データ容量の増加は主に車両センサーの改良に起因しているが、アシスタント・システムには必要なことである。

 

30以上のアンテナと組み合わされた多数の高性能センサーと、一握りの中央高性能コンピュータに複雑なソフトウェア機能を収束する高度に集中化されたアーキテクチャとが、BMW iXを走るデジタル・トップ・パフォーマーにしている。BMW iXに初めて採用されたこのテクノロジー・キットにより、非常に複雑な新しい車両機能が実現可能になる。

 

ネットワーク化の先駆者

このことをベースにして、取得したデータは驚くべきスピードで迅速処理される。すでに車内で事前処理されたデータの一部はBMWのクラウドに送信される。集約され匿名化されたフリート・データはそこで分析され、機械学習によって評価される。その後、重要な情報が状況に応じて車両にフィードバックされ、戻されたデータはドライバーの快適性、効率性、安全性の向上に貢献するという仕組みになっている。

 

現在の車両でもすでに、例えば駐車場情報を使って、どこの駐車場が利用可能かどうか、算出された到着予想時刻にどれくらいの確率で駐車場が空いているかを表示することができる。これらのデータに基づき、残りの区間について、目的地付近でもっとも可能性の高い駐車場を見つけられるルートが正確に算出される。ユーザーは、これによって時間を節約し、ストレスを軽減できる。大都市では、駐車場を探している車だけでも、ピーク時の交通量全体の最大3分の1を占めている。駐車場を探す車の量が減れば、燃料や都市の有害物質排出量を劇的に軽減することが可能だ。このことはすべての人にメリットがある。

 

デジタル化とネットワーク化の度合いはBMWグループの新世代車両のシグナルであり、寿命サイクル中も絶え間なく改良され続ける。モジュラー式車両ソフトウェアBMWオペレーティング・システム7が2018年に導入されて以来、BMWグループは、最新世代のモデルに包括的なBMWリモート・ソフトウェア・アップデートを「オーバー・ジ・エア」で提供している。これにより、BMW車両は、工場から出荷されたばかりの車両でも、すでに路上を走っている車両でも関係なく、常に最新の状態に保たれている。2020年10月中旬に、メーカー史上最大のアップグレード・キャンペーンがスタートした。75万を超える世界中のBMWが、クラウドべースのナビゲーションBMWマップやAndroid AutoTMの統合など、数々の新機能やアップグレードを入手している。さらに、これはヨーロッパのメーカーが運用開始した中でも最大規模の「オーバー・ジ・エア・アップデート」である。

 

BMWグループは、シリーズ生産で5Gを採用した最初のプレミアム・メーカー

BMW iXは、さらにその一歩先を行く。BMW iXは、5Gモバイル無線規格を搭載した初めてのプレミアム・カーになる。5Gは、極めて高いデータ帯域幅と低レイテンシー(それによる高速データ伝送)を提供するだけではなく、車両とその周辺環境とのネットワーク化の可能性もさらに拡大する。5Gは、データおよびセンサー情報をBMWクラウドにリアルタイムで伝送および受信するためのベースになるものだ。これに加え、5Gネットワークによって初めて提供される最新のクオリティ・オブ・サービスにより、エンターテイメント、インフォテイメント、自動運転、そして交通安全性の分野で、大幅な改善とイノベーションを実現することができる。さらに、伝送速度はクラウド化を新しいレベルに引き上げることも可能だ。CPU負荷の高い車両機能はBMWクラウドに保存される。そこではデータ・センターの集中的パフォーマンスが使用できるため、大容量データや複雑なタスクを処理することができる。5Gにより、計算されたデータは数ミリ秒で車両に送り返される。

 

さらにセル方式の移動無線技術と、とくに5Gによって、車両を他の道路利用者とネットワークでつなぐことも可能になる。C-V2X(Cellular Vehicle to Everything)通信により、車両、モーターサイクル、バス、トラックは、相互に通信できるばかりでなく、歩行者や自転車またはスクーターに乗っている人のスマートフォンとも通信することができる。さらには、インフラとの通信もモバイル無線ネットへの接続なしでダイレクトに行われる。このようにして、実際の交通状況の中で移動方向など情報を交換したり、潜在的な危険がある場合に警告を発信したりすることが可能になる。

 

5Gは少なくとも次のレベルのネットワーク化を意味しており、モビリティの新たな進化ステージを実現する大きな一歩なのだ。

 

機能はさらに複雑に、操作はより簡単に

車両の機能性とネットワーク化の拡大、そして大幅なデジタル化は、必然的にシステム全体の複雑性ももたらす。しかし、車両の操作はさらに簡単になり、より直観的で自然になっている。それを可能にしているのが、1つには車両のインテリジェンスと自動化のレベルアップがあり、他方ではBMW iXにおけるシャイ・テクの導入、そして操作エレメントの削減と分かりやすい配置がある。インテリジェンスの増大により、ドライバーは複雑なタスクから解放されるのだ。ドライバーは重要なことにだけ集中し、駆けぬける歓びを存分に味わえる。インテリジェンスがより多くの機能を引き継ぎ、より多くの情報を提供するようになると、それは同時に、車両がヒューマン・コンピュータ・インタラクションにおいてより積極的な役割を担うことを意味する。結局のところ、モビリティという文脈の中では、ドライバーよりも車両の方がより多くのことを知っているのだ。例えば、最寄りの空き駐車場や高速充電ステーションの場所、数百メートル先で雨が降っていること、数キロ先に救助用の路肩があること、あるいは道路工事のためにもうすぐ一時的な制限速度があることなどは、ドライバーにとって重要な情報である。ここでもっとも重要なのは、正しいタイミングで適切な場所に重要な情報が提供されること、人間は状況に合った方法でそれに反応し、交流できることだ。BMWグループのインタラクション設計では、操作部、タッチ、言語、ジェネレーターによるマルチモダリティを採用している。

 

開発における集中的なデジタル・リテラシー

BMWグループで働くデジタルのプロフェッショナルたちは、情熱と完璧を目指す努力によって革新技術を車両に注ぎ込み、ハードウェアとソフトウェアを調和的な方法で融合させている。彼らはモビリティとデジタル世界をネットワークで結び、顧客のデジタル・エコシステムにシームレスに組み込まれる高度に集積・統合された装置として車両を形成する。

 

BMWグループの仕事は、国際的な開発ネットワークの中で行われ、中国からヨーロッパのミュンヘン研究開発センターへ、そしてクリティカル・テックワークス(Critical TechWorks)のあるポルトガルから米国のさまざまな拠点までグローバルに展開する。このようにして、極めて多彩な能力や技術力のみならず、とりわけ各地域のさまざまな顧客ニーズもまたコンセプトと開発に注ぎ込まれている。7,200人を超えるソフトウェアおよびIT専門家による若いチームは、主にソフトウェア・エンジニア、UXデザイナー、心理学者、データ・サイエンティスト、さらにはAI、ロボティクス、自動運転、スマート・プロダクションのエキスパートから構成されている。共同作業のために特別に開発されたワークスペースでの機敏な作業プロセスと作業方法が短期の開発サイクルとイノベーションサイクルをサポートする。

 

インターフェース設計の分野だけでも、年間平均70件の顧客スタディが実施される。これらの研究は、顧客中心かつデータ支援型の開発において不可欠な要素である。そうすることで、プロトタイプの使いやすさを継続的にテストし、顧客のメンタル・モデルと比較することが可能になるのだ。こうしたフィードバックは評価され、引き続き次の開発段階に注ぎ込まれる。しかし、このプロセスには車両フリートからの匿名化されたデータも使用される。データ伝送に同意した顧客の車両から得たデータは集約され、匿名化され、大多数のユーザー行動や世界の各地域間における違いについてさまざまな情報を提供する。顧客中心型開発のさらなるツールは、特殊な対話形式ならびにトレンドの探索と調査である。最大の目的は、できるだけ簡単かつ直感的に操作することができ、あらゆる顧客グループに適合し、フレキシブルでカスタマイズ可能なシステムを開発することだ。

 

バーチャルな共同作業

BMWグループは、ゲーム業界のテクノロジーを採用

「フォートナイト」がBMW iXと何の関係があるのかという質問の答えは、実績あるBMW評論家やゲーム専門家でさえも驚かせるだろう。なぜなら、2020年5月で3億5,000万人以上のプレーヤーを擁する、近年でもっとも成功したコンピュータ・ゲームと、最新技術を搭載したBMWグループのフラッグシップが同じベースを共有しているからだ。すなわち、両者ともEpic Games社のUnreal Engineを開発に使用している。

 

意外に思えるかもしれないが、よく考えてみると、これは極めて論理的な結論である。なぜなら、新時代の駆けぬける歓びの幕開けを象徴するBMW iXには、車両開発の考え方を一新することが必要だったからだ。これまで使用されてきたエンジニア・ツールは、この車両の複雑な要求に対応できなくなっていた。さらに、BMWグループは、顧客のためにBMW iXの機能と使用体験をこれまでにない新しいレベルにまで引き上げるという目標を設定したのである。

 

「BMW iXの開発で、私たちはまったく新しい道を進んでいます」と、ドイツBMW本社の開発担当取締役会メンバーであるフランク・ウェーバーは話す。「例えば、私たちはゲーム分野の革新的なテクノロジーを採用し、デザインと技術の間のインターフェースをできる限り現実に近い形でビジュアル化しようとしました。BMW iXは、私たちが手を加えたゲーム・エンジンから開発された最初の車両です」

 

Epic Games社とのパートナーシップ

このことは、BMWグループにとってBMW iXの開発を根本から新しく考える重要な根拠だった。すでに2015年、BMWはEpic Games社と接触を計り、その後間もなく、コンピュータ・ゲーム産業のコンポーネントから一貫して開発されたMixed-Reality(複合現実)システムを初めて車両開発に導入したのである。そのベースになっているのは、Epic Games社のいわゆるUnreal Engine 4だ。「フォートナイト」とレーシング・シミュレーター「アセット・コルサ・コンペティツィオーネ」もこのエンジンをベースにしている。

 

マティアス・オーバーハウザー(プロダクト・オーナー・デザイン・アンド・バーチャル・プロダクト・エクスペリエンスBMW)は、「ゲーム・テクノロジーは今日すでに、例えば仮想現実やユーザー同士のインタラクションなど、私たちがエンジニアリング・ツールで欲している多くの機能を提供しています。そこで、プロジェクトの見本としてこのゲーム・テクノロジーを採用したのです。私たちは2015年からBMWグループの小さなチームでゲーム・エンジンの改良に着手し、最終的に車両開発で使用できるようにしました」と話す。

 

とくに初期の開発段階では、このシステムの導入によって多くの時間と労力が削減される。導入前、仮想現実の研究は高価な特殊システムでなければ実施できなかった。家庭用電子製品を使用できるようになったことで、開発者は予想を遙かに上回る柔軟性を手に入れた。というのも、変更があればすぐに実行してテストできるからだ。さらに、世界中の開発者は自分のいる拠点から意志決定に参加できる。遠くまで出張する必要はない。まず、原案は仮想現実環境と3D眼鏡を使って検討が行われ、その後ようやくその他の試験を実施するためにリアルな建造が行われるのだ。

 

Epic Games社ビジネス・ディベロップメント・マネージャー、マニュファクチャリングのダグ・ウルフは、「BMWの担当者が当社にやって来たときは正直びっくりしました。しかし、とくにデザインと技術間のインターフェースに関して、ゲーム業界の革新技術を車両開発に応用するというアイディアはとてもエキサイティングなものでした。その意味で、BMWは自動車業界のみならず、ゲーム・エンジン・ベースのコラボレーション・ツール分野の圧倒的な先駆者ではないでしょうか」

 

複合現実環境がBMW iXの開発をサポート

しかし、BMWは、BMW iXの開発でさらに一歩先を行く。その例が、華やかな車内空間を演出する技術の導入である。車内については、視覚的な印象だけでは不十分な場合が多いため、BMWは再使用可能なインテリア構造を採用した。この構造は、ラピッド・プロトタイピング(高速な試作)を用いることで複合現実の意味での知覚を追加的にサポートする。これは、仮想現実を用いて実際に感じることができる表面と操作部のインテリジェントな組み合わせである。

 

その結果、全体的な体験が可能になり、その体験は、例えばBMWらしいエンジン・サウンドを精密に再現することなどでさらに改善される。仮想現実モデルとの連携により、さまざまな環境で車両を体験することができる。それによって生まれる極めてリアルな車両印象は、従来の自動車産業界では非常にユニークなものである。

 

視覚的な仮想現実体験によって車両機能と新しい車内コンセプトをスピーディに表現できるため、とりわけ大都市での走行をシミュレートすることが可能になる。ここではとくに、周辺の360° ビューがどのように見えるか、あるいはアングルやシート・ポジションに応じたディスプレイの表示の認識具合やアクセス具合をテストすることができる。この場合、開発エンジニアは、リアルな車両の中でリアルな交通状況を体験しているかのような印象を持つのだ。

 

BMWグループは、さらなる部門でゲーム・テクノロジーの導入を拡大

BMW iXは、ゲーム・テクノロジーを使って開発された初めてのBMW車両である。エンジニアとデザイナーは、車両の静的形状を評価できるばかりでなく、開発段階の中で、BMW iXをその全機能と併せて仮想体験する機会を常に持っていた。

 

しかし、このことはBMWグループにとって始まりに過ぎない。なぜなら、将来のプロジェクトにとってゲーム・テクノロジーの可能性は非常に大きく、車両開発に限らず、デザイン、生産、販売などのその他の分野にも大きな変革をもたらしているからだ。BMWグループは、すでに多くの部門で家電技術の短い開発サイクルを採用しており、この技術を改良して、ほぼすべてのプロセスに利用・拡張されるプラットフォームを作り上げている。現在、例えば工場のプランニングなどの他のBMWプロジェクトやディーラー各社も、BMW iX生産での経験から学び、恩恵を受けている。

 

人口知能

自動運転と自然な相互作用のベース

BMWグループは、現在、自動運転をはじめ、とりわけ車両自体におけるできる限り自然な操作体験のベースとして、400以上のアプリケーションと各関連部門(開発など)で人工知能(AI)を使用している。「人工知能は、BMWグループで中心的役割を担っています。人工知能は、営業、生産、あるいは研究など、あらゆる部門でビッグデータの処理と解釈に役立っています」とBMWグループ・インテリジェント・パーソナル・アシスタント部長シモン・オイリンガーは言う。

 

すべてのAIアプリケーションの基礎としての包括的データベース

人工知能の各アプリケーションの前提条件は、包括的なデータベースだ。ドライビング・シミュレーション・センターで交通状況をバーチャルで再現し、次にBMWグループの車両を自動運転に適合させるには、まず初めにリアルな道路網と交通状況をデジタル化する必要がある。

 

従って、データ・ドリブン開発のベースとなるのは、BMWグループ・オートメイテッド・ドライビング・テストフリートの車両によって世界中から持ち込まれるデータであり、さらに2019年末からはBMWグループの顧客車両からのデータも加えられている。もちろんこれは、情報を匿名化し、転送および処理への同意を得た上でのことだ。

 

2020年10月には、ヨーロッパおよび北米地域から2万5,000キロメートルを超える「経験」が提供された。BMW保有車両とBMW顧客車両の2つのソースから集められたデータの合計から、とくに重要な走行シナリオと環境要素を選択し、それらの関連性を継続的に高めている。

 

次に、その中からAI支援シミュレーションにとって特に難易度の高いシナリオが抽出され、ドライビング・アシスタント・プロフェッショナルのような複雑なドライバー・アシスト・システムや将来の自動運転アプリケーションの開発で現実の複雑性を完全に考慮できるようになっている。

 

こうしたデータ容量の処理を引き受けているのが、ターゲット拡張で230ペタバイト超のメモリー容量を持つBMWグループ・ハイ・パフォーマンスD3プラットフォームと、10万個以上のプロセッサー・コアと200を超えるGPU(Graphics Processing Units)を持つ超高性能コンピュータ・プラットフォームである。

 

BMW iXでの自動走行の開発

AIが収集したデータに基づいてアルゴリズムを開発し、それによって安全かつ予測的な自動運転機能を算出することなくして、自動運転のさらなる改善は不可能である。すべての計算結果は、ウンターシュライスハイムのBMWグループ自動運転キャンパスで直接テストされる。このキャンパスは、高性能グラスファイバー・ケーブルによって数キロメートル離れたBMWグループ・ハイ・パフォーマンスD3プラットフォームに直接接続されている。

 

将来的にはBMW iXもまた、自動運転の持続的な改良に重要な役割を担うことになる。「BMW iXは、複雑なタスクを処理するため、刷新されたテクノロジー・キット、演算性能、高性能センサー、高度なデータ・ドリブン開発、そしてAIの埋め込みによって、自動運転の機能を数年にわたり一貫して改善する可能性を提供します」と、BMWグループのデータ・ドリブン開発およびAIエキスパートであるアンドレ・ロスコフは話す。

 

現在すでにBMW車両で体験できるAI

今日すでに、BMWグループの車両に乗るドライバーや乗員は、人工知能の利用と体験が可能である。2018年末以来、多くのモデルに提供されているインテリジェント・パーソナル・アシスタント(IPA)は、AIを利用して車両の操作を簡略化している。コマンド「Hey BMW」で、ドライバーはIPAを起動し、設定されたコマンドを使わずに音声コマンドだけで多くの機能を制御できるのだ。「そのための鍵がAIと機械学習です。この2つは、自然な相互作用、すなわち車両の直観的操作の領域で不可欠であり、快適性と乗員の安全性の両方を改善します」とシモン・オイリンガーは話す。

 

ドライビング・シミュレーション・センター

自動車産業界の新しい測量用スタジアロッド

まったく新しいドライビング・シミュレーション・センターの建設で、BMWグループは、とりわけスーパー・キャパシター、ダイレクト・ドライブ・リニア・モーター、そして360度投影を採用し、あらゆる計画で顧客中心主義を念頭に置いている。その結果が、新しい基準を打ち立てるドライビング・シミュレーション・センターである。

 

ドイツBMW本社の開発担当取締役会メンバーのフランク・ウェーバーは、「ミュンヘンに新しく建設されたドライビング・シミュレーション・センターは、総面積1万1,400 m²の敷地に14台のシミュレーターを装備しており、業界の中でも最先端の設備を備えた、幅広い用途に使える施設になっています。ここには、ダイレクト・ドライブ・リニア・モーターを使用する極めて動的な設備をはじめ、さまざまなモーション・システムを持つシミュレーターが設置され、BMWのドライビング・フィールをリアルに再現します。これにより、バーチャルな開発をさらにレベルアップできるのです」と話す。

 

2018年に建設がスタートし、段階的に運用が開始されているミュンヘンの新しいドライビング・シミュレーション・センターによって、BMWグループは自動車産業界の先進的なコンセプトを実現した。車両開発と研究のため、この施設であらゆる可能性を創出することで、将来の製品要件が現実に忠実にテストされ、シミュレートされる。

 

あらゆる開発段階で最適なシミュレーション・ツール

この新しいドライビング・シミュレーション・センターは、車両開発のすべての領域と段階に最適なシミュレーション・ツールを提供し、まったく新しいレベルで顧客を開発に巻き込むものだ。「私たちは、研究のために一日に100台までテストを行うことができます」とミヒャエル・ブラッハフォーゲル(BMWグループのインテリア、ユーザー・インタラクション、ユーザー・エクスペリエンス、走行シミュレーション研究責任者)は言う。彼はバーチャルな試験走行にBMWグループのエンジニアだけではなく、外部の被験者も採用している。「この新しいドライビング・シミュレーション・センターは、顧客中心の製品開発に大きく貢献しています。顧客からのダイレクトなフィードバックをいつでも開発に取り入れることができるからです」と話す。

 

あらゆる細部のバーチャル体験が可能

BMWグループにおける運動性能領域の開発では、長年にわたり走行シミュレーションが基本的役割を担っている。この新しいドライビング・シミュレーション・センターにより、バーチャルな開発プロセスがさらに拡大されるため、プロトタイプの数や開発プロセスの時間を削減することが可能だ。「初期の開発段階と保護段階の両方において、BMWらしいドライビング・フィールを形成するあらゆるニュアンスを最先端のシミュレーターで体験することができます」と、運動性能開発における走行シミュレーションのエキスパートであるトーマス・ラッハナーは言う。

 

高度にネットワーク化されたインテリジェント車両では、開発に求められる要件も増加の一途だが、このセンターはそれにも最適な形で対応している。例えばドライバーの方向転換の危険やマルチ・モード操作の効果などを分析するために、新しい表示および操作コンセプトを集中的にテストすることができる。「走行シミュレーションの詳細なテストを使えば、車内にいる顧客が正しいタイミングと場所で適切な情報を受け取れるようにシステムを設計できます。さらに、そのことはすべて、想定可能なあらゆる走行状況において、できる限り直観的な方法で行われます」と話すのは、マリオン・マンゴールド(ユーザー・インタラクション・デザインのチームリーダー)だ。

 

危険が伴い、かつ滅多に起きない交通状況を道路上で試験することは非常に困難である。従って、将来のドライバー・アシスト・システムおよび自動化機能の開発にとって、走行シミュレーションは大きなメリットを提供する。シミュレーターでは、そのような状況をより安全な環境で極めて詳細に思いどおりに再現できるからだ。「私たちは、ドライブ・アシスタント機能の導入を余念なく準備しています。走行シミュレーションは、当社の顧客のために最善でもっとも安全な製品開発に大きく貢献しています」と、使用安全性および効果分析のエキスパートであるマヌエラ・ヴィットは言う。

 

シームレスなシミュレーションに完全に没入する

被験者をバーチャルな走行状況により深く没入できるようにするため、BMWグループのシミュレーション・エキスパートはシームレス・シミュレーター・エクスペリエンスを設計した。この場合、選択された研究の被験者は、VR眼鏡を掛け、将来的には例えばバーチャルなBMWまたはMINIのディーラーから、入口前に停止しているテスト走行車両までの道を歩く。VR眼鏡はシミュレーターの直前で取り外す。これを行うことで、被験者は非常に高いレベルでシミュレーションに没入できるという。「これにより、顧客向け機能の最適化にとって妥当であり、信頼性の高い結果が得られるのです」と、走行シミュレーション・センターのプロジェクト・リーダーであるマルティン・ペラーは言う。

 

リアルなBMWドライビング・フィールのため、ハイ・エンド・シミュレーターはダイレクト・ドライブ・リニア・モーターを使用

高忠実度シミュレーター内では、極めて詳細かつ高い精度で走行イベントが再現される。これにより、自動運転のシステムにとって非常に多くの課題をもたらす市街地交通の複雑な状況も、実験室条件下で初めて再現可能になる。高忠実度シミュレーターには400 m²弱の移動面があり、そこでは車両の縦方向と横方向の動作、そして回転動作を同時に行うことができる。このシミュレーターの場合、合計83トンの質量が最大0.65 gの加速度で動く。長さ21メートルに及ぶスライドと23トンの移動質量によって、この高忠実度シミュレーターは最大1.0 gの縦方向および横方向加速度を発生させる。これは、新しいドライビング・シミュレーション・センターの2つ目のハイライトである。これにより、非常に動的な回避操作、フル・ブレーキ、そして集中的な加速の再現が可能となる。

 

2基のハイ・エンド・シミュレーターはホイールとレールからなるシステム上を動く。これは、ステアリング動作などのドライバーの入力に瞬時に反応する最新鋭のシステムだ。この加速により、リニア・モーター・カーの技術と同じく一連の磁石の上を非接触で動く、可動部品を持たないリニア電気モーターが可能になる。この移動システムは、いわゆるスーパー・キャパシターから必要な最高出力を瞬時に供給され、ブレーキ操作時には回生によってエネルギーを再びスーパー・キャパシターの中に貯蔵する。

 

走行シミュレーション・センターに関する詳しい情報はこのリンクから:

https://www.press.bmwgroup.com/deutschland/article/topic/5236/technologie/

 

BMW iX

新時代の幕開け

BMW iXは、BMWグループの新しいテクノロジー・フラッグシップである。デザイン、サステイナビリティ、駆けぬける歓び、多様性、ラグジュアリーの新しい解釈に集中することで、BMW iXは、電気だけによる次のレベルのドライビング・プレジャーを提供し、モビリティ新時代の幕開けを告げる。

 

2021年末に市場導入され、現在、最終的な開発段階にあるBMW iXでは、eモビリティの分野をリードするプレミアム・メーカーとしてBMWグループが過去数年にわたって蓄積してきた成果や経験、そしてイノベーションが、さらに高いレベルまで引き上げられている。これは、完全に新しいテクノロジー・キットをベースにした初めてのBMWモデルであり、当初からeモビリティだけに特化して設計されたものである。

 

「BMWグループは、新たな発見を追求し続けます。このことは、当社の企業戦略で中心となる構成要素です」と、BMW AG取締役会会長オリバー・ツィプセは言う。「BMW iXは、このアプローチを極めて集中的な形で表現するものです」

 

第5世代のBMW eDriveテクノロジーによる卓越した効率と長い航続距離

次なるモビリティの時代は、2021年からBMWグループのディンゴルフィン工場から始まる。これは、近い将来、その他のBMWモデルにも使用される未来テクノロジーへの道を切り開くものだ。BMW iXの心臓部は、第5世代BMW eDriveテクノロジーであり、これには2つの電気モーター、パワー・エレクトロニクス、充電技術、高電圧バッテリーが含まれる。駆動システムは、BMWグループによって開発され、いわゆるレア・アース等のクリティカルな材料を使わずに持続的な生産プロセスで製造された。その最高出力は、最新の予測によれば、370 kW/500 PSを上回り、0~100 km/hを5.0秒以下で加速する。

 

BMW iXは優れた運動性能を有するだけではなく、市場導入時に関係するWLTP試験サイクルにおいて100 km当たり21 kWh以下という、競合環境の中でも卓越した複合電費も提供する。100 kWhを超える総エネルギー容量を備える最新世代の高電圧バッテリーは、600 km以上の航続距離を確保する(WLTP試験サイクル)。これは、EPA試験サイクルのFTP-75モードで300マイル以上に相当する(走行能力、エネルギー消費、航続距離のすべての数値は、車両のこれまでの開発段階に基づく予測値)。

 

最大200 kWのDC高速充電により、BMW iXのバッテリーは、全容量の10~80%をわずか40分で充電可能だ。高速充電ステーションで途中停車すれば、10分以内の高速充電で、航続距離をさらに120km延長することができる。

 

BMW iXのバッテリーは、長期の資源循環を構成する要素として設計されており、とくに高いリサイクル率を確保している。「テクノロジーは、あらゆる困難を克服するために必要な進歩を後押しします。このことは、とくに環境保護の問題に当てはまります」とオリバー・ツィプセは言う。「私たちが確信しているのは、真に卓越したモビリティは持続可能でなければならないということです。BMWグループには、責任を伴わないプレミアム・モビリティなど存在しません」

 

新しい種類のモビリティのためのデザイン

BMW iXはデザインの面でも新境地を開いている。その革新的なデザイン手法は、人気を博しているBMWスポーツ・アクティビティ・ビークル(SAV)の車両コンセプトを新たに定義したものだ。力強いプロポーションを備えるエクステリア、流れるようなルーフ・ライン、低めの面構成により、このローカル・ゼロ・エミッション車両は、日常使用でも旅行でも、快適なモビリティを体験できる空間になる。同時にBMW iXは、例えばBMW X5やBMW X6と同レベルのサイズによって、サステイナビリティ、ドライビング・プレジャー、プレミアム特性に基づく新しい形の卓越性を放っている。

 

イノベーション力とデザインの融合をはっきりと示しているのが、BMW iXの個性的なキドニー・グリルだ。これは、全面的な囲い込み構造をしており、インテリジェンス・パネルのデジタル機能が収納されている。カメラ、レーダー機能、その他のセンサー類がシームレスに組み込まれており、3Dピラミッド構造を持つ透明パネルの後ろに隠されている。BMW iXが自動運転への道を切り開く先進的なドライバー・アシスト・システムは、これによって使用可能になるのだ。さらに、BMWキドニー・グリルの表面は、小さな擦り傷などを室温で24時間以内に消すことができるセルフ・ヒーリング効果も有している。

 

シャイ・テク:シームレスで目に見えないように統合されたハイテク機能

BMW iXの方向性を示すデザインは、とくに室内空間で体験できる。車に乗り込む時にすでに、ドライバーはシャイ・テクの原理を体感する。それはすなわち、テクノロジーは常にバックグラウンドにあり、その機能が現われるのは、使用されるときのみである。ここでは電気式ドア ロックがその例である。インテリアは、5つの全座席の乗員をラグジュアリーなラウンジの雰囲気で歓迎し、車内時間の新たな過ごし方を発見する空間を提供する。

 

トランスミッション・トンネルが廃止されたため、車内は広々とした開放的な雰囲気である。2列目の乗員にも快適なレッグルーム・スペースが確保され、ラウンジのような雰囲気と走行快適性をさらに強調している。

 

すべての表示と操作部は大幅に縮小された。室内空間では、とりわけ、視界に入らないように統合されたスピーカー、複雑なデザインのエア吹き出し口、ヒーター付きサーフェス、インストルメント・パネルの中に控えめに埋め込まれたBMWヘッドアップ・ディスプレイのプロジェクターがシャイ・テクの原理を実現している。さらに、BMWグループのモデルでは初めて、オプションでシート構造の中にスピーカーが組み込まれる。BMW車両初となる六角形のステアリング・ホイール、ギア選択のためのロッカースイッチ、カーブド・ディスプレイは、次世代のBMWオペレーティング・システムの構成要素として、駆けぬける歓びの未来の形を一度に示している。 ディスプレイは、車両乗員からは見えない支持構造によって保持されているので、コクピットの中で独立して存在しているかのようである。このディスプレイは、12.3インチのメーター・パネルと画面サイズ14.9インチの コントロール・ディスプレイの表示エリアを、ドライバーの方へカーブする唯一の表示ユニットに融合させることで、BMWインテリアの伝統的なドライバー重視の表示を次のレベルに押し上げている。

 

「これほど簡単で確実に操作できるユーザー・インターフェース・エクスペリエンスはありません」と、ドイツBMW本社の開発担当取締役会メンバーであるフランク・ウェーバーは言う。「私たちは、BMW iXの新しいデジタル車両プラットフォームによってそれを新たなレベルに引き上げたのです」

 

航続距離と効率の向上に寄与するエアロダイナミクスと軽量構造の最適化

BMWグループによるモビリティ新時代を可能にする技術力も、BMW iXが提案するデザイン、サステイナビリティ、ドライビング・プレジャー、そしてプレミアム特性と同様に卓越したものだ。

 

駆動システムは、第5世代のBMW eDriveテクノロジーが提供する。これには、2つの電気モーター、パワー・エレクトロニクス、充電技術、高電圧バッテリーが含まれる。BMW iXでは、それらが空力特性と車両重量の包括的な最適化措置と組み合わされている。この3つのファクターの相互作用により、エネルギー消費の削減と、それによる航続距離の上昇が可能になった。走行特性と車内の高い快適性も、空気抵抗の軽減や、アルミニウム・スペースフレームと革新的なカーボン・ケージによって軽量化されたボディ構造による恩恵を受けている。

 

BMW iXの空気抵抗値(Cd値)はわずか0.25であり、卓越した空力特性を証明している。このことがとくにプラスに作用しているのが航続距離である。このモデル専用に施された車両前部、フロア・パネル、リヤ、ホイールのエアロダイナミクス処置だけでも、航続距離の65 km以上を占めている。

 

BMW iXに関する詳しい情報はこのリンクから:

https://www.press.bmwgroup.com/deutschland/article/topic/12079/bmw-inext/

 

MINI Vision Urbanaut

Make it your space

「MINI Vision Urbanaut」によって、MINIブランドは、2020年11月17日14:00時の#NEXTGenワールド・プレミアにおいて、まったく新しい車内空間のビジョンを提案する。乞うご期待。

 

BMW Motorrad Definition CE 04

「プラグド・トゥ・ライフ(生活のための接続)」 – 2輪アーバン・モビリティの新しいスタイル

電気駆動、未来指向のデザイン、非常に革新的なコネクティビティ・ソリューションにより、BMW Motorrad Definition CE 04はスクーター・セグメントの定義を変える。ほぼ量産目前にまで改善されたBMW Motorrad Concept Linkは、「プラグド・トゥ・ライフ」をモットーに、顧客のアナログ世界とデジタル世界を結ぶものであり、都市生活者にとっては移動手段のみならず、コミュニケーション手段にもなるのだ。関連するインテリジェント・ライダー・エクィップメントと組み合わせることで、総合的で極めてエモーショナルな、新発想のモビリティ・エクスペリエンスを生み出す。

 

「BMWグループではeモビリティを中心的駆動システムと捉えており、サステイナビリティ戦略として一貫してこの技術を追求しています。とりわけ都市環境での電気駆動システムは、BMW Motorradが現在注目しているテーマです。2013年以来、BMWグループは、量産モデル「BMW C evolution」をこの分野の先駆けとして投入してきました。BMW Motorrad Definition CE 04は、大都市圏におけるeモビリティ戦略を追求したモデルで、近未来の市販車の姿について具体的な展望をもたらし、大都市における2輪車のeモビリティを、技術的にも視覚的にも新たなレベルに引き上げます」と、BMW Motorradのデザイン責任者エドガー・ハインリッヒは説明する。

 

革新的なアーキテクチャと未来指向のデザイン

セグメントを定義付けるデザインのDefinition CE 04は、新しい、都会的な美しさを象徴し、外観の常識を一変させる。2017年ではまだ急進的で、遠い未来のビジョンといった雰囲気のBMW Motorrad Concept Linkだが、その多くの革新的なエレメントとディテールは、今や、量産化への道を進んでいる。電気駆動の技術的条件によって、未来指向のデザイン、実用的な機能に対する基本的ニーズ、すっきりした美しさ、現代のユーザーが追いかけるデジタル現実、従来のスクーターの常識を覆す外観が可能になった。明確なライン、ミネラル・ホワイト・メタリックの広いサーフェス、緻密な形状が現代的なプロポーションを生み出し、二色の色分けがこの雰囲気をサポートする。技術的心臓部– 駆動システム、片持ち式スイング アーム、スプリング・ストラット、コックドベルト – は、マットブラックで塗装されている。ボディ下に搭載されたフラットなバッテリーとリヤ・ホイールのコンパクトな駆動システムは、ヘルメットなどをサイドから入れられる収納スペースなど、ライダーに新たな自由度をもたらしている。同時に、フラットなバッテリーによる低い重心は、遊び心のあるハンドリングとダイナミックなライディングの歓びも提供する。

 

実用性と人間工学

駆動システムとエネルギー貯蔵システムは、自宅からオフィスからまで、あるいは夕方友達と会うために便利な日常の足としての使用を考慮して設計された。都市部に住むターゲット・グループが一日に走行する距離は、主に約12キロメートル程度でしかない。従って、ベンチシートは快適ではあるべきだが、無駄に高いクッション性は必要ない。その結果、フローティング式ベンチシートが開発され、このシートは後ろからでも簡単に乗ることができ、脚の長さや身長にかかわらず一人乗り用として最適な人間工学的形状となっている。

 

ライダーと周辺環境のネットワーク化

デジタル利用でも、BMW Motorrad Definition CE 04は便利で使いやすいソリューションにフォーカスしている。BMW Motorradは、安全性、快適性、エモーショナルな体験について、車両とライダー・エクイップメントの相互作用に将来の大きな可能性を見いだしている。例えばドライバーは、スマートフォンを使い、BMW Motorrad Definition CE 04を通じて周囲の環境と接続される。10.25インチの大型ディスプレイはスクーター・セグメントではこれまでの最大サイズであり、ライダーのデジタル世界とアナログ世界のインターフェースとして機能する。

 

外部とのコミュニケーションの一部としてのライダー・エクイップメント

さらに、このネットワーク化は新しいライダー・エクイップメントもサポートし、これは必要に応じて外部とのコミュニケーション手段も提供する。BMW Motorrad Definition CE 04専用に開発されたウェアの中でも特別なのが、日常使用に適したカジュアルなデザインの暖かいパーカーだ。スリーブとフードにはライト・ケーブルが内蔵されており、道路交通での視認性を高め、スリーブ内のセンサーによってスイッチをオンにすると、照明の色を変更することができる。

 

ライダーがいつでもアクセス可能なように、パーカーの内ポケットにはさらにスマートフォン用の非接触充電機能が装備されている。このライダー・エクイップメントは、シームレスにライダーの生活に溶け込み、都会的でありながら機能性も高いクールなスタイルを提供してくれる。ブラックのライダー用ジーンズ、スタイリッシュなスニーカー、ホワイトのオープン・フェース・ヘルメットを含む新しいライダー・エクイップメントによって、スクーターから降りた後も違和感なく日常に溶け込むことができる。このライダー・エクイップメントは、着心地の良さに加え、もちろんBMW Motorradらしい保護機能も提供し、外部とのコミュニケーション手段にもなるのだ。

 

独自のセールスポイントとしてのグラフィック

節度あるグラフィック・デザインが新しいコンセプトを最適に活用する。しかし、ここではまったく新しい特徴も考えられる。つまり、顧客はモダン・エレガンスからアーバン・ルックまで、自分の個性を表現できるという特徴だ。

 

BMW Motorrad Definition CE 04 に関する詳しい情報はこのリンクから:

https://www.press.bmwgroup.com/deutschland/article/topic/8498/design-konzepte-studien/

 

#NEXTGen Voices

開発の最前線で

開発の最前線にいるということは、BMWグループのような企業にとって、自動車製造で先導的役割を担うこと以上の意味を持っている。つまり、その他のさまざまな分野でトレンドを作り、新しい潮流や顧客の要望に常にオープンでなければならない。

 

Drivers for Change(変化の推進力):変革のリーダーシップをテーマにしたトーク・セッション

自動車業界は変革の時代にあり、BMWグループはそれを積極的に推し進めている。そのサインを明確に打ち出しているのが、BMW iX、MINI Vision Urbanaut、そしてBMW Motorrad Definition CE 04などの車両である。しかし、グローバルに展開する企業にとって、この変化は非常に深いところにまで浸透し、その影響は、製品、生産、プロセス・チェーンだけではなく、具体的には個々の従業員にまで及んでいる。

 

「Drivers for Change」のトークは、#NEXTGen 2020の一環として開催され、「リーダーシップ」がこの変革をどう推し進めるのかをテーマとしている。このトーク・セッションには、デジタル・ライフ・デザイン(DLD)の共同設立者であり社長でもあるステフィ・ツェルニー氏が司会進行役となり、ドイツBMW本社人事および福利厚生担当取締役会メンバーのイルカ・ホルストマイヤー、EOS GmbH社CEOのマリー・ランガー氏らが出席する。パネル・ディスカッションでは、変革とは何か、変革はどのような方向に向かうのか、変革はどのような可能性を与えるのかなど、変革の役割について議論が交わされる。その他のディスカッションのテーマは、変革の時代におけるモチベーションと内なる信念の重要性である。

 

新しい形のスポーツ – BMWのeスポーツ活動

BMWは、スポーツ界でのパートナーシップと活動に関しては昔から真の「グローバル・プレーヤー」である。 2020年、BMWは今もっとも注目されているeスポーツにもその活動範囲を広げ、この分野での存在感を新たなレベルに引き上げている。いくつかの主要なeスポーツチームとのパートナーシップ契約や、急速に成長しているSIMレーシングにおける強力なBMWチームなどがそれに属する。しかし、中心にあるのは常にプレーヤー自身だ。「United in Rivalry(切磋琢磨)」をモットーに、BMWグループは、例えばCloud 9(米国)、Fnatic(英国)、Funplus Phoenix(中国)、G2 Esports(ドイツ)、T1(韓国)といったチームを、人気のあるeスポーツ・ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」の世界王座をかけた戦いでサポートする。その手段としては、若いターゲット・グループへのまったく新しい形のダイレクトなアプローチと、BMW eスポーツ・ソーシャル・メディア・チャンネルでのユニークなストーリーテリングを展開する。8月の「ベルリン・ブロール(Berlin Brawl)」は画期的な出来事だった。ここでは、G2 EsportsとFnaticが直接対戦し、彼らのファンと一緒に盛り上がり、デジタルの「バズ」を巻き起こした。

 

「スポーツでの私たちのすべての活動と同様に、eスポーツのグローバル・パートナーとしてこの競技を全体としてサポートし、力を合わせて発展させます」と、BMWカスタマー・アンド・ブランド上級副社長イェンス・ティーマーは言う。「長期にわたる展開が重要であり、これを私たちはさらに推し進めます。私たちは、生き残るためにここに来ているのです」 同様のことが、バーチャル・レーシング・スポーツ、すなわちBMW Motorsport SIMレーシングにも当てはまる。さまざまなシミュレーション・プラットフォーム上での独自のBMW Cupsでは、BMW M8 GTE、BMW M2 CSレーシング、あるいはBMW M4 GT4といったレーシング・カーのデジタル・バージョンが主役である。2020年12月5日のシーズン・ハイライトは、BMW SIMライブ・イベントだ。この大会では今年もっとも成功したSIMレーサーが出場し、賞金3万USドルをかけて対戦する。

 

eスポーツにおいてもSIMレーシングにおいても、BMWグループは、それぞれのセグメントのスポーツ的側面を強調している。「私たちは、eスポーツをエンターテイメントとして発展させるだけではなく、本当のスポーツとして確立したいと考えています」とティーマーは言う。「例えば、フィジカルとメンタルなフィットネスが重要な要素であることをプレーヤーに伝えることが大切です。PCやコンソールの前にいる時間は、常に配分を考えなければなりません。インターネットとの責任ある付き合い方は、依存症予防や身体的バランスと同様に重要です」と話す。

 

この問題とBMWグループの最新のスポーツ活動に関するその他の多くのテーマは、2021年4月12日に開催されるBMW Weltでの大規模なeスポーツ業界会議「BMW eスポーツ・ブースト」で議論される。ここでは、数多くの新規事項が報告される他、重要なeスポーツのステークホルダーのエキサイティングな対戦も予定されている。このイベントではファンも同様に大きな役割を担っている。BMWグループの主な狙いは、若いターゲット・グループと直接交流することだ。「eスポーツで私たちは、若い、ダイナミックなコミュニティに遭遇しています。こうしたコミュニティは世界各地で常に拡大を続けています」とティーマーは言う。「私たちは若い人々にBMWの魅力を知ってもらいたいのです。そして、このことは、私たちがブランドとの新しい接点を作り、目に触れることができ、コミュニティと交流することによって成功します」

 

4輪上のライフスタイル:BMW M4 Competition x KITH

世界的に人気の高いニューヨークのライフスタイル・ブランドKith(キス)との新しいコラボレーションにより、BMW M GmbHは、影響力の大きな若者のファッション・シーンの流行を取り込む。Kithの設立者で熱心なBMWファンであるロニー・ファイグ氏の協力によって、2021年、エクステリアとインテリアに比類ないデザイン・ディテールを施した全世界150台限定生産のBMW M4 Competition x KITHが誕生する。同時に、Kithは全店舗およびオンラインで、特別デザインによる96点のウェアとアクセサリーからなるコレクションを販売する。限定エディションの納車は2021年夏から開始される予定だ。

 

Kithとその他の世界的に有名な企業との数々のコラボレーションでは、それぞれのロゴを融合させた新しいロゴがトレードマークとなっている。BMWも、今回、コラボレーション・パートナーのために初めて自身のブランド・エンブレムを変更した。150台のBMW M4 Competition x KITHのために、よく知られているBMWエンブレムの周囲に、さらにBMW Mカラーであるライト・ブルー、ダーク・ブルー、レッドのリングがあしらわれている。その上には、明るい色の文字でKithと今回のコラボレーションに関する詳細が記載されている。その他に、M4コンペティション・ロゴから、同じスタイルでBMW Mのストライプが入ったKITHロゴも生まれ、このロゴはオプション装備としてエディション・モデルのカーボン・ルーフ表面に特に目立つように織り込まれる。

 

フローズン・ブラック、フローズン・ダーク・シルバー・フローズン・ブリリアント・ホワイトで注文可能なエディション・モデルは、BMW M4コンペティション・クーペ(燃費(複合モード):10.2 l/100 km、 CO2排出量(複合モード):234 g/km*)の技術をベースにしており、とりわけインテリアには独特な変更が施されている。ライト・ブルー、レッドのディテールが入った3色のMカーボン・バケット・シート、ならびにブラックのレザーによるヘッドレストとセンター・アームレストに刻印されたKITHロゴが特別に仕上げられた。

 

BMW M4 Competition x KITHに関する詳しい情報はこのリンクから:

https://www.press.bmwgroup.com/deutschland/article/detail/T0319271DE/bmw-und-kith-legen-exklusive-edition-des-neuen-bmw-m4-competition-coup%C3%A9-auf

 

新しい次元への飛躍:「The Electrified Wingsuit by BMW i(BMW iによるエレクトリファイド・ウイングスーツ)」

ビジョンとイノベーション精神が出会うとき、素晴らしいことが成し遂げられる。「Electrified Wingsuit by BMW i」による新しい次元への飛躍がそれだ。3年の準備期間を経て、オーストリア人のベースジャンパーでウイングスーツ・パイロットであるピーター・ザルツマンは、BMW iとBMWグループ・デザインワークスの強力なバックアップを受けて、電気駆動式ウイングスーツによる世界初飛行に成功した。軽量の電動式インペラと、すっぽりと覆われたプロペラとを使って、ウイングスーツ飛行でより速く飛び、飛行中に再び高度を上げるというザルツマンのアイディアは、BMW iですぐにその理解者を得た。

 

BMW iのエンジニアは、eモビリティとバッテリー技術で培った彼らの知識と経験のすべてを注ぎ込んだ。デザインワークスのエキスパートも、ウイングスーツならびに2つのカーボン製インペラ(回転数約2万5,000 rpmでの各出力7,500 Wおよび約5分で取得可能な総電気量15 kW)からなるフライ・ユニットのデザイン開発を開始当初からサポートした。BMWグループの風洞での十分な試験によって、最終的に完璧な調整が可能になり、このアイディアが機能することを確認できた。

 

このようにして生まれたのが、「The Electrified Wingsuit by BMW i」である。これによってザルツマンは夢を実現し、ウイングスーツ飛行を新しいレベル、すなわち効率性と持続性に優れ、静音で、圧倒的なものにまで引き上げた。ペーター・ザルツマンは、彼のアイディア、情熱、そして勇気によってBMW iのスタンスを見事に体現した。「Electrified Wingsuit by BMW i」は、どんなことに電力が使えるのか、そして未来は電気的であることを証明している。

 

「Electrified Wingsuit by BMW i」に関する詳しい情報はこのリンクから:

https://www.bmw.com/en/innovation/peter-salzmann-electrified-wingsuit.html?tl=grp-opre-ngpc-brnd-mn-.-.-.-.-

 

2040年のビジョンを探して:#NEXTGen Moving Tomorrow Pitch

#NEXTGen 2020の中で、BMWグループは遠い未来にも目を向け、2040年のモビリティのビジョンを探る。そのために、BMWグループは世界中の名門大学の学生、研究員、教授に、#NEXTGen Moving Tomorrow Pitchへの参加を呼びかけた。その目的は、2040年の持続可能でカスタマイズされたプレミアム・モビリティに対して優れたビジョンを持つ学際的チームを見つけることである。

 

BMWグループはすべての応募者の中からファイナリストを選考した。ミュンヘンの#NEXTGen 2020では、中国の精華大学の2チームとドイツのフラウンホーファー研究所の1チームが最大5分間のビデオで彼らのビジョンを説明し、その後、3人の審査員団を交えてスカイプによる2分間の質疑応答がライブ中継される。審査員団のメンバーは、ドイツBMW本社の人事および福利厚生担当取締役会メンバーで人事部長のイルカ・ホルストマイヤー、デジタル・ライフ・デザイン(DLD)の共同設立者であり社長でもあるステフィ・ツェルニー氏、PHINEO社のCEOで共同設立者のアンドレアス・リッカート氏である。プレゼンテーションの後すぐに審査員団によって選考される優勝チームは、BMWグループのトップ・マネージメントとの交流会「Meet and Greet」に招かれ、賞金1万5,000ユーロが与えられる。

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