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BMWグループがドライビング・シミュレーションの新たな基準を確立
Wed Nov 11 15:00:00 CET 2020 プレスリリース
+++ 自動車産業の同種の施設の中では最も進歩的で多様+++自動車開発のあらゆる段階に理想的なシミュレーション・ツール+++ シームレスなシミュレーション体験と最大限の顧客重視のための先駆的な建築設計 +++
ミュンヘン発:
この新しいドライビング・シミュレーション・センターにより、BMWグループは、自動車研究開発エンジニアが将来の製品要件を現実的条件でシミュレートおよびテストするためのあらゆる機会を創り出そうとしている。ここは、敷地面積11,400平方メートルを占める14のシミュレーターとユーザビリティ・ラボを有し、自動車産業において最も先進的で多様なシミュレーション・センターである。
BMWグループのインテリア、ユーザー・インタラクション、ユーザー・エクスペリエンス、およびドライビング・シミュレーションの研究責任者であるMichael Brachvogelは、「新しいセンターの目的は、自動車開発プロセスのあらゆる領域とあらゆる段階に理想的なシミュレーション・ツールを一箇所で提供することです」と説明する。開発段階における顧客重視も、まったく新たな水準に引き上げられる。「1日あたり最高100人のテスト担当者で研究のためのテスト・ドライブを実施することができます」と、Brachvogelは語る。
開発のあらゆる段階に最適なシミュレーション・ツール
センターは、初期の構想段階から最終的な機能検証段階に至るまで、自動車開発のさまざまな専門家領域に理想的なシミュレーション・ツールを提供する。設備は、モーション・システムのないスタティック・シミュレーターから、約400平方メートルのモーション・エリアによって実験室内に道路を本物そっくりに再現する高忠実度シミュレーターにまでおよぶ。革新的なエンターテイメント技術、表示・操作コンセプト、乗員と車両の多様な相互作用、シャシーの微調整、広範なドライバー・アシスタンス機能、あるいは完全自動運転のためのインテリア・シナリオまで、顧客への適合性に関する自動車開発のほぼすべての側面をここでテストすることができる。
バーチャル・テスト・ドライブは、BMWグループのエンジニアだけではなく、外部のテスト担当者によって定期的に実施される。「新しいドライビング・シミュレーション・センターは、顧客中心の製品開発に多大な貢献をします」と、Michael Brachvogelは述べる。「私たちは、顧客からの直接のフィードバックをいつでも開発プロセスに取り入れることができます」。
細部に至るまでシミュレートしてテスト:駆けぬける歓びをバーチャル形式でサンプリング
ここ数年間、BMWグループでのドライビング・ダイナミクス開発において、ドライビング・シミュレーションが重要な役割を果たしてきた。新しいドライビング・シミュレーション・センターは、バーチャル開発プロセスのさらなる拡張を可能にし、作る必要のあるプロトタイプの数と開発サイクルの期間を削減する。ドライビング・シミュレーターのボタンを押せば、ほんの数秒でタイヤやアクスル全体を交換したり、世界中のテスト・ルートを選ぶことができる。夏から冬へ途切れなく移り変わることさえ可能である。ありとあらゆる影響要因をシミュレーションの中で高精度に再現することができる。「開発の初期段階と検証段階のいずれにおいても、BMWの名高いドライビング・フィールの作り込みに用いられるあらゆるニュアンスを、最先端のシミュレーターでサンプリングすることができます」と、ドライビング・ダイナミクス開発チームのドライビング・シミュレーション・エキスパートであるThomas Lachnerは語る。
新しいドライビング・シミュレーション・センターは、インテリジェントな高度にネットワーク化された車両の開発に伴って高まり続ける要求に完璧に対応する。ドライバーの注意をそらす危険やマルチモーダル制御方式の効果を分析するために、新しい表示・操作コンセプトに徹底的なテストを課すことができる。「ドライビング・シミュレーターでの広範なテストのおかげで、車内の顧客が適切な情報を適切な時に適切な場所で、可能な限り簡単かつ直観的な方法で、想定されるあらゆる走行状況において得られるように、システムを設計することができます」と、ユーザー・インタラクション・コンセプト・チームを率いるMarion Mangoldは述べる。
ドライビング・シミュレーションは、特に将来のドライバー・アシスタンス・システムと自動機能の開発に多くの利点をもたらす。危険を伴う、または現実の走行ではごく稀にしか起きない道路状況を道路上でテストすることは、ほとんど不可能である。シミュレーターでは、それらを安全かつ極めて詳細に必要なだけ何度でも再現することができる。さらにシナリオの個々の状況を、必要に応じて変更し、組み合わせることができる。その結果、ロード・テストが始まる前に、複雑なシステムをさまざまな現実的条件でテストすることができる。「ドライバー・アシスタンス機能の導入の準備は、極めて徹底しています。顧客のために最も優秀で安全な製品を開発できることを保証する上で、ドライビング・シミュレーションは重要な要因です」と、使用上の安全性と効果の分析のエキスパートであるManuela Wittは述べている。
巧妙な運搬・結合システムを特徴とする施設コンセプトのおかげで、すべてのシミュレーターは、必要に応じて同じ日に異なる車両モデルで使用することができる。それによってセンターは、処理能力の最大限の利用を可能にすると同時に、開発のあらゆる専門家領域に高度な柔軟性をもたらす。
完全没入:シームレス・シミュレーター・エクスペリエンス
BMWグループのドライビング・シミュレーション・エキスパートは、よりいっそうリアルにシミュレートされた体験をテスト担当者に提供し、それによって結果の妥当性を高めるために、シームレス・シミュレーター・エクスペリエンスを考案した。将来、特定の研究のテスト担当者は、シミュレーターへ向かう際にVRヘッドセットを装着するであろう。自分たちが、たとえばバーチャルなBMWまたはMINIのディーラーの中にいて、店舗の前にはテスト・ドライブの準備を整えた車両が駐車されている。バーチャル・スペース(仮想空間)の中を歩いていても、実際はドライビング・シミュレーターへ向かって進んでいる。ヘッドセットは、シミュレーターに入る直前まで外さない。「私たちは、シームレス・シミュレーター・エクスペリエンスによって極めて高度な没入を実現します」と、ドライビング・シミュレーション・センターのプロジェクト・マネジャーであるMartin Pellerは語る。「これにより、研究参加者は、走行状況の中によりいっそう完全に没入することができるので、ユーザー機能の最適化のために極めて妥当で堅牢な結果が得られます」。
印象的な規模のハイテク:高忠実度・高ダイナミック・シミュレーター
高忠実度・高ダイナミック・シミュレーターは、視覚的にも技術的にも新しいドライビング・シミュレーション・センターの際立つ見せ場である。これらのシミュレーターは、以前なら道路上で実際のテスト車両を用いて体験するしかなかったようなテスト条件を作り出す。実験室でのテストには、革新的なユーザー機能を的確に最適化することに加え、特定の走行状況を必要なだけ何度でも再現でき、評価されたテスト結果の妥当性を大きく高めるという付加的なメリットがある。さらに、ドライビング・シミュレーターは、現実の走行ではほとんど発生せずに特殊な状況下でのみ起きるテスト・シナリオや、危険な要素を含むため実際の道路上でテストのためだけに再現するわけにはいかないテスト・シナリオを演じるのにも利用できる。また、路上テストの結果を実験室でリアルなシミュレーションを用いて確認および検証することができる。
高忠実度シミュレーター:
- 開発の焦点:市街地走行で遭遇するような困難な走行状況におけるユーザー機能
- 前後・横・回転方向の動きが同時に可能
- 最大0.65Gの加速度(BMW M3セダンと同等の加速:0-100km/h [62
mph]加速タイム4.2秒)
[353kW/480ps;複合モード燃費:10.8l/100km(26.2mpg imp);複合モードCO2排出量:248g/km*] - 約400平方メートルのモーション・エリア
- 高さ10m以上
- 移動質量約83トン
- 必要なピーク電力:最大6.5MW
高忠実度シミュレーターでは、現実走行シナリオが極めて詳細に再現される。コーナーでのブレーキングや加速、ロータリーの通過、連続した切り返しなどを、この施設の約400平方メートルのモーション・エリアにおいて高い精度ですべて再現できる。これは、自動運転システムにとって極めて広範な課題となる複雑な市街地走行状況が、今や実験室条件下で再現できることを意味する。
高ダイナミック・シミュレーター:
- 開発の焦点:極めてダイナミックな走行状況におけるユーザー機能
- 最大1.0Gの極めてダイナミックな前後および横方向の加速度
(BMW iFE.20 フォーミュラEレーサーと同等の加速:0-100km/h [62mph]加速タイムはわずか2.8秒) - スレッド長21m
- 移動質量約23トン
- 高さ9m以上
- 必要なピーク電力:最大3MW
新しい高ダイナミック・シミュレーターは、最大1.0Gの前後および横方向の加速度を発生させることが可能で、新しいシステムや機能をテストする際に極めてダイナミックな回避行動、急ブレーキ、急加速を再現する。
いずれのシミュレーターも、ステアリング操作などのドライバー入力にほぼ瞬時に反応する高度な車輪レール・システムを用いて前後および横方向の動きを生み出す。これにより、BMW車に備わる駆けぬける歓びのあらゆる特徴的なニュアンスを、シミュレーターで体験することができる。これは、可動部品のないリニア・モーターを使用することで実現される。このモーターは、必要な力を発生させるために、高速磁気浮上式鉄道に見られる磁気浮上技術のように、磁極が素早く連続的に切り替わる磁石列の上に浮かんでいる。スーパーキャパシターは、モーション・システムに必要なピーク電力を数分の1秒で供給する。そしてモーション・システムは、回生ブレーキを用いてエネルギーを回収し、それをスーパーキャパシターに戻す。
テストは、特徴的なドーム形状のドライビング・シミュレーターのプラットフォーム内で行われる。ここには、テスト用のシステムが、車両モックアップに搭載されている。ドームは、電気機械式6軸システムに取り付けられており、もう1台の電気駆動装置を用いて前後および横方向に動かすことができる。ドーム内には、回転運動を再現するターンテーブル上に車両モックアップが載っている。
ドームは、周辺領域を360度投影するために使用され、シミュレートされた交通状況のリアルな視覚画像をドライバーに提供する。投影される映像と車両モックアップの動きを正確に同期させることで、シミュレートされた走行状況に高い臨場感がもたらされる。目の前の映像とテスト担当者に加わる前後・横・上下方向の加速力が相まって、本当にクルマを運転しているような感覚になる。音声も再現される状況と正確に一致するようにシミュレートされ、これによりバーチャル・テスト・ドライブ・シナリオが完成する。テスト担当者は、飛行機に搭乗する際に使われるような通路を通ってドーム内の車両に乗り込む。
困難な時期に大型プロジェクトを完成
現実の走行状況をシミュレートするための世界で最も高度な設備の建設は、ミュンヘン北部の研究開発センター(FIZ)の敷地で2018年8月中旬に開始された。新型コロナウイルスの世界的流行によって全世界に課された広範な制約にもかかわらず、建設作業は2020年5月に予定通り完了した。それ以来、シミュレーターの設置が速やかに進められてきた。
BMWグループは、ドライビング・シミュレーションの分野で何十年もの専門知識を持つ
現代のドライビング・シミュレーターは、特にドライバー・アシスタンス・システムや表示・操作コンセプトの開発とテストに欠かせないツールになった。ドライビング・シミュレーターは、新しいシステムの機能性と実用性を開発の最初期段階で徹底的にテストすることを可能にする。ドライビング・シミュレーターは、個々のハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントの機能テストと完成システムによる路上テストをつなぐ役割を果たす。BMWグループは、こうした設備の利用に関する経験を長年にわたって蓄積してきた。1990年代の初めには、BMWモデルの開発を支援するために、スタティック・ドライビング・シミュレーターがすでに使用されていた。そして2006年には、これをダイナミック・ドライビング・シミュレーターが補うことで、道路交通で起きることをよりいっそう正確に再現できるようになった。処理能力への高まり続ける要求に対応するために、2016年、ガーヒングにあるBMWグループの研究技術センターに、2台目のダイナミック・ドライビング・シミュレーターが設置された。
*燃料消費量とCO2排出量の数値は、適用される版の欧州規則(EC)715/2007に従って決定されています。
数値は、ドイツの標準装備車についてのものです。上記の航続距離は、さまざまなサイズのホイール/タイヤ、および特定のオプション装備を考慮し、装備によって異なる場合があります。
数値は、新しいWLTPテスト・サイクルに基づき、車両間の比較性を保証するためにNEDC相当の値に換算されています。これらの車両の車両関連の税金や(特に)CO2排出量などに応じた他の税金について、CO2の値は上記とは異なる場合があります(現地法によります)。
新車の乗用車の公式な燃料消費量および特定のCO2排出量に関する詳細情報については、 'Leitfaden über den Kraftstoffverbrauch, die CO2 Emissionen und den Stromverbrauch neuer Personenkraftwagen'(新型乗用車の燃費、CO2排出量および電力消費量に関するガイドライン)に記載されています。これは、すべての販売店、Deutsche Automobil Treuhand GmbH (DAT)(所在地:Hellmuth-Hirth-Str. 1, 73760 Ostfildern-Scharnhausen)およびhttps://www.dat.de/co2/から無料で入手できます。