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BMW Hydrogen 7
Mon Jun 11 12:00:00 CEST 2007 プレスキット
BMWグループは自動車業界に独自の歴史を刻んでいます。BMW Hydrogen 7(ビー・エム・ダブリュー・ハイドロジェン・セブン)の導入によって、BMWは排気ガスを全く出さない水素エンジンを搭載した実用的なラグジュアリー・サルーンを発表しました。これは持続可能な新時代のモビリティへの移行にあたり、新たな基準を確立するモデルです。
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Yosuke Shiroshita
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Yosuke Shiroshita
BMW グループ
1. 新時代のモビリティを切り開く、BMW Hydrogen 7 (ショートバージョン) 4 2. 概要 18 3. 原理: 水素燃焼エンジン、デュアルモード駆動、 最大航続距離 20 4. シンボル: 液体水素 - 日常で使用する自動車で持続的なモビリティを実現する新しいエネルギー 23 5. 開発: 量産開発のプロセスを無事完了 世界初の水素エンジンを搭載したラグジュアリー・カー 27 6. コンセプト: 妥協なき進化、BMW特有の運動性能、 ラグジュアリー・サルーンの快適性、プレミアム・レベルの装備品 29 7. パワー・ユニット: ガソリン直接噴射および水素インテーク・マニフォールド供給式 6リッター12気筒エンジン 34 8. エネルギー貯蔵システム: 真空式高断熱機能付き二重壁構造の液体水素タンク 38 9. 燃料供給装置: 世界標準仕様の水素タンク充填プロセス 41 10. ボディおよびサスペンション: BMW 760Liをベースにしたインテリジェント・ライトウェイト構造、 最適化が施された衝突安全性能、専用のサスペンション設定 43 11. 安全コンセプト: 安全基準の確立、テスト(実験)、独自の認証 47 12. 生産: BMWディンゴルフィン工場の量産システムに統合、 技術革新の先陣を切るBMW Hydrogen 7 53 13. 協力: 世界初の水素エンジンを搭載した実用的なラグジュアリー・サルーン ユーザーとBMWの緊密なコミュニケーション 55 14. 機運: 水素供給インフラを整備させる刺激剤の役割を担う BMW Hydrogen 7 57 15. クリーン・エナジー・パートナーシップ: 国家的なサステナビリティ戦略の一環、 水素の実用化を確認することが目的 60 16. エネルギー源: 化石燃料に代わり無制限に使用可能な水素、 未来の展望として持続可能な水素の生成 63 17. BMWクリーン・エナジー・プロジェクト: 1980年代から始まったBMWの水素への取り組み、 内燃機関に専念、補完技術としての燃料電池 67 18. 主要諸元 71 19. エンジン性能曲線図 72
BMWグループは自動車業界に独自の歴史を刻んでいます。BMW Hydrogen 7(ビー・エム・ダブリュー・ハイドロジェン・セブン)の導入によって、BMWは排気
ガスを全く出さない水素エンジンを搭載した実用的なラグジュアリー・サルーンを発表しました。これは持続可能な新時代のモビリティへの移行にあたり、新たな基準を確立する
モデルです。
BMW Hydrogen 7は水素燃焼エンジン(水素を燃料とする内燃機関)を搭載するモデルであり、一貫したBMWグループの戦略のもと、量産開発のすべてのプロセス
を経て開発されたクルマです。このクルマは将来の理想的なエネルギー源として水素を利用し、現代においても日常的な使用にも耐える性能が与えられています。
BMW Hydrogen 7は、BMW 7シリーズを徹底的に発展させたモデルだといえます。このニュー・モデルのエンジン、サスペンション、ボディは、BMW
760iやBMW 760Liサルーンから引き継いだ車両全体のコンセプトがベースになっています。またBMW Hydrogen 7には、水素でも、従来通りのガソリン
でも、どちらでも作動させることができるデュアルモードの12気筒エンジンが搭載されています。BMW Hydrogen 7の最高出力は191 kW(260 ps)を
発生し、0-100 km/h加速性能は9.5秒、最高速度は230 km/hでリミッターが作動します。
妥協なき進化
このデュアルモード・エンジンは、BMWグループのエンジニアリング能力の高さを見事に証明しています。この革新的なV12エンジンは、運動性能に影響を及ぼすことなく、
瞬時に水素駆動からガソリン駆動へと切り換えます。これを可能にさせているのが、燃料ごとの燃焼特性の違いに関係なく、卓越したエンジン・マネージメントによってどの駆動
モードでも同等の動力性能と運動性能を引き出すことのできる高精度の制御技術です。
この先進の技術革新をエンジン技術に採り入れることで、BMWグループは未来のエネルギー源として燃料を水素に切り換えるための現実的、かつ魅力ある解決策を提供します。
水素エンジンは、化石燃料に依存することなく、汚染物質を排出しないパーソナル・モビリティの世界に向けた画期的な基準を確立します。
動力性能、運動性能、洗練された走り、総合的な快適性において、これまでに製造されたガソリン・エンジンやディーゼル・エンジンを搭載した自動車、それも最も要求の厳しい
顧客をターゲットにした自動車と、BMW Hydrogen 7は同じレベルです。したがって、実際に排気ガスを出さないこの革新的な水素エンジンを搭載したサルーンを運
転するということは、BMWの最上位モデルに特有の比類ない愉しみをすべて享受することになります。この躍動感あふれるプレミアム・サルーンは、未来志向の駆動コンセプト
だけでなく、とりわけ幅広い機能や装備品が用意されていることにおいても際立っています。
水素 - 未来のエネルギー
長い目で見た場合、道路交通において水素が化石燃料に取って代わる可能性のある唯一のエネルギー源であることは専門家が一致して認めているところです。元素記号Hで表され
る水素は、水をはじめとするほとんどすべての有機化合物を構成する成分です。つまり、水素は生物サイクルに不可欠な要素であり、環境に完全に適合することを意味していま
す。宇宙で最も一般的な元素として、実際に水素はあらゆる実用目的に無制限に使用することが可能なのです。
水素は液体または気体のまま極低温状態で貯蔵することができ、比較的輸送は簡単です。気体としての水素は毒性がなく、無色無臭です。液体状態の水素は同重量で比較した場
合、ガソリンの3倍のエネルギーを持っています。
化石燃料を使用すると必然的に二酸化炭素が発生しますが、水素は代替駆動エネルギー源として環境に極めて優しく、燃焼行程で生成されるのは水蒸気だけです。他の代替燃料と
は対照的に、水素は再生プロセスで生成されるため、継続して環境を壊すことなく利用することができる、未来に向けた唯一のエネルギー源です。
優れた実用走行特性を発揮する液体水素
BMWグループは、駆動エネルギー源に適した物質として液体水素に重点的に取り組んでいます。液体水素を優先している理由は、体積エネルギー密度の点で、液体水素が気体水
素のエネルギー密度をはるかに越えているからです。同じスペースを占め、同じ容量を持つ燃料タンクを使用した場合、極低温の液体水素には、700バールで圧縮・貯蔵された
気体水素より75%以上多くのエネルギー量が含まれます。したがって、液体水素で駆動する車両の方が明らかに航続距離は長くなります。
水素のインフラが未整備な状況で検討すべきもう1つのポイントは、水素自動車が走行可能な航続距離です。実際にこれは、日常走行における実用性という点で、極めて重要で
す。このため、BMW Hydrogen 7はまずエネルギー源として液体水素を使用し、さらにデュアルモード・エンジンにより長距離走行を可能にします。BMW
Hydrogen 7は水素モードで200 km強を走行し、ガソリンモードでさらに500 kmを走行することができます。
新しい駆動エネルギー源としての水素を知ってもらい、水素の有用性を認めてもらうためには、使い勝手の良さという要素は不可欠です。実際にBMW Hydrogen 7の
コンセプトの開発に際して、実用性の評価基準は大いに重要視されていました。この世界初の水素エンジンが搭載された量産型ラグジュアリー・サルーンを導入することにより、
BMWグループは世界の自動車産業において非常に重要な基準を確立します。この車両は、代替駆動エネルギーの水素が、運動性能だけでなく走行快適性の面でも最高の要求を満
たすことができると証明しています。
量産車の成熟度と信頼性をすべて併せ持つモデル
量産体制に入った世界初の水素エンジン搭載のラグジュアリー・サルーンは、研究プロジェクトの成果ではありません。もっと正確に言えば、BMW Hydrogen 7の開
発は工業化プロセスの始まりを示すものであり、BMW Hydrogen 7には現在市場に投入されているBMWの新型モデルと同レベルの完成度が備わっています。
BMW Hydrogen 7は、BMWブランドのあらゆる新型モデルと全く同一の量産開発プロセスを経ています。水素駆動用のエンジン技術、タンク・システム、車両エレ
クトロニクスなどの新しく開発されたコンポーネントは、すべてBMWの通常の製品開発プロセスを経て開発されました。したがって、各コンポーネントは最高の精度による検
査・点検が行われ、量産開発の必要条件をすべてクリアしています。
量産コンセプトを前提に、BMW Hydrogen 7には、BMWグループが数十年にわたる自動車およびエンジン開発を通じて確立した信頼性、安全性、駆けぬける歓びに
おいて、非常に革新的な未来志向の駆動技術と高品質基準が結実しています。つまり、BMW Hydrogen 7は、グループの熟成した車両開発コンセプトに基づいて開発
されており、従来の水素試作車両や実験車両をはるかに凌ぐ完成度をもち、ドイツおよびECEの両規格に基づき認可および型式認証を取得しています。米国の場合、BMW
Hydrogen 7は試験走行のため、選ばれたユーザーに提供される予定です。
プレミアムクラスの快適性
BMW Hydrogen 7のプレミアム品質は、高い基準の快適性によって裏打ちされています。この優位性は、オートマチック・ソフト・クローズ機能付きドアやクライ
メート・コンフォート・ガラス、BMW高性能オートマチック・エア・コンディショナー、メモリー付き電動シート調節機能、リモート・コントロール付き補助ヒーター、
BMWハイビーム・アシスタント、DVB-T(欧州地上デジタル放送)受信機能および後席モニター付きテレビ、BMWアシストおよびBMWオンライン・テレマティクス・
サービス、後席専用自動車電話、BMWテレサービス接続キット、6連装CDチェンジャー、6連装DVDチェンジャー、スモーカー・パッケージ、前席および後席カップホル
ダー等の装備を見ても明らかです。
ヘッド/サイド・エアバッグ(フロント、リア)、自動防眩機能付きルーム・ミラー/ドア・ミラー、BMWパーク・ディスタンス・コントロール(PDC)、レイン・セン
サー、BMW Professionalナビゲーション・システム、Professional HiFiシステム、運転席/助手席用ランバー・サポート、シートヒーター
(フロント、リア)等も、すべてが幅広く用意された装備品に含まれています。
BMW Hydrogen 7をさらに楽しむことができる技術的な特徴としては、コンフォート・アクセス、BMWオンライン、ナビゲーション・システム/電話/オーディオ
システム操作用の音声入力機能、ステアリング・ヒーター、電動調節式コンフォート・シート、BMWナイトビジョン、アダプティブ・ヘッドライト等があります。この他にも、
BMWモビリティ・セットと共に装備される19インチ軽合金ホィールがあります。
世界で初めて量産体制に入る、水素エンジン搭載の実用的なプレミアム・カーには、非常に魅力的なメタリック塗装が標準装備されています。特にこのモデル専用カラーであるブ
ルー・ウォーター・メタリックは、この比類なき車両の独自性を引き立てます。
最大の航続距離を誇るデュアルモード・エンジン
世界初の量産型ラグジュアリー水素サルーンに搭載されたデュアルモード・エンジンは、BMW Hydrogen 7の中で非常に画期的な開発品です。この強力なエンジン
は、BMW 7シリーズに搭載されている総排気量6.0リッターの12気筒バルブトロニック・ガソリン・エンジンがベースになっています。最大トルクは390
Nm/4,300 rpmです。
BMW Hydrogen 7に搭載されたV12パワー・ユニットは、2種類のモードで作動します。つまり、エンジンは同じ気筒内で水素でもガソリンでも燃焼させることが
できます。
約700 kmの合計航続距離を持つデュアルモード・エンジンが搭載されたBMWの水素自動車は、BMW 760iよりも大幅に航続距離が長くなっています。このため、
BMW Hydrogen 7のドライバーは、まさに制限のない移動を楽しむことができます。BMW Hydrogen 7を使えば、長距離走行であっても、問題なく水素
充填ステーションまで辿り着くことができます。水素が入手できない場合でも、以前と変わらず卓越した実用性と走行性能を発揮し、素晴らしい実用的価値とドライブ体験を提供
します。
内燃機関としての信頼性を向上
BMWグループは、BMW Hydrogen 7に内燃機関を搭載することを意図的に選びました。それは水素を駆動用エネルギーとして使用することに対して、もっと幅広い
支持を得るための基礎を確立するためです。水素エンジンには、数十年に及ぶエンジン開発で得た詳細なノウハウに基づいて熟成させた実績のある技術を採用しています。その結
果、このエンジン・コンセプトは、水素をエネルギー源として走行する場合でも、優れた運動性能と俊敏性を求めるBMW特有の要件をすべて満たしています。それだけでなく、
2種類のモードで、すなわち2種類の燃料で作動するメリットを提供することができるのは、このエンジンしかありません。
重要な技術として機能を果たすガス・インジェクション・バルブ
ガソリンを燃料とする場合、このエンジンは燃料をシリンダー内に直接噴射することによって作動しますが、水素モードの場合、混合気はインテーク・マニフォールド内で生成さ
れます。このために開発された新しいインジェクション・バルブは、エンジン開発の段階でバルブの構造および一体化に関して考え得る最も厳しい要件が課せられました。気体水
素用として考案・設計されたこのインジェクション・バルブは、従来のガソリン用インジェクション・バルブより大型で、噴射量や噴射範囲に関して、対応可能な守備範囲が広
がっています。実際の走行で生じるシステム圧の変化に対応し、水素ガスを非常に短い持間に噴射したり、比較的長い時間噴射したりすることができます。たとえどんな状況で
あっても、インジェクション・バルブは常に瞬時に正確な量の水素をインテークチャンバーに向って噴射します。
水素は従来の燃料に比べて短時間に、最大10倍も早く燃焼するため、デュアルモード・エンジンのマネジメント・システムには、それに対応できる機能と動作が必要でした。非
常に幸運なことに、BMW Hydrogen 7の開発担当エンジニアには、BMWの独自技術であるのバルブトロニック無段階可変バルブ・マネジメントとダブル
VANOS可変カムシャフトコントロールを使用することができました。つまり、水素燃焼行程を最適化し、特に水素・空気混合気の個々の特性と特徴に合わせてガスサイクルと
混合気生成プロセスを連動させるための理想的なシステムを最初から持っていたのです。
CO2排出量を削減する現実的な方策
実際に水素モードで走行しているとき、BMW Hydrogen 7は水蒸気以外は何も排出しません。このため、個人の移動手段として排出ガスを大幅に削減するのに非常に
重要な貢献をします。特にCO2の排出量は最小限まで削減することができます。
将来の計画は、水素だけを燃料とする(単一燃料)自動車を導入することです。また、BMWグループの研究者は燃料電池技術にも取り組み、既存の自動車用バッテリーに取って
代わる、高効率で強力な補助電源装置(APU)としての開発を行っています。
BMWグループは環境に適合した自動車の未来に対して、実用的で実現可能なアプローチとして、BMW Hydrogen 7を導入しました。実績のある開発、生産、販売プ
ロセスに水素を統合することが、水素を既存燃料に代わる真の代替燃料として確立するための最も効率の良い方法だと考えたからです。
こうしたことから、BMWグループは水素自動車の普及を促進し、未来を目指して努力するペースメーカーを自認しています。BMWはこの新技術における顧客の理解と信頼を強
化し、水素自動車の魅力も高めています。
真空式高断熱燃料タンク
デュアルモードコンセプトを採用したBMW Hydrogen 7は、専用のエンジン・マネジメント・システムと燃料供給装置だけでなく、2種類の燃料タンクを車内に組み
込んでいます。BMW Hydrogen 7に搭載されている水素タンクは、約8キロ(約170リットル)の液体水素を貯蔵することができます。従来通り搭載するガソリ
ン・タンクには74リットルのガソリンを充填することができます。
駆動エネルギーとして液体水素を使用するには、特にタンク構造に技術的な課題があります。水素は通常の外気圧力下で液化されますが、それには、-253℃に冷却する必要が
あります。このため、水素燃料を長期間にわたり車両内に保管するには、画期的な真空式高断熱技術が必要になります。その結果、BMW Hydrogen 7に搭載された水
素タンクは、タンクに熱が入り込まないように厚さ30ミリの空間にアルミ製とガラス繊維製の複数の層で構成された二重構造になっています。
このタンク独自の高効率の断熱効果は、壁と壁の間にある中間部を真空状態にし、空気中の熱伝導を遮断することによって得られています。また、インナータンクを所定の位置で
固定しているマウントには、熱伝導率を最小限に低減する炭素繊維強化樹脂製バンドを採用しています。
この高断熱機能は、非常に効率よく熱の侵入を最小限に抑えます。これは厚さ17メートルの発泡スチロール製断熱材に匹敵します。たとえば、タンクに熱いコーヒーが入ってい
るとしたら、コーヒーが飲み頃の温度に下がるまで約80日間も待たなければなりません。
気化を制御するボイルオフ・マネジメント・システム
物理的な理由から、真空式高断熱機能であっても一定量の熱の侵入を完全に防ぐことはできません。つまり、少量の液体水素はやがて必ず気化することを意味します。
ただし、こうした少量の気化作用が発生するのは、車両を17時間以上駐車しているときだけです。その結果、燃料タンク内の圧力は気体燃料のボイルオフ(蒸発による損失)の
ためのマネジメント・システムを必要とするレベルまで上昇します。
ボイルオフ・マネジメント・システムはタンク内の圧力を制御します。規定された理想的な圧力レベルを越えると、このシステムは制御しながら水素を放出して変換します。この
ように放出されたガスは、ベンチュリ管の中で空気と混合され、触媒コンバーターの中で酸化して水になります。
残量半分の水素タンクは、この制御プロセス内では約9日間で空となります。それでも、タンクには水素モードで約20 kmを走行するのに十分な量の水素が残っています。一
方、9日間の間にBMW Hydrogen 7を水素モードで走行させると、エンジンを駆動するために水素が消費され、タンク内の圧力レベルは再び低下します。その結果、
再び駐車した場合、17時間は水素の損失はありません。
タンクの充填も簡単操作
水素タンクの充填コンセプトは、実用的で取扱いも簡単です。基本的に、ドライバーがガソリン・タンクを満タンにする方法とほとんど違いはありません。新しい機能としては、
液体水素用の圧力式耐低温タンク・コネクターがあるだけで、通常の燃料ポンプと同じようにBMW Hydrogen 7の液体水素充填口に手動で取り付け、接続します。そ
の後、このコネクターを所定の位置で完全に締め付けると、自動制御プロセスでタンク充填が行われます。
タンクのフィラーキャップ開閉は、ステアリングの隣にあるボタンで行います。タンクを充填するには8分弱の時間を要します。
タンク充填の扱いやすさやシステムのコントロールを考えると、水素をBMW Hydrogen 7に充填するプロセスは、ガソリンをタンクに充填するのと同じくらい簡単
で、分かりやすく、安全性にも問題はなく、しかも、ガソリンを充填するよりもクリーンです。
水素充填システムとして、世界中で普遍的に使用できる適切な技術を、可能な限り早い段階で確立するために、BMWグループは国際的な提携企業と共同で標準化された液体水素
タンク用充填コネクターを開発し、現在、このコネクターを世界標準として定着させる努力をしています。
他に類のない動力源であることを示すパワードーム
BMW Hydrogen 7のボディはBMW 760Liをベースにしており、エクステリアとホィールベースは全く同じサイズです。ロングホィールベースのBMW 7シ
リーズ・サルーンの特徴のある外観は、ほとんど変更されることなくそのまま残っています。ただし、車両重量が増加したことと水素技術を導入したことにより、いくつかのコン
ポーネントは新規に開発されています。
BMW Hydrogen 7専用の外見上のの特徴は、エンジンに水素インジェクション・バルブを組み込むために背を高くする必要があったエンジンフードのパワードームで
す。この力強いエンジンフード上の曲面は、BMWのボディに納められた比類なき水素エンジンの存在を暗示しています。
そのほかの外見上の相違点としては、トランクリッド後面の「Hydrogen 7」、サイド・ターン・インジケーターの下にある「Hydrogen」のバッジがあります。
また、周囲をクロームで仕上げた透明のLH2(液体水素)用タンクのフィラーキャップと、クローム・ストリップが付いたリアバンパー・カバーも特徴的です。さらにリア・サ
イド・ウィンドウのローラー・ブラインドとドア開口部には「BMW Hydrogen Power」の文字があり、この卓越したサルーンが提供する革命的な駆動技術を証明
しています。
根本的に新しくなった特徴としては、ボディの幾つかの部分に炭素繊維強化樹脂(CFP)とスチールを使用しています。このハイブリッド構造により重量を最適化し、優れた耐
衝撃性能を実現しています。BMWグループはドライブトレーンと燃料供給装置の重量増加を相殺するため、また、この非常に革新的なクルマに適した最高の安全性に対する要件
をすべて満たすために、BMW Hydrogen 7専用にCFPとスチールをた外板パネルを専用に開発しました。フロントからリアにかけて炭素繊維強化樹脂で強化された
左右のサイド・フレームは、BMW 760Liと同じ耐衝撃性能を持っています。
コックピットに表示される水素
インテリアを見ると、BMWの最先端のハイドロジェン・サルーンは、BMW 760Liにほんのわずかな修正を加えただけのように見えます。明確な違いは、水素駆動による
走行用にコックピットに取り付けられた新しいディスプレイとメーターです。BMW Hydrogen 7のメーター・パネルでは、さまざまな制御のためのディスプレイの中
に「H2」のロゴがあしらわれ、水素による走行を始めるとすぐにメーター内で点灯します。また、BMW Hydrogen 7にはガソリン用の燃料計だけでなく、現在の水
素のレベルをキログラムで表示するH2燃料計も装備されています。このクルマの推定航続距離は、2本の横線と数字で表示されます。水素(約50 km走行あたりの水素消費
量は約1.5 kg)およびガソリン(最低でも100 km走行あたりの消費量は約15 リッター)の残量レベルは、それぞれ別々に表示されます。
後部座席部には、一見してわかる明らかな違いがあります。これはリア・シェルフの下、後部座席の後ろに水素タンクが搭載されているためです。BMW Hydrogen
7の後部座席はBMW 760Liと比べて約115ミリ前方、標準ホィールベース車両よりも約25ミリ後方に配置されています。つまり、水素車両の後席に2人の乗員が乗っ
て長距離ドライブをする場合でも、通常のBMW7シリーズと同様の快適性が保証されています。
車両全体のパッケージとして、リア・センター・アームレストは固定式になっており、このためBMW Hydrogen 7は4人乗りとして設計されています。また、水素技
術を搭載しているためにトランク容量は他のBMW 7シリーズと比べて少なくなりますが、それでもBMW Hydrogen 7は225リッターのラゲッジルーム容量を誇
り、例えば2個のゴルフ・バッグを余裕で積み込むことができます。
BMW 7シリーズから受け継いだ軽量アルミ製シャシー
BMW Hydrogen 7のシャシーおよびサスペンションは、軽量アルミ製シャシーをベースにしてBMW 7シリーズ特有のあらゆるパフォーマンスと運動性能を提供し
ています。フロント・サスペンションにはダブルジョイント・スプリングストラット式タイバー・アクスルを、リアサスペンションにはアンチスクオート/アンチダイブ機構を備
えたBMWインテグラルIVマルチアーム・アクスルを装備しています。
水素コンポーネントの搭載によって増加した重量のため、サスペンション設定などに修正を加え、さらにBMW Hydrogen 7のリア・アクスルはBMW 7シリーズの
セキュリティ仕様車と同様にアルミ製およびスチール製の補強材によって機能強化を図っています。
さらに重要な機能としては、アンチロール・スタビライザー機能と可変ダンパー調整を組み合わせた、アダプティブドライブ・サスペンションが標準装備されています。アダプ
ティブドライブによって、BMW Hydrogen 7はタイトなコーナーでも容易なハンドリングと、卓越した運動性能を持つ非常に俊敏なラグジュアリー・サルーンに仕上
がっています。
BMW Hydrogen 7は現行7シリーズから受け継いだブレーキ・システムを装備しており、2,460 kgの重量を持つこのサルーンを、時速100キロからわずか
41 メートルで停止させます。
ハイテク装備のタイア・プレッシャー・コントロール(TPC)
BMW Hydrogen 7には、BMWの最新世代のセンサーをベースにしたテレマチック(遠隔計測)式のタイア・プレッシャー・コントロール・システム(TPC)が標
準装備されています。モータースポーツから応用されたこのシステムは非常に精密な計測ができ、極めて正確に警告を発します。そのため、タイア・プレッシャー・コントロール
は最新技術の代表格ともなっています。遠隔測定方式の構成により、TPCは各タイアの空気圧を短い周期で計測し、通常の空気圧レベルから外れた場合はメーター・パネル内に
警告を表示します。その結果、ドライバーはゆっくりとタイアの空気圧が減少するような場合でも、早い時期により高い正確性で状況を察知することができます。また、このシス
テムはパンクしたタイアでどの程度の走行が続けられるのかをより正確に表示します。
常に安全性を優先
水素の特徴や特性はガソリンや軽油とは全く違うため、この新しい燃料についても当然のことながら車両安全性に関しての要求を満たす必要があります。環境に非常にやさしい水
素は、無臭、無色で人間の感覚では知覚できません。
水素は周囲の空気よりも15倍ほど軽く、そのため大気中に放出されるとすぐに上昇します。また、水素は刺激性や毒性はありませんが、空気と適切な混合比で混じりあうとガソ
リンや軽油よりも引火しやすい特性を持っています。しかし、水素は特徴や特性を十分に把握して扱えば、極めて安全です。
言うまでもなく、BMWグループは最高レベルの安全性を提供できなければ、日常の生活で使用する水素駆動車両を開発することはなかったでしょう。まさにこの理由から、
BMWグループは水素車両の統一した安全基準を構築するために、多数の国際的な審議会や委員会において積極的な役割を果たしているのです。
こうした基準と平行して、BMWグループはBMW Hydrogen 7とそれに関連する全てのシステムや技術の一貫した安全性を確立しています。その一例として、液体水
素タンクにはボイルオフ・マネジメント・システムだけでなく、例えばタンクの損傷などによって圧力が著しく上昇したときなど、タンク内容物の状態に応じて水素を完全な制御
状態で放出するための2つの二重安全バルブも装備されています。
1つ目のバルブが開くとすぐに水素はCピラーに取り付けられたセーフティ・パイプを通って車両ルーフ内に導かれます。高圧になったときにのみ開く2番目のバルブが水素を車
両のフロア下に流し、そこで水素は大気中に放出されます。また、ガソリンや軽油を燃料とする車両と違って、事故現場をさらに深刻化させてしまうような状況、つまり燃料に火
がついたまま地面を広がっていくような危険性は水素車両にはまったくありません。なぜなら、水素は引火しやすい水たまり状に地面に残るのではなく、瞬時に上昇して大気中に
霧散してしまうからです。
日常交通で車両を安全に運行させるための必要条件の1つとして、最初から車両自体に組み込まれる安全性レベルがあります。この理由から、BMW Hydrogen 7は水
素タンクが破裂したり、全く管理できないような状況で水素がタンクから漏れたりすることを防止するためのいくつもの予防措置を講じた、マルチレベル・セーフティ・コンセプ
トを採用しています。
そのため、全てのコンポーネントは最大限の安全性に対する要求を満たすように設計・配置され、同時にそれらのコンポーネントは故障の際に自動的に安全性の高い作動モードに
切り替わるようになっています。さらにタンク自体だけでなく、水素に関連する全てのコンポーネントやパイプ類は二重壁構造になっています。
BMW Hydrogen 7専用に開発された安全機能は、いかなる不具合をも早期に発見し、過度の危険を防止するために適切な対応を促す働きをします。そのため、ドライ
バーは危険が起きる前にセーフティ・システムのあらゆる機能的な不具合について警告を受けます。例えば、水素センサーを各所に配置したガス警告システムは、監視するためや
停車時に可能性のある機能的な不具合をドライバーに警告します。ガス警告システムの電源は3重のフューズ・セットによって確保され、BMW Hydrogen 7には通常
のバッテリーの他にさらに2つのバッテリーが搭載されているため、車両のメイン・バッテリーから独立した電源を継続的に供給することができます。
独自の検査および認証
BMWグループは南ドイツ技術検査協会(TÜV)とチームを組み、水素コンポーネントに重点を置いた、通常の量産車両用の認証に必要な条件を網羅する一連の極めて厳しいト
ライアルや試験を行い、BMW Hydrogen 7は見事それにパスしました。
また、BMWグループはBMW Hydrogen 7を通常の法定必要条件を超えた完全な衝突試験プログラムにかけました。これらの試験には、EURO NCAPに準拠し
た衝突速度64 km/hの前面オフセット衝突試験、オーバーラップ率100 %および40 %の後面衝突試験、車両の最もデリケートな部分であるフューエル・フィラー・
パイプ部分での側面衝突試験などが含まれています。
より極端な事故のシナリオでも最適な安全性を確保するため、炎に直接さらしたり、銃弾を打ち込んだり、大規模な機械的損傷を与えたり、燃料タンクや安全関連機器の真空断熱
材を損傷したりした際の反応など、水素タンクに対して極限状態でのテストを行いました。さらに、これら一連のテストに加えて水素を充満させたタンクを1,000°C以上の
火炎の中に約70分間投入しました。このような状況下でもタンクに問題はまったく起きず、タンクの中の水素はゆっくりとほとんど気付かない程度に安全弁から外に放出されま
した。
これらの最も厳しいテストや試験の結果、南ドイツTÜVとコンサルタントの役割を担っている消防隊の専門家は、水素車両が少なくとも通常のガソリン車両と同じくらい安全で
あるという結論に達しました。
ガレージに駐車するための規則および規制
水素タンクの安全性を確認するための通常の運行状態における統計学的に信頼できる適切なデータがまだ入手不可能なため、周囲を囲まれた閉鎖空間に長時間駐車することは現在
のところ許可されていません。BMWグループは、統計学的に有効な信頼のおけるデータが集まるまで、ドライバーの利益のためにこの規則を堅持します。このデータは長期間の
運行を経て、車両に追加されているバックアップ・プログラムおよびセキュリティ・プログラムによって収集されます。
このクルマをドライブし、屋内の駐車場、あらゆる長さのトンネル、洗車機の利用など、周囲を囲まれたスペースに短時間停車することは、屋外駐車場に駐車するのと同様に制限なく許可されています。
BMWディンゴルフィン工場での車両組立て
BMW Hydrogen 7は、通常の生産工程と同様に、BMWディンゴルフィン工場で他のBMW 7、6、5シリーズなどと並行して生産されています。またエンジン
は、全てのBMW製12気筒パワー・ユニットと同様にミュンヘンにあるBMWのエンジン工場で生産されています。
BMW Hydrogen 7のドライバー:真のパイオニア
BMW Hydrogen 7は、日常の走行特性を磨くため、様々な状況で公道テストされました。ドライバーにとって水素技術への切り換えの決定は、自身のドライビング体
験に関して限られた範囲ではあってもいくつかの面で変更を強いるため、ハイドロジェン・サルーンを選ぶドライバーは間違いなくパイオニアといえるでしょう。
車両を日常的に使用することによってのみ、実用的な走行に必要となる本質的な知見を得るとこができます。BMW Hydrogen 7のドライバーからもたらされる知識は
このブレークスルー技術全体をさらに強化し発展させることになります。
日常的な使用を前提とした世界初の水素駆動式ラグジュアリー・サルーンの導入によって、BMWは生活において先見性を重んじ、個人のモビリティ新時代の始まりを体験すると
いう純粋な興味を持つ自動車ドライバーに対してアピールを行います。そして、このような条件に合致するドライバーに、同意した期間内でBMW Hydrogen 7をリー
ス提供します。アメリカでは、BMW Hydrogen 7は選ばれたユーザーにテスト目的で提供されます。
車両を受け取る際、ドライバーはBMW Hydrogen 7の扱い方に関する詳細な説明を受けます。使用中は3ヶ月ごとの点検が求められますが、そのため車両には、タン
クの内圧、燃料レベル、電装系の電圧、自己診断データ、車両からBMWホットラインに定期的に転送される不具合レポートなどの多岐にわたる車両データを監視する、革新的な
リモート診断システムが装備されています。
当初から水素の大きな可能性を認識
世界初の量産型水素駆動による実用ラグジュアリー・サルーンは、数十年にわたってBMWグループが代替駆動エネルギー源に関して徹底して研究してきた成果です。BMWグ
ループは早い段階で水素が未来の適切な燃料になると認識し、1980年代には液体水素を燃料とするエンジンおよび車両の研究に着手しました。そのわずか1年後には、デュア
ルモード式水素自動車の試作第1号車が公開されました。こうしてBMWグループは、この画期的な技術の基礎を築きました。これまでに世界中の科学者や技術者らによって実施
された膨大な研究結果や課題から、将来長期にわたって環境を壊さず、確実に利用可能なエネルギー源として供給できる燃料は1種類しかないことが分かっています。それは、再
生プロセスで生成される水素です。
通常の内燃機関でCO2排出量を削減
BMWグループの車両に搭載されている最新型内燃機関は、極めて優れた動力性能と走行性能を発揮するだけでなく、高効率と総合的な経済性も兼ね備えています。また、エンジ
ン開発における複数の分野でも進展があり、新開発されたそれぞれのパワー・ユニットは、いずれもその先代モデルと比べて高出力化、軽量化、燃費向上を果たしています。
BMWはこのコンセプトをEfficient Dynamics(エフィシェント・ダイナミクス)と呼び、中短期的に二酸化炭素(CO2)などの排出量を継続的に削減する
ために大きく貢献しています。Efficient Dynamics(エフィシェント・ダイナミクス)は、CO2排出量に関して全く中立的な駆動技術の確立を長期的に目指
す、BMWグループのCleanEnergy(クリーン・エナジー)戦略に適した理想的なコンセプトです。
2008年度のCO2削減目標は、EU(欧州連合)で新規登録された車両すべてが平均140 g / kmを達成することです。これは1998年に欧州自動車工業会が
EUに対して自主誓約した内容です。つまり、1995年と比較してCO2の排出量を25%も削減することを意味しています。
現在、BMWグループはガソリンおよびディーゼル・エンジンが排出する汚染物質を継続して削減することと並行して、量産開発過程にBMW Hydrogen 7を導入し、
水素技術を実践することで長期にわたって自動車のCO2排出量をさらに大幅に削減することができるコンセプトの実現に乗り出しています。このように、BMWグループはペー
スメーカーとして活動し、技術の先陣を切って非常に卓越した手本を示しています。
BMWグループがBMW Hydrogen 7の導入を通じて発信している明確なシグナルは、特に技術革新志向の先進的な考えを持っている特定のユーザー・グループだけで
なく、新時代のモビリティへ移行するための打開策を推進し強化するために共に行動している政治、科学、エネルギー産業における多くのネットワーク・パートナーも対象として
います。
1998年にBMWとその他の企業によって開始され、ドイツ連邦政府が支援しているトランスポート・エネルギー・ストラテジー(TES:輸送エネルギー戦略)イニシアチブ
では、これまでに10種類以上に及ぶ代替燃料と、70種類以上の製法に関する科学的な研究を行ってきました。研究結果がはっきりと示しているのは、環境に有益で、クリーン
な移動手段を実現するには、再生プロセスを経て生成された水素が間違いなく最も未来志向の解決策であるということです。
このTESイニシアチブはAral/BP、BMWグループ、ダイムラークライスラー、フォード、GM/オペル、RWE、ヴァッテンファル、シェル、トタル、フォルクスワー
ゲン各社で構成されています。
未来にはBMW CleanEnergy(クリーン・エナジー)という名前が刻まれます
未来のエネルギーとしての水素技術を普及させることは、BMWのCleanEnergy戦略の重要なハイライトとなっています。BMW CleanEnergyは環境保護
に理想的な水を素材にした、自己完結型のエネルギー循環を説明するために使われる最も重要な言葉です。水素は太陽、風力、水力発電またはバイオマスなどのエネルギーを活用
して生成することができ、ほぼ無限に利用することができます。そのため、汚染物質のない持続可能なモビリティに対するBMWのビジョンは、車両の実用性だけではなく、その
車両が必要とする燃料の生成にも当てはまるのです。
エネルギーの多様化、より高い自活性、そして長期的には駆動エネルギーとして化石燃料に取って代わる原料が生態学的にも経済学的にも必要となります。なぜなら、このことに
よってのみCO2排出の削減と長期的な供給の問題を解決することができるからです。その未来志向の駆動コンセプトにより、BMW Hydrogen 7は環境に完全に適応
した持続可能なモビリティのための主導的な役割を果たすのです。
適切な供給インフラストラクチャーの構築
BMW Hydrogen 7の導入に伴って、BMWグループは水素供給の拡大および発展に向けて積極的にイニシアチブをとっています。水素供給ステーションの包括的かつ
世界的なネットワークは今の時点ではまだ構想段階ですが、この目的のために必要な技術および物流のノウハウはすでに大部分の準備が整っています。
水素供給ステーションの発展を促進するため、BMWグループはベルリン・クリーン・エナジー・パートナーシップ(CEP)に2002年の発足以来参加しています。今日、ア
ラール、ベルリン交通局(BVG)、ダイムラークライスラー、フォード、ジェネラル・モータース/オペル、フォルクスワーゲン、ハイドロ、リンデ、トタル、ヴァッテンファ
ル・ヨーロッパなどの大手企業が参加するベルリン・クリーン・エナジー・パートナーシップはヨーロッパで最も重要なデモンストレーション・プロジェクトの1つとなり、実際
に世界最大であるこのプロジェクトの普及活動を行っています。CEPの目的は、水素をエネルギー源としてさらに発展させ、この革新的な燃料を日常の交通で利用するためのさ
まざまなオプションを実証することにあります。
ベルリン・クリーン・エナジー・パートナーシップはドイツのサステナビリティ(持続可能性)国家戦略の一部で、CEPプロジェクトの目玉の1つとして燃料供給シナリオの実
用的な検討を行っています。
この調査を現実的な状況で実施するため、2004年11月と2006年3月に相次いでベルリンに2つの水素供給ステーションが建設され、さらに3つ目の水素供給ステーショ
ンが2006年末にミュンヘンに完成します。これらの供給ステーションは、液体および気体の水素を供給します。
また、BMWグループはEUの水素燃料電池技術フォーラムやドイツ政府の国家イノベーション・プログラムでも積極的な役割を演じています。また、グループの国際的な活動で
は、アメリカのエネルギー省によって立ち上げられた研究との提携や中国での水素利用の実現可能性の調査や水素の情報に関するキャンペーンなどに積極的に関与しています。