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BMWヴェルト グランド・オープニング BMW AG取締役会会長Dr. ノルベルト・ライトホーファーのスピーチ
Thu Oct 25 12:00:00 CEST 2007 プレスリリース
2007年10月17日、ミュンヘン
首相閣下、
市長閣下、
皆様、
本日は、BMWヴェルトのオープンにお集まりいただきましてありがとうございます。首相閣下におかれましては、お忙しい中お時間を取っていただけたことを大変嬉しく思いま
す。首相としてご臨席いただくのは初めてのことですので、私どもにとって非常に名誉なことであると思っております。
本日は、BMW Groupにとって重要な日です。新しいBMWヴェルトは、当社にとって極めて重要な意味を持っています。
設計および建設過程において、次のような質問をよく尋ねられました。
なぜBMWヴェルトを建設するのか?
このプロジェクトの裏にある意図は何か?
そして、なぜこの場所を選んだのか?
本日は、これらの質問に対してお答えしようと思います。まずは場所についてから始めさせていただきます。その答えは非常に明確です。
BMWヴェルトに、これ以上ふさわしい場所はありません。
ここミルベルツホーフェン・オバーウィーゼンフェルドは、当社が1916年に設立された地であります。
さらに1972年にはここにBMWタワーが完成し、BMW本社は長年ミュンヘンのランドマークとして存在してきました。
BMWヴェルトの建設地は、この場所以外には考えられませんでした。ミュンヘンのこの場所でBMWブランドが創設され、世界的なサクセスストーリーが始まった、まさに発祥
の地であります。ここは、顧客に特別な製品を提供するプレミアム自動車メーカーとしての地位を築き始めた場所なのです。
ですので、本社や第1工場のすぐ近くに、我々が誇るブランドの世界があるべきなのです。
ではここでお尋ねします。BMWヴェルトの計画について初めてお聞きになった時、何を期待されましたでしょうか?
中に何があるのか見えない、ごく平凡な建物だと思われましたか?それとも、全く特別な建物だと思われましたか?何と言っても、BMWブランドは他とは異なります。全ての製
品が感情に切実に訴えかけ、比類なき製品とたぐいまれなスタイルが特徴です。
ですので、BMWヴェルトもまた、たぐいまれで比類なきものでなければなりませんでした。たぐいまれで比類なきものだけがBMWブランドに完全に調和し、常に特別なものを
提供する我々の主張を満たすことができます。しかし、他にも考慮すべき点があります。新しいビルを建設するに当たり、BMWタワー、テレビ塔、オリンピック・スタジアムと
いった周辺の環境に対し、多くの専門知識を要しました。そしてもちろんBMWヴェルトは、全体的な印象に前向きな貢献をすると考えました。
2001年、BMW AG監査役会会長Prof. Dr. ヨアヒム・ミルベルグは次のように述べています。
「BMWの価値を表現する一方、優れた建築上の特徴を持つ建造物を作ります。そして、BMW Group本社やオリンピック公園といった、周囲の環境とも調和させます」
BMWヴェルトがそれらの条件をどこまで満たしているかを、今日ご自身の目で確かめていただければと思います。我々が出した要求や指示に、建設会社Coop
Himmelb(l)au社が見事に対応してくれました。
一例を挙げさせていただきますと、
翼幅が80mあっても屋根には支柱を使わず、
ビルの基礎は地下水面の6m下で、地下水の揚力に耐えうるよう175本のコンクリート梁を並べる。
プロジェクト主であるBMW Groupを満足させるのは決して簡単ではなかったと、Prof. プリックスには同意していただけると確信しています。我々は多くの要求を
出し、深く関わりました。多くのBMW Group従業員は、新しいビルの設計段階から多くの時間を費やしました。BMWヴェルトは、密接かつ効率的な協力の賜物です。こ
こでProf. プリックスと、同チームの皆さんに深く感謝の意を述べさせていただきます。
では、非常に重要なポイントに移りましょう。BMWヴェルトとは一体何でしょう?メディアの方々が既に様々な答えを出しておられますが、これについてコメントさせていただ
きます。
BMWヴェルトは、巨大なショールームですか?
――全く違います!それにショールームはディーラーの領域ですので、どちらにせよ必要ありません。
BMWヴェルトは、ブランドミュージアムですか?
――これもまた、全く違います。新しいBMWミュージアムは、通りを挟んだ向かいに建設中です。
BMWヴェルトは、デリバリーセンターですか?
――その通りです。が、それだけではありません。
BMWヴェルトにふさわしい表現はなかなか見つかりません。BMW ヴェルトは、何にもましてBMWブランドを象徴する"ブランドの故郷"、という表現が私は一番気に入っ
ています。
BMWファンは世界中に存在します。これまでに数千人がBMWの見学にミュンヘンを訪れており、その中には単にブランドだけが目的の方もいらっしゃいます。その全てが顧客
であるとは限りません。しかし、その全てがBMWの神話に魅了されています。BMWヴェルトは、そのような人のために作られました。
我々はここでBMWブランドの存在意義を示し、
BMWブランドを形成するアイデアを紹介し、
そして何よりも、BMWブランド誕生の地であるこの場所でBMWブランドを存分に体感できる機会を提供したいと思っております。
このようなブランド体験は、本やカタログ、映像では実現できません。
これはBMWヴェルトの一面です。そしてまた、BMWヴェルトは車の受け取り専用センターです。多くの顧客が、このような場所をずっと望んでいました。
車を購入するということは常に特別なことであり、毎日することではありません。BMWを購入するということは特にそうです。多くの顧客にとって、BMWの購入は個人の成功
の象徴なのです。時に、長い時間をかけて叶う夢でもあります。なので、BMWをただ受け取りに来るだけではない、特別感のある雰囲気が望まれているのです。
ここにBMWを受け取りにいらっしゃる人全てに、この特別な空気を感じていただきたいと思っています。皆様にとって忘れられない一日を楽しんでいただきたいのです。"駆け
ぬける歓び"は、ここBMWヴェルトから始まるのです。
既にお話いたしましたが、
BMWヴェルトは"ブランドの故郷"であり、
車のデリバリー専用センターです。
これらはBMWヴェルトの重要な一面ですが、まだ他にもあります。
我々にとって極めて重要なBMWヴェルトの一面は、ここは顧客だけの場所ではないということです。誰でも入場は自由で、入場料もありません。
BMWヴェルトは年中無休で、会議やコンサート、読書、散歩も楽しんでいただけます。ブランドの世界に浸るのもよし、コーヒーを飲むだけでもよし、誰でも気軽に入場いただ
けます。
ここでは年間約85万人のビジターを見込んでいます。皆様のお越しをお待ちしております。
この公開性は、我々の社会での役割を反映しています。オープンな対話や協力など、我々は社会の責任を担う一員であると考えています。BMWヴェルトを通じて我々のことをよ
り知っていただき、我々との対話が生まれればと思っています。
そしてBMWヴェルトは、我々の革新的なアイデアを示す場でもあります。
環境保護や天然資源の枯渇など、差し迫った問題について考えてみましょう。
我々の車は、燃費効率でリードしています。量産車において、一貫した燃費低減のアプローチを採用しているメーカーは我々の他にありません。我々はエフィシェントダイナミク
ス戦略にさらに磨きをかけ、未来の個人のモビリティを確保することを目的とした新しい車やパワートレインのコンセプトを今後発表していく予定です。CO2排出を削減しつつ
"駆けぬける歓び"を提供することが可能であることを、我々は実証しています。エフィシェントダイナミクスは、我々の社会的責任および持続可能性のコンセプトを構成する要
素の1つです。
BMWヴェルトもまた、我々の主張を反映しています。通称ダブル・コーン(コーンカップが2つ逆に重なったような形をしているためこう呼ばれる)では、様々なエフィシェン
トダイナミクスが展示されています。建物全体のデザインは、持続可能な配慮をベースにしています。例えば、屋根は太陽光発電を備えています。
持続性に関しては、成人のみならず若者に対してもたゆまぬ努力をしています。
BMWヴェルトにはジュニア・キャンパスがあります。ここでは主に"持続可能なモビリティ"についての知識を若者に植えつけることを目的としています。
技術問題に対する若者の興味を引き出し、将来的に極めて重要な課題について伝えていきたいと考えています。
我々BMW Groupは、BMWヴェルトをとても誇りに思っています。ここで働く400人のスタッフ一同ビジターの皆様を心より歓迎し、新しい職務を担うことを楽しみに
しています。
そして本日のグランドオープンに至るまでには、設計、建設を含め多くの人が関わりました。
建設中、ご迷惑をお掛けした近隣の皆様、
建築士、建築工学者の皆様、
そして建設会社と現場スタッフの皆様も忘れてはいけません。皆が偉業を成し遂げました。
また、このプロジェクトに関わった諸機関、特にミュンヘン市長のクリスチャン・ウデ閣下の積極的なご支援に感謝致します。
さらに本日は、バイエルン国立歌劇場のオペラスタジオより若きソロ歌手に来ていただいております。素晴らしい歌をありがとうございました。
そしてもちろん、このプロジェクトに関わっている全ての従業員に感謝いたします。
こういったスピーチでは、誰かを忘れてしまうリスクが常につきまといます。ですので、シンプルにまとめさせていただきます。BMWヴェルトの設計、建築、グランドオープン
の準備に関わった全ての皆様に、BMW Groupを代表して感謝の意を述べさせていただきます。本当にありがとうございました。
BMW Groupの取締役会会長として、もちろん私は全ての製品が大好きです。しかし、実を言うと私には特にお気に入りのモデルが2つあります。それはBMW
507と、BMW Z8です。両車とも、BMWのブランド価値を最大限に表現しているロードスターです。そして、自動車史上で真のクラシックモデルと見なされています。
BMWヴェルトもまた、クラシックになるために必要な全てを提供してくれると確信しています。我々は特別なものを作りました。もちろん時は常に流れていきます。世界中で、
他の建物が新しい標準を確立することもあるでしょう。しかし、我々にとってBMWヴェルトは常に特別なものなのです。これは当社の歴史におけるマイルストンであると我々は
考えています。ミュンヘンにあるBMWヴェルトは真のクラシックで訪れる価値がある、と数年後皆様に言っていただければ嬉しいです。その時こそが、我々が目指したものが達
成されるのです。
ご清聴ありがとうございました。引き続きBMWヴェルトをお楽しみください。