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BMW Group THE NEXT 100 YEARS
Mon Mar 07 13:44:00 CET 2016 プレスキット
1916年の会社設立以来、BMWグループはモビリティの未来を築く上で大きく貢献しています。その過程において企業自体も何度も自己改革を行って、現在のようにプレミアム・モビリティを提供する比類ない企業へと発展してきました。
1. 将来の展望:BMWグループの歴史から見る未来とマイルストーン
1916年の会社設立以来、BMWグループはモビリティの未来を築く上で大きく貢献しています。その過程において企業自体も何度も自己改革を行って、現在のようにプレミアム・モビリティを提供する比類ない企業へと発展してきました。未来志向の決断とそれによる製品が、今日の私達の特徴となっています。私たちの歴史上の数々の出来事、多くの決断とそれによって生み出された製品を見れば、この特徴がBMWグループのDNAにしっかりと根付いていることがお分かりいただけます。
社史におけるいくつかの先駆的な出来事:
BMW R 32の発表 – 業界全体に影響を及ぼす
1923年:初期の記念碑的出来事のひとつにBMW R 32の誕生があります。このモーターサイクルは、単に燃料タンクに白と青のブランド・ロゴが描かれた最初のバイクであるだけではありません。この最初の自動二輪車によって、当社はすでにこの時から、踏みならされた道を進むのではなく新たな道を創造することを、つまり他に類のない構想によるエンジンを発表する勇気を示したのです。これがBMWモーターサイクルの伝統となるデザインを築き上げただけでなく、業界全体にも多大な影響を及ぼしました。
「Born Electric」 – BMW iブランド導入 – BMWグループの新しい時代の幕開けを示す新ブランド
その90年後の2013年、BMWグループがモビリティをその基本から新たに考案し、設計する能力とパワーを持つことを「Born Electric」で示します。電気自動車BMW i3を市場に導入して、BMWグループの新しい時代の幕開けを飾りました。軽量カーボン製パッセンジャー・セルと、その下にはアルミニウム製シャシーを備えたBMW i3のアーキテクチャーは、eモビリティの特殊な要件を満たすためにその基本から新たに考案されました。
BMW 328の発表 – BMWブランドの独自の特徴である「運動性能、美しさ、革新性」を体現したモデル
1936年6月、ニュルブルクリンクでのBMW 328の発表は、まだ日の浅かったブランドのモータースポーツへの情熱を1960年代まで特徴付けました。BMW 328の成功は、徹底的な軽量構造、理想的な軸重量配分、空力的ボディ・ライン、完璧なエンジン、入念にセットアップされたサスペンションによる完璧なロードホールディングといった優れた技術的パラメータの結集によるものでした。つまりBMW 328は、自動車に何ができるのかを理解するための基礎を築きました。つまり、あらゆるパラメータを考慮し、最大限の効率性を追求したとき初めて、その性能が勝利を呼ぶのだということを理解したのです。これらの特性を追求したBMW 328は、当時からすでに、現在もBMWブランド独自の特性として知られる「運動性能、美しさ、革新性」を体現していました。
BMW 1500による「ノイエクラッセ」の導入 – 新しい車両セグメントの基礎を築く
モーターサイクルでもクルマでも、どちらの分野でもBMWは、適切なタイミングで適切な製品を導入する才覚を何度も証明してきました。そして、多くの製品がまったく新しいセグメントの基礎を築きました。やがて1960年代の初頭には、BMW 1500による「ノイエクラッセ(新しいクラス)」が、スポーティ・ファミリー・セダン・セグメントの基礎を確立しました。今日では、全てのプレミアム・カー・メーカーがこのクラスに参入しています。
R 80 G/Sで新たなモーターサイクル・コンセプトを世に送り出す
1970年代の終わり頃、BMWのモーターサイクル部門は東アジアからの新たな競合に対峙しましたが、BMWの開発者は1980年にまったく新しいモーターサイクル・コンセプトを発表し、驚愕を与えました。それがR 80 G/Sであり、当時としては世界で初めて、オンロード・マシンの走行特性を備えた唯一の大排気量オフロード・モーターサイクルでした。この「GS」は現在最も人気の高いモーターサイクル・タイプの1つ、トラベル・エンデューロの基礎を築きました。
BMW X5が初の「スポーツ・アクティビティ・ビークル」としてデビュー
将来有望なコンセプトを採用したのは、モーターサイクルだけではありません。1999年、自動車業界ではまだ乗用車をオンロードとオフロードとで区別していました。1999年1月のデトロイト・モーターショーでBMWは新たにこの二つを組み合わせて披露し、世間を驚かせました。SUVブームが到来するかなり前から、BMWは高い着座位置、ダイナミックな走行特性、四輪駆動システムを備えたクルマを独自の解釈で開発していました。SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)という名前は、米国のスパータンバーグ工場で製造されていたBMW X5のスポーツに焦点を当てたスタンスをすでに表していました。
BMW Motorsport GmbHの設立 – BMW M GmbHの基礎を築く
1972年にBMWモータースポーツ社(BMW Motorsport GmbH)が設立されました。モータースポーツにおける成果が企業とその製品に好ましい印象を及ぼすということが、当時の意思決定者たちの心には届いていませんでした。モータースポーツはコストがかかるだけのものではなく、そこから生み出される高性能自動車によってモータースポーツ活動のための資金を補充するに足る貢献をするものでなければばりません。BMW M GmbHのモデルは今日まで、経済的な要素としても、またイメージを植え付ける存在としても、企業の成果に大きく貢献しています。
BMWグループ研究開発センター(FIZ)の創設
BMWグループの革新的な製品は、先進的な場所で生まれます。1990年に開設されたBMWグループの研究開発センター(FIZ)は、通路を短くしたハチの巣状の設計で、車両開発に携わるすべての部署の共同作業をし易くしました。新しい形で「開発プロジェクト・チーム」に組織された技術者たちは極めて効率的に連絡を取り合い、試作の初期段階から問題を直接話し合うことができました。FIZで働くデザイナーたちも同様に、構想を最初から常にエンジニアたちと話すことができました。1990年代の終わりからBMW研究開発センターと呼ばれるようになったFIZでの集中的な開発事業は、長年にわたりその成果を実証し、また、継続的に発展を続けています。そのため、例えば2009年に開設されたエアロダイナミクス・テスト・センター(AVZ)は世界的な基準とみなされています。BMWは、すでに2050年までには新しいFIZのために拡張を計画しています。
BMWグループは常に責任を果し続けます
BMWグループはその歴史の中で、大きな成果だけでなく、深刻な危機や大きな課題に何度も直面してきました。
1930~1940年
1930年代から1940年代の国家社会主義体制の中で、BMW
AGは軍備専門の製造会社になりました。増加する注文に対応するために、BMWの航空機エンジン製造部門には強制労働者、受刑者、強制収容所からも人員が投入されました。当社は現在、強制労働者たちの人間としての大きな苦しみと運命を極めて遺憾に思います。1983年に発行した出版物「BMW
– eine deutsche Geschichte(BMW – ドイツの歴史)」で、BMW
AGはドイツの企業グループとして初めて、この過ぎ去った時代についての公開討論を提起しました。その他にも多数の出版物を発行しました。当社は明示的にその歴史と向き合い、1999年には当時の強制労働者の補償を行うための基金「Erinnerung,
Verantwortung, Zukunft(追悼、責任、未来)」の創設メンバーになりました。1990年代以降、BMWグループは積極的に異文化間での開放性、敬意、理解を促進しています(BMWグループの社会貢献および異文化間の活動に関する詳細情報:
www.bmwgroup.com/de/verantwortung/gesellschaftliches
-engagement/kultur.html)。
1959年12月9日
戦争が終わってからしばらくは、BMWにとって厳しい時代でした。1950年代の「高度成長期」の真っ只中で、ライバル企業であるダイムラー・ベンツへの売却によってBMW AGは企業としての独立性を失いそうになるという深刻な危機に陥ったのです。小株主とBMWのディーラー各社が、1959年12月9日の劇的な株主総会でこの計画を阻止しました。大株主の1人である実業家のヘルベルト・クヴァントがBMWの株主とディーラーの信念に感銘を受け、この会社の救済策を模索しました。経営陣および事業所委員会が同席した話し合いの中で、救済策がまとめられました。詳細な分析の結果、BMWには有望な未来があることが判りました。このヘルベルト・クヴァントとその家族の関与によって、今日までBMW AGの独立性が守られています。
後に起こった1970年代初頭の石油危機の際も、また1990年代の成果の得られなかったローバーの吸収合併の時期も、当社には困難な状況を乗り越えるのに必要なスタミナとパワーがあることを証明しました。
ブランドは企業の情熱を示す印
主要ブランドであるBMWの拡充、1959年の会社存続の危機後の再編成、そして、モーターサイクル部門の設立を通じ、BMWグループはブランドとしての自覚を何度も示してきました。当社は2001年に英国のブランドであるMINIを、また2003年にロールス・ロイスを、技術的刷新により成功に導きました。それ以来、BMWグループはBMW、BMW Motorrad、MINI、ロールス・ロイスの各ブランドでの開発を継続的に進めることによって、プレミアム・セグメントにおける足場を強化してきました。「当社は開発を継続的に進めながら、ときにはまったく新しいものも発明してきました。そして、今後もそうであり続けるでしょう。」BMW AG最高経営責任者(CEO)であるハラルド・クルーガーは、このように述べています。
2.BMW GROUP THE NEXT100 YEARS:100周年を迎えて
記念式典の主要テーマと新しいBMWグループのコーポレート・アイデンティティ
「THE NEXT 100 YEARS - 胸躍る未来へ、加速する。」というモットーのもと、BMWグループは創立記念日を祝います。未来志向で考え、進歩のための行動を採ること、これは常にBMWグループ自身を特徴づける指針です。そのためBMWグループは、記念式典に関しても、何より将来に目を向けています。この考え方は、新しいコーポレート・アイデンティティや新しい企業ウェブサイトにも反映されています。
コーポレート・アイデンティティのマークは、この未来志向を象徴しています。このマークは、1つの矢印に纏められた4つの三角形で構成されています。これは未来および進歩へと歩を進める方向性を示すシンボルです。マークを構成する4つの要素は、それぞれBMWグループを特徴づける4つの基盤、つまり、責任、信頼、パイオニア精神、そして成果を表しています。さらに、これらは企業とブランドの多面性、また従業員の多様性を反映しています。
BMWグループのウェブサイト(www.bmwgroup.com)は、全面的にリニューアルされました。このウェブサイトは、技術的にも内容的にも新たに構築されており、同時に将来に向けた最新のオンライン・コミュニケーションの要件を満たしています。
016年3月7日に開催される百周年記念イベント
2016年3月7日、100年前にBMW AGが法人登記を行ったこの記念の日から、
BMWグループは公式に記念式典の活動を開始します。
3月7日の午前中には、新しいBMW Group Classicビルが初めてそのドアを開きます。BMWグループの歴史が始まった場所であるモーサッハー通り66番地の新しいBMW Group Classicビルは、記念式典の記者会見に各国のマスコミ関係者を招きます。
3月7日の午後には、ミュンヘン・オリンピック・ホールに政治、経済、研究、企業およびマスコミ関係の他、ディーラー、サプライヤーおよび従業員を含めた世界各国の約2,000名の来賓を招いて式典を行います。ここでマルチメディアを使った演出により、社史の重要な出来事を通して未来のプレミアム・モビリティをご紹介します。そのクライマックスには、コア・ブランドであるBMWのコンセプト・カーであるBMW VISION NEXT 100の除幕式を行います。
世界中のスタッフに向けて記念イベントをストリーミング中継
もしも熱心に取り組む従業員がいなかったら、BMWグループの成功はありえませんでした。グローバル企業であるBMWグループでは、世界の140の拠点で、12万2千人を超える従業員が働いています。従業員のほぼ全員が、BMWグループのさまざまな拠点で行われるローカル・イベントの中で、ミュンヘンのオリンピック・ホールの式典をライブ・ストリーミングで同時体験することができます。ライブ・ストリーミングに加えて世界の多くの市場では、100周年にちなんだ独自の記念式典が開催されます。ミュンヘンの拠点に関わる従業員にとって特別な体験となるのは、3万を超える従業員がミュンヘンのサッカー・スタジアム「アリアンツ・アレーナ」に集まって見るライブ・ストリーミングです。全従業員にとってのオープニング・イベントのクライマックスは、キックオフ・イベントの開始時に送られた世界中の従業員のポートレートを使って構成されるアソシエート・シンボルでしょう。
BMWグループ・ワールド・ツアー:
「Iconic Impulses. The BMW Group Future Experience(アイコニックな刺激。
BMWグループの未来体験)」
2016年3月7日の記念式典の後、コンセプト・カーBMW VISION NEXT 100は、ワールド・ツアーの象徴として、中国、英国、米国へと出発します。
BMW VISION NEXT 100は、アジア・プレミアのために北京へ旅立ちます。その後、さらにロンドンへ向かい、そこではBMWグループの英国を故郷とするブランドであるMINIおよびロールス・ロイスの2つのビジョン・モデルが公開されます。
BMWグループ・ワールド・ツアーのフィナーレを飾る米国ロサンゼルスでは4つ目のブランドであるBMW Motorradのビジョン・モデルを公開します。
BMWグループは未来のモビリティに刺激を与える存在である、という意思を、ワールド・ツアーのコンセプトとそのタイトル「Iconic Impulses. The BMW Group Future Experience(アイコニックな刺激。BMWグループの未来体験)」が明確に示しています。ツアーの先々で、個人に向けたプレミアム・モビリティの将来像に関する当社の展望をご紹介します。BMWグループと各ブランドは、引き続きお客様のために極めてエモーショナルで好ましいパーソナル・エクスペリエンスを創造し続けます。イベントの来場者は、この先駆的な思考を持つ企業を仮想体験します。私たちのブランドは、今後もニーズを模索すると同時に感情に訴え続けます。その中で紹介される未来の展望は、短期的な解決策をはるかに超えて、未来のトレンドを多面的かつ刺激的な見通しとして示します。そしてそのトレンドは、自動車業界のみならず、私たちの日常のすべてに影響を及ぼすものなのです。
BMWグループが示すテーマは次の通り:
- デジタル化およびデジタル・ネットワーク化のチャンスを拓く
- 生活環境や職場環境へのテクノロジーの貢献を追求する
- BMWグループのサステイナビリティ・コンセプトを追求する
- BMWグループの社会貢献を拡大する
BMWグループ・ワールド・ツアーのスケジュール:
北京(5月5日~15日) – BMW VISION NEXT 100アジア・プレミア
ロンドン(6月16日~26日) –
MINI&ロールス・ロイスのビジョン・モデル・ワールド・プレミア
ロサンゼルス(10月11日~16日) – BMW Motorradビジョン・モデル・ワールド・プレミア
エキシビションの実施に伴って、BMWグループはワールド・ツアー期間中、ターゲット・グループからのお客様を討論会にご招待します。その際は極めて多岐にわたる分野の社外の識者や専門家と、企業内から選抜された優秀なスタッフとの間で意見交換が行われる予定です。未来のモビリティを取り巻く環境から生じるテーマを共に話し合い、形成していきます。
2つのエキシビションと一つの祭典
BMW Weltのダブル・コーン内で行われる未来の展示
北京、ロンドン、ロサンゼルスで行われるBMWグループ・ワールド・ツアーの主な内容は、ミュンヘンの拠点で長期的に行われるエキシビションでも体験できます。BMW Weltのダブル・コーン内で行われる未来の展示は、3月22日から開催されます。年間来場者が300万人を超えるBMW Weltは、エキサイティングなエキシビションの追加でさらに充実した体験を提供します。
経営上のハイライトを期間限定で展示:
BMWミュージアムでの「100 Meisterstücke (100の傑作)」
記念式典に加えて「100 Meisterstücke (100の傑作)」の期間限定展示により、BMWグループとそのブランドの中から100の歴史的な偉業を紹介します。この展示は3月10日から開催されます。BMW 328、BMW 507、BMW Turboといった象徴的なモデルが歴史を物語ります。また、100年間の優れた経営的決断が展示場の特別な場所で展示されます。
BMWフェスティバル – BMWグループの従業員や退職者、ブランドのファンや支持者に贈る、コア・ブランドBMWによる「THE NEXT 100 YEARS」のハイライト・イベント
2016年9月9日から11日まで、ミュンヘンで「BMWフェスティバル-THE NEXT 100 YEARS」が行われます。イベントの開催地は、ミュンヘンのオリンピア・パーク内にあるオリンピック・スタジアム、オリンピック・ホール、パークハルフェ(Parkharfe:ハープ型の来場者駐車場)になります。またBMWミュージアム、BMW Welt、さらにBMW本社ビル(4シリンダー・ビル)の周辺エリアも組み込まれています。1日のプログラムは夜に開催されるBMWフェスティバル・ナイトで締めくくられます。初日の夜はBMWの従業員だけが参加しますが、それ以降は一般の人々が参加できます。著名人を招いたスピーチや、国際的に有名な音楽界のスターが登場し、人気のDJがフェスティバルの雰囲気を盛り上げます(BMWフェスティバルに関する詳細情報:www.bmw-festival.de)。
BMWグループの百周年記念出版物
百周年を記念して、社史と主要な未来のテーマに関する情報を全13巻にわたって編纂された記念出版物を刊行します。これらにはエッセイ、ルポタージュ、研究論文、専門家のインタビューなどが含まれたものであり、同時にBMWグループとそのブランドであるBMW、MINI、ロールス・ロイス、BMW Motorradの多様性を反映したものとなります。
第1巻「未来へ回帰する(Zurück in die Zukunft)」
「未来へ回帰する」では、最初の航空機エンジンからMINIおよびロールス・ロイスの各ブランドの実りある復活に至る企業の足跡を描いています。
第2巻「時間旅行(Zeitreisen)」
「時間旅行」では、BMWグループの歴史上の象徴的な製品が、未来の重要な地域を旅して周ります。
第3巻「BMWグループから何が生まれるか(Was wird aus der BMW Group?)」
「BMWグループから何が生まれるか」はエッセイで構成され、社外や社内の意見を通じて、どようにして企業の発展を続けられるか、また続けるべきかという問いの答えを求めます。
第4巻「速さと珍しさ(Fast & Curious)」
「速さと珍しさ」では、ギリシャ神話のイカロスから未来の乗り物ナイトライダー、あるいはジェームズ・ボンドに登場したリモート・コントロールのBMWまで、モビリティのビジョンを様々な角度から紹介します。
第5巻「私たちはどこへ向かうのか(Wo fahren wir hin?)」
「私たちはどこへ向かうのか」では、詳細地図やグラフィックを多用しだコンパクトな地図帳として、明日の世界の発展を視覚的に示します。
第6巻「世界の終わりは過去のもの(Weltuntergang war gestern)」
「世界の終わりは過去のもの」は、未来のビジョンに関する科学的なエッセイをまとめた読み物です。
第7巻「独創の玉手箱(Out of the box)」
「独創の玉手箱」では、BMWグループのアーカイブから驚くべき内容を紹介します。
第8巻「ギャラリー2116(Galerie 2116)」
「ギャラリー2116」は、有名イラストレーターによる未来のモビリティのイラストレーションをスケッチ画で紹介し、色彩豊かなサイエンス・フィクションの世界による幻想的な空間を作り出します。
第9~12巻
第9~12巻では、BMWグループのデザイン・チームの手によってビジョン・モデルが生まれた過程をご紹介します。
第13巻「明日への対話(Gespräche über das Morgen)」
「明日への対話」では、政治、経済、科学といった各界の人物が、重要な未来のテーマについて語ります。
2016年3月7日の記念式典では、まず9巻分を含む出版物のパッケージを数量限定で贈呈されます。この版の後、他のビジョン・モデルに関する出版物と「明日への対話」が加わります。2016年の秋以降、すべてを1つにまとめた完全版パッケージを部数限定で販売します。
3. BMWグループの未来:変化とビジョン
「THE NEXT 100 YEARS」という主要テーマを選ぶにあたり、BMWグループは意識的に反対意見についても検討しました。それは、科学者、政治家、経済評論家の誰であろうとも、これからの100年を予言することはできないからです。しかし、信頼に足る予測は可能であり、さまざまな要因や数字から未来を予測することはできます。広範な調査を経て、BMWグループはこれらの予測から将来の世界を思い描きました。BMWグループはその際に、日常や仕事の中で人々のパーソナル・モビリティに影響を及ぼすであろうと思える主要な問題に焦点を当てました。
BMWグループの目指したのは、約20年から30年先の未来の全体像を可能な限り示すことです。そのために、さまざまな文献の有名な研究結果や定評ある未来学者の意見を基にしました。
BMWグループの社内情報ならびにさまざまな研究機関の評価とを組み合わせながら、未来、社会の変化、またそれと結びついた人々の欲求についての広範な展望をまとめました。そしてBMWグループはパーソナル・モビリティが人々の基本的欲求であり続けるという確信を持つに至っています。
急速に進む都市化、メガシティ化、グローバル化と大都市圏:モビリティは多面的なものに
変化の重要な特徴は、急速に都市化が進むことです。専門家の見積もりによると、2050年にはヨーロッパでは全人口の75パーセント以上、米国では約90パーセントが都市部で生活すると推測されています。同時に、パーソナル・モビリティへの欲求も高まっていきます。
すでに現在でも、自動車の所有台数は、変化する個人の基本的欲求とモビリティに対する要求を十分に満たすには充分ではありません。あまりに多い交通量、不足している駐車場、また環境汚染問題に基づく通行規制制度は、都市周辺の住宅地で解消しなければならないモビリティの障害例のほんの一部にすぎません。そのため、昨年7月にBMWグループのアーバン・モビリティ・コンピテンス・センターが活動を開始しました。そこに集められた専門家チームが、各都市や関心を持つすべての関連団体との共同で、都市部での未来のモビリティのために持続可能なコンセプトを開発しています。
人はあらゆる状況で、その時々に適切なモビリティを利用したいと思うものです。DriveNowなどのカー・シェアリングや自転車をシェアするバイク・シェアリングは大都市ですでに機能している新しいコンセプトですが、異なる移動手段への変更は時間もコストもかかることがあるため、完璧な組み合わせを実現できなければ適切なサービスの提供とはなり得ません。BMW i3で初めて提供されたマルチモーダル・ルーティング・システムは、状況に応じて公共交通機関への乗り替えを提示します。自動予約システムや統合決済システムは現在すでに一部のエリアで提供されていますが、まだその歯車は完璧にかみ合っていません。
それと同時に、移動に対する質的な要求も高まっています。「時間」は将来的に最も貴重なリソースの1つになるため、目的地までの道のりをいかに構成できるかが、ますます重要な要素になります。つまり、できる限り効率良く、安全に、リラックスして、出来事を愉しみながら、同行者と共に、仕事しながら、あるいは寝ながら?移動できるように構成するということです。そのためBMWグループは、製品の枠を超えてモビリティについて考え、モビリティをより良いものにするテクノロジーやサービスを含む提供品を追加しています。未来のビションが示しているのは、BMWグループによってモビリティがまったく苦労なく、いつでも利用でき、個人の都合に合わせて調整できるということです。BMWグループは未来においても、可能な限り最善の方法で人々の移動に役立っていきます。
テクノロジーとデジタル化 - ネットワーク化は当然のこと
自動車産業は今後の10年で過去30年間よりも劇的に変化するでしょう。これに関しては、特にデジタル化が重要な役割を果たします。イノベーションの先導者であるBMWグループの望みは、デジタル化の面で自動車業界をリードすることです。
クルマと外部の環境とのネットワーク化、道路利用者間の自動情報交換、そして個人に対応したモビリティ・サービスとインテリジェント・ビークルとの組み合わせは、高い社会的利益を伴う莫大な経済的可能性を秘めています。
私たちは今日すでに、自動運転を実現できるところまで来ています。まだまだ多くの技術的課題が連なっていますが、同時にモビリティの変革への大きなチャンスももたらしています。つまり将来的には、駆けぬける歓びは自動化によるドライバーの負担軽減という側面をも判断されるようになります。BMWグループはすでに、ニューBMW 7シリーズに搭載したステアリング&レーン・コントロール・アシスタントなどにより、ドライバーの負担を軽減するセミ・オートマチック・ドライビング機能を提供しています。次の段階となる高度に自動化されたドライビング・モードでは、安全性の他に快適性と効率性も大幅に向上します。BMW i Vision Future Interaction(CES 2016で公開)で垣間見せたように、自動走行は将来的に持続可能なパーソナル・モビリティの大きな特徴になるでしょう。
一方、生産面においてもBMWグループはますますデジタル化のメリットに注目するようになっています。現実の世界とデジタル世界のネットワーク化は、多くの分野で大きなポテンシャルを提供します。その目標は、IT技術の採用によって複雑なプロセスをさらに効率的に構築することができる、ネットワーク化されたインテリジェントな生産の実現です。
BMWグループは主に4つの分野に集中:
データ収集およびデータ解析の自動化は、プロセスの安全性を高めることにつながります。それには、製造現場のシミュレーションとデジタル記録方式も含まれます。例えば現在の状態に新しい設備や構造を組み込む場合、工場の最新の3Dデータを基にして、極めて正確に設計することができます。これにより、新たな次元の柔軟性を実現できます。
「スマート・ロジスティクス」の分野では、供給ネットワークの透明性の向上ならびにサプライ・チェーンの最適化につなげます。
革新的な自動化システムは、生産中の作業に関して直接、従業員をサポートします。この場合、特に柔軟に使用できるロボット・システムが、身体的に過酷な作業を引き受けます。このシステムは、従業員の横に並べて使用することができます。3Dプリントとしても知られている積層造形法の採用によって、生産方法にも新たなソリューションが可能になっています。積層造形法で製造される部品は高い成型自由度を提供すると同時に、高速かつ適切な品質で製造することができます。これまでの応用例は、現在のところ少数のオーダーメイド部品に限られています。BMWグループは将来的にこれを量産工程に採用し、新しい顧客サービスの提供(カスタム・パーツや交換部品の供給など)において大きな可能性を秘めていると見込んでいます。
こうした発展は、長期的には生産における人間の役割も変えることになります。人は将来、現在よりもはるかに多く、プロセスを構築したり実現させたりする役回りを持つようになります。それによって作業環境はさらに近代化されます。革新的なロボット・システムの採用は従業員の負担を軽減し、さらに協調的なロボットが過酷な作業や人には適さない作業を引き受けることによって、身体的にも負担を減らします。このことは、人口統計的な変化の観点においても大きなベネフィットとなります。
サステイナビリティ - エネルギーは環境に優しいものに
環境に優しいエネルギーを使うという価値観は、BMWグループにしっかりと根付いています。そのために、例えばBMWグループは15年以上も前から、サステナビリティ投資格付大手のRobecoSAMによって自動車業界におけるサステイナビリティのリーダーとして認められています。
BMWグループは世界的な責任があることを自覚していす。1973年以降、BMWグループは自動車メーカーとして世界で初めて環境担当役員を置いています。さらに、当社は1990年以降、生産車両全体の総排出ガス量を40パーセント削減させました。これは特に2007年に導入されたエフィシエント・ダイナミクス・テクノロジーによる成果です。
回生エネルギーを再利用することができるBMW i3やBMWモーターサイクルC evolutionのように、内燃式エンジンから電気モーターに切り替えることによって、BMWグループは都市交通環境における駆けぬける歓び、サステイナビリティ、ネットワーク化が体験できる、まったく新しい先駆的な可能性を打ち出しています。
また、車両のエコロジカル・フットプリントは、利用段階に限らずライフサイクル全体にわたって観察する必要があります。そのためには、バリュー・チェーン全体にわたって効率的なコンセプトを開発することが重要です。
スパータンバーグ工場、ライプツィヒ工場、レーゲンスブルク工場での生産で採用されている効率的なコンセプトのひとつが、インテリジェント・エネルギー・データ・マネジメントと呼ばれるものです。このシステムにはスマートメーター(インテリジェント電気メーター)が組み込まれており、これが生産設備やロボットのエネルギー消費量を継続的に測定し、社内のセントラル・ネットワークで調整します。これにより、エネルギー消費の把握と同時に消費電力の削減もでき、生産の安全性と製品の品質を高めることができます。インテリジェント・エネルギー・データ・マネジメント・システムの開発はデジタル化に向けたBMWグループの生産コンセプトの一部であり、欧州地域開発基金(ERDF)の支援を受けました。
効率的な生産コンセプトだけでなく、水力や風力などの再生可能エネルギーの使用も生産において大きな役割を果たします。現在すでに、BMWグループが購入する電力の約58パーセントが再生可能エネルギーからのものです。これを実現するため、BMWグループは例えばモーゼス・レイク工場では水力発電を、ライプツィヒ工場では風力発電、ロスリン工場ではバイオマス発電を利用して生産しています。そのほかにも再生可能な原料やリサイクレート(再生処理材料)の使用によって、資源を大切にしています。その一例として、オリーブオイルでなめし加工されたレザーやケナフ麻またはPETリサイクレートのシート・カバーなどが挙げられます。BMWグループの目標は、2020年までに生産車1台あたりの資源消費量(エネルギー、水、廃棄物、溶剤)を45パーセント削減することです。
しかし、これらはまだ初期段階です。長期的な目標は、完全にニュートラルなサイクル、つまり材料の調達から生産、利用を経て再利用に至るまでのサイクルを作り出すことです(サステイナビリティのテーマに関する詳細情報:www.bmwgroup.com/verantwortung)。
4. BMW VISION NEXT 100:
将来の「駆けぬける歓び」とはどのようなものか?
私たちが将来どのように生活し、どんな方法で移動するようになるかを想像するのは難しいことであると同時に興味深いことでもあります。私たちの社会、経済、生活の状態、そしてモビリティはどのように変化するのでしょうか。新しいテクノロジーは私たちにどのような刺激的な可能性を開いてくれるでしょうか。デジタル化とネットワーク化は私たちの自動車への欲求にとって何を意味するのでしょうか。
BMWグループは2016年という記念の年に、はるかに先の未来を見つめ、人々のモビリティへの欲求を予期し、それに応じることのできるビジョン・モデルを開発しています。開発に際して、モビリティはますます多様になっていくという考えが原点になっています。それほど遠くない未来に、おそらく自動車の大半が完全に自律走行をするようになるでしょう。人は、車輪を持つロボットに乗って移動するようになります。このような背景の中で、BMWのクルマにはどのような存在理由があるでしょうか。それは駆けぬける歓びを重視していて、個人に焦点を当てているブランドの1つだということです。その価値は、どのように未来につながっていくのでしょうか。BMW VISION NEXT 100を生み出す過程において重要だったのは、えたいの知れない乗り物を利用するのではなく、ドライバーの意に沿ってすべてが調整された、極めて個人的な乗り物を利用することでした。未来においても、BMWとドライバーの間にはできる限りエモーショナルなつながりがあるべきだと考えたのです。
BMW VISION NEXT 100を生み出す過程では、BMWデザイン・チームは最新のトレンドの他、今後数十年間にBMWにとって最も重要となるテクノロジーをすべて考慮しました。もちろんこのチームは過去の革新技術やデザインからもヒントを得ています。その際、常に重要であったのは、テクノロジーとお客様のベネフィットに関して決して妥協せず、先を見据えるというBMW特有の意思でした。
BMWグループ・デザイン本部長のアドリアン・ファン・ホーイドンクは、次のように述べています。「デザイナーとして、もし何かをイメージできるのならば、いつかはそれを現実にする大きなチャンスがあります。ですから私たちはBMW VISION NEXT 100によって、人がそこに居ることを想像したくなるような未来のシナリオを描いてみたのです。テクノロジーは大きく発展することでしょう。それが私たちに、ドライバーをさらに好ましい方法で支援することによって充実した走りの体験をもたらす新たな可能性を開いてくれます。人、機械、外部の環境との相互作用が、今後は完全に統制のとれた状態で機能するようにするために、テクノロジーはできる限り直観的に操作したり体験できたりしなければならないと確信しています。BMW VISION NEXT 100によって、私たちはそのような未来を描いています。」
BMW VISION NEXT 100の4つのテーゼ:
真のBMWは常にドライバーを中心に据える。
現在の自動車業界において、近頃急速に普及し始めた最も大きなトレンドは自律走行であり、もはやそれが可能であるかどうかではなく、自律走行はいつ可能になるかということが話題に上っています。BMWグループもまた、BMWのドライバーは将来、希望に応じて操作をクルマに任せられるようになることを想定しています。ただし、これはあくまでもドライバーが望めば、ということです。BMW VISION NEXT 100が、駆けぬける歓びを十分に体験できる真のBMWであることに変わりはありません。
人工知能と直観的なテクノロジーが1つになる。
未来のクルマは、完全にネットワークで結ばれたものになります。デジタル技術は当然のものとなり、生活のあらゆる領域に浸透しているようになります。それによって、デジタル世界と物理世界がますます強く融合するようになります。学習能力のある人工知能が私たちの多くの意図を予期して、私たちが委ねた任務を裏で遂行します。それにより、人と技術の相互作用が根本的に変わります。人と機械とのコミュニケーションや相互作用がより直観的な形式になることによって、ディスプレイやタッチスクリーンが不要になります。あるいはさらに進んで、テクノロジーが人間のようになっていきます。
新しい材料が思いがけない可能性を開く。
将来、私たちはどのように自動車を製造するようになるでしょうか。10万回もスチール部品を打ち抜くプレス工場は、いずれ過去のものになるかもしれません。自動車産業で材料および生産部門の大きな変化が認識された最初の兆候は、カーボンを使い始めたことかもしれません。ラピッド・マニュファクチャリングや4Dプリントなどのテクノロジーは、コンポーネントや造形物の製造だけでなく、ネットワーク化されたインテリジェントな材料を製造し、いずれは従来の金型に代わるものとなり、デザインや構造において予想もしなかった可能性を開くことになるのではないでしょうか。
モビリティは感情に訴える体験であり続ける。
BMWのクルマが、長距離を移動するという目的だけのために生み出された単なる実用品であったことはありません。常に次のカーブを視界にとらえ、エンジン・パワーを感じ、スピードの感覚に陶酔するというように、クルマはアドレナリンのほとばしるような感情に訴える体験をもたらしたり、あるいは一人旅や親しい人との旅行においては心地よい瞬間を演出したりもします。エモーショナルな体験としてのモビリティは、すでに私たちの記憶にしっかりと刻み込まれているため、これが変わることはありません。これまでと変わらず操縦する者としてのドライバーを中心に据えているBMW VISION NEXT 100は、これまでになかった方法でこうした体験を充実させます。
BMW VISION NEXT 100:未来のモビリティのためのクルマ
- デジタルの知能が、ドライバーを「究極のドライバー」へと高める。
- 「アライブ・ジオメトリー」が、ドライバーとクルマとの間の直観的な相互作用を実現する。
- ドライブ・モードの「ブースト(Boost)」および「イーズ(Ease)」が、ドライバーが操る走りとクルマが自動で行う走行を可能にする。
- 「コンパニオン(Companion)」が、ドライバーとクルマとの間を繋ぐインテリジェントなパートナーとなる。
- BMW特有のエクステリア。
- 未来の材料。
デジタルの知能が、ドライバーを「究極のドライバー」へと高める。
BMWのドライバーは、将来も変わることなく自分主体で運転をしたいと思うでしょう。将来においてもBMW VISION NEXT 100はドライバーを中心に据えています。ネットワークへの常時接続、デジタル知能、最新のテクノロジーは、いずれもドライバーを支援するだけです。ただしそれだけではありません。これらによりドライバーは完璧な操縦者、つまり究極のドライバーになります。世界は変わっても駆けぬける歓びは変わることなく、むしろこれまでよりも充実したものになるでしょう。
デザインの出発点はインテリアでした。将来はドライバーが快適でいられることがますます重要になるでしょう。ドライバーには、自動走行ができるだけではなく、自分自身に合わせて仕立てられたマシンに座っていると感じられることが必要です。このことから、車両全体のサイズに比べてキャビンが特に広々としたアーキテクチャーが生まれます。これと同時にBMW VISION NEXT 100のエクステリアのラインからは、BMWであることがはっきりと認識できます。このクルマはインテリアがBMW製サルーンのようなドーム状の空間を持ちながら、スポーティなBMW特有のシルエットを与えられています。
インテリアのデザインは、各種のドライブ・モード、つまりドライバー自身が運転するBoost(ブースト)モードと自動走行でドライバーが走行中に背もたれを倒したままにすることができるEase(イーズ)モードを考慮しています。Easeの場合、クルマはドライバーにより多くのスペースを提供し、快適な照明と心地よい雰囲気を味わえます。Boostモードでドライバーが自ら運転する場合、クルマは極めて繊細かつ直観的な方法でドライバーを支援します。しかも、クルマはハンドルを握っているドライバーの意図を次第に学習していきます。その際、BMWグループがCompanion(コンパニオン)と呼ぶセンサー付きデジタル知能が補助します。Companionは、ドライバーの意図を次第に学習していき、より的確なサポートを提供するようになります。これらにより、BMW VISION NEXT 100はドライバーを究極のドライバーに高めるのです。このビジョン・モデルの中で極めて重要な要素の1つがアライブ・ジオメトリーであり、これは今までの自動車では見られなかったものです。これはエクステリアにもインテリアにも作用するある種の立体彫刻と言えます。
「アライブ・ジオメトリー」が、ドライバーとクルマとの間の直観的な相互作用を実現する。
アライブ・ジオメトリーは約800個の可動式の三角形で構成されており、これらがダッシュボードとサイド・パネルに組み込まれています。これらは立体的に動き、その動きによって極めて直接的な方法でドライバーとコミュニケーションします。それはジェスチャーのようなものであり、平面的なディスプレイを備えていません。これによりドライバーは視界の端でのごくわずかな動きにも気付きます。ヘッドアップ・ディスプレイと組み合わせて利用することで、アナログとデジタルの比類ない融合を実現します。
可動式の三角形が、飛ぶ鳥の群れのような統制されたまとまりのある動きで、乗員に分かりやすいシグナルを発します。これと視野内に直接表示するコンタクト・アナログ式ヘッドアップ・ディスプレイのデジタル表示とが連携することで、無意識のうちに刺激を与えるというコミュニケーションの形が生まれ、現実の出来事として起こる前に、直観的なシグナルを受け取ることができます。現在、すでにいくつかの方法によって、何事かが起きる前兆を知ることができます。
ラピッド・プロトタイピングやラピッド・マニュファクチャリングというテーマは、日を追うごとに重要になってきています。このテクノロジーは、30年後には広く普及しているだろうと想定されます。現在はまだ、何百もの小さな三角形が連動してどのように機能するのかを想像するのは難しいですが、将来的には障害となるものはなくなっているでしょう。今日、私たちが自動車を製造している方法は、将来にはスタンダードではなくなります。それよりずっと複雑で柔軟な形状を作るようになります。そのためBMWグループは、BMW VISION NEXT 100に、4番目の機能面を追加するための4Dプリントについてもアプローチしています。その追加すべき機能を受け持つプリントされたパーツは、現在はまだその目的専用に設計・製造しなければならないのです。現在、デジタル世界はディスプレイと密接に結びついています。次のステップは有機LED、つまり自由に形を変えられるディスプレイです。しかし、ビジョン・モデルのテーゼは車内からディスプレイがなくなることであり、これはドライバーの目の前の巨大なディスプレイ、すなわち、すべてが映し出されるフロント・ウインドウ・ガラスに代わります。将来、これはデジタル世界と物理世界を強力に結びつける媒体になります。例えば、アナログ・ダッシュボードとフロント・ウインドウのデジタル・ヘッドアップ・ディスプレイとが相互作用することによって、これもアライブ・ジオメトリーとして出現します。
ドライブ・モードの「ブースト(Boost)」および「イーズ(Ease)」が、ドライバーが操る走りとクルマが自動で行う走行を可能にする。
BoostモードでもEaseモードでも、自動車にとっての重要な要素とテクノロジーすべてが、最高に充実した、あるいはリラックスした走行を体験できるようにします。モード間の切替えでは、印象的な演出を体験できます。これらのドライブ・モードでも、アライブ・ジオメトリーが重要な役割を果たします。Boostモードでドライバーが完全に路上に集中しているとき、アライブ・ジオメトリーはドライバーのために、例えば理想の走行ライン、ステアリング操作ポイント、対向車がいる場合の警告シグナルを発します。これにより、ドライバーはスピードを上げることを優先するよりも快適さを感じます。直観的なフィードバックは、さらにロボット音声や画面の指示よりも実体的かつ直接的に働きかけます。一方Easeモードでは、アライブ・ジオメトリーはBoostモードよりも控えめに動き、道路状況、加速やブレーキの動作といった走行状況を乗員に知らせます。
Boostモードでは、クルマ全体がドライバーに焦点を当て、その知能によって最高のドライビング・エクスペリエンスを得られるようにドライバーを支援します。シート・ポジションやステアリング・ホイールの位置だけでなく、センター・コンソールの位置も変わります。その向きは極めてドライバー・オリエンテッドな配置となります。また走行中、ドライバーはジェスチャー・コントロールで操作することができます。
未来のコンタクト・アナログ式BMWヘッドアップ・ディスプレイは、ドライバーとのコミュニケーションにフロント・ウインドウ全体を使用します。Boostモードで走行中は、BMW VISION NEXT 100の技術的な能力を、理想の走行ライン、ステアリング操作ポイント、最適な速度というようなドライバーにとって本当に重要な情報を提供することに集中します。包括的なネットワーク、インテリジェント・センサー類、絶え間ないデータ交換によって、ヘッドアップ・ディスプレイは周辺エリアのデジタル画像を生成します。例えば、ドライバーは霧の中でも、視界に入る前に、前方を横切ろうとしている車両などの重要な情報を受け取ることができます。その際、ドライバーへの支援は極めて少なく、かつ控えめに、個別的に行われます。このシステムは、ドライバーの意図を学習していくことで常に改善されていきます。その際も、できる限り個人的で充実したドライビング・エクスペリエンスを叶えることを中心に据え続けます。
Easeモードに切り替えると、インテリア全体の雰囲気が変わります。ステアリング・ホイールとセンター・コンソールが収納され、ヘッドレストが外側に寄り、リラックスできる快適な環境になります。シートとドア・トリム・パネルとが一体化することでドライバーと助手席の乗員はもたれかかりやすくなり、楽に向かい合うことができます。このリラックスした姿勢が快適なコミュニケーションも可能にします。コンタクト・アナログ式ヘッドアップ・ディスプレイは、乗員ごとに個別に用意された内容を提供し、要望に応じて情報を伝え、やりとりします。Boostモードでの視界がドライバーにとって重要な部分に集中される一方で、Easeモードは周辺環境や雰囲気に応じて印象的な景色などに注意を向かせます。
クルマが現在BoostモードかEaseモードかの状況は、道路利用者全員からも見えるようになります。つまり、特徴的なBMWキドニー・グリルやBMW特有の片側2灯式ヘッドライト、L字形テール・ライトがコミュニケーション・ツールに変わります。これらは特に照明の色によってどちらのモードになっているかを明確に示します。
「コンパニオン」が、ドライバーとクルマとの間を繋ぐインテリジェントなパートナーとなる。
1つの小さな彫刻のようなエレメントが、ドライバーとクルマをつなぐコンパニオン(Companion)のシンボルです。この彫刻はカットされた大きな宝石のような形状で、フロント・ウインドウ下のダッシュボードの中央にあります。Companionは、BMW VISION NEXT 100の知能、ネットワーク、そして有用性を視覚的に示したものです。Companionは同時に絶え間ないデータ交換を示しており、オーナーの意図や移動習慣を新たに経験していくことによって、絶えず改善されていきます。そうすることで、いずれはオーナーのために日常的なことを自ら処理するようになり、適切なアドバイスを送るようになります。そうして、クルマ本体の有用性に留まらず、オーナーにとって常に価値ある存在になっていきます。
BoostモードからEaseモードに切り替える場合も、ドライバーとクルマとのコミュニケーションにCompanionが重要な役割を引き受けます。Boostモードでドライバーが路上に集中している間、Companionはダッシュボードに収納されてフラットになります。ドライバーがBMW VISION NEXT 100にすべてを任せると、Companionがせり上がり、フロント・ウインドウとのインターフェースになり、光のシグナルで自動走行の準備ができたことを伝えます。Companionは車両周辺や他の道路利用者に対しても、同様の役割を引き受けます。外にいる道路利用者は、車両照明と組み合わされた演出で全自動走行モードを認識します。特定の交通状況では、Companionが道路利用者に視覚的なフィードバックを送ります。例えばフロントの緑のライトの流れ方で、どの方向なら危険なく道路を横断できるかを歩行者に伝えます。
BMW特有のエクステリア。
スポーティなクーペとダイナミックでエレガントなサルーンを組み合わせた点がBMWビジョン・モデルの特徴です。全長4.90メートル、高さ1.37メートルというサイズは、BMWラグジュアリー・サルーンの寸法を基準としたインテリアとは対照的にコンパクトだといえます。
ボディの四隅に配された大径ホイールが、このクルマを典型的なBMWと同じ躍動感あふれるプロポーションにしています。空力面では、アライブ・ジオメトリーによって最適な効果を実現します。つまりボディがホイールを覆っていて、ステアリングを操作するとボディが弾力性のある肌のようにホイールの動きに合わせます。この新しいデザインは、Cd 0.18という極めて低い空気抵抗値を実現します。
ビジョン・モデルのエクステリア・カラーであるコッパーは、BMWのクルマはテクノロジーによって未来に影響を及ぼしながらも暖かな印象をもたらすという思想を強調しています。これは、クルマとドライバーの密接なつながりを象徴しています。その繋がりは、ドライバーが近づいた瞬間からすでに始まります。インテリジェント・センサー技術によってガルウイング・ドアが自動で開き、乗降を容易にするためステアリング・ホイールはダッシュボードに収納されます。ドライバーが着座し、ダッシュボードのBMWロゴを押してすべての車両システムを作動させるとドアが閉じ、ステアリングが自動的にせり出し、新たな走りの体験が始まります。
未来の材料。
デザイナーはBMW VISION NEXT 100に、主としてリサイクル素材や再生可能な原料を使用しました。見える部分と見えない部分(サイド・トリム・パネル内など)のカーボン部品はすべて、通常のカーボン生産で残った材料から製造されています。今後、デザインおよび生産プロセスでの材料の選択はますます重要になっていきます。
他の材料や新しい材料も加わることでしょう。それにより、クルマの形状も変化します。サステイナビリティと資源保護の面から木材やレザーの使用を減らし、デザインと生産において徐々に新しい材料や方法に手を伸ばすようになるでしょう。BMW VISION NEXT 100のインテリアには高品質のテキスタイル、簡単にリサイクルできる単一材料を使用し、レザーをまったく使用していないことがすでにそのことを暗示しています(ビジョン・モデルに関する画像素材:www.press.bmw.de)。